企業研究職も論文を書ける?書きたい?研究職に聞きました。

企業の研究職は、大学みたいに論文を書いたりするのか?

うちの会社は論文書く人ほとんどいないけど、他社はどうなのだろう?

就活生や現役研究職の皆様、一度は気になったことはありませんか?

 

研究成果を報告する方法の一つとして、学術論文を投稿して世に公開するという方法があります。

 

大学などのアカデミアにおいては、良い研究成果を論文として公開し、知見を広く知ってもらうことが一つの使命です。

 

一方で、その考え方は企業では当てはまらない側面もあります。

民間企業は「営利を追求すること」が優先順位の高い使命であり、それは所属する研究員にとっても同じ価値観が求められます。

 

そのため、

論文を書くことが、会社の利益につながらない

と会社側から判断されると、論文を書くことを後回しにさせられる or 許可されないという状況になってしまうこともあります。

 

アカデミアと企業では、学術論文に対する考え方が異なると思ってよいでしょう。

この違いについては、以下にまとめています。

https://researcherinacompany.com/research-paper

 

一方で、

論文を書くことが会社のためになるか

ということに対しては、会社ごとに考え方が大きく異なると思われます。

 

論文に対する会社の考え方が肯定的であれば、手を挙げれば論文を書ける環境になっているかもしれません。

 

そこで、会社ごとにスタンスの違いを大まかに把握するために、 

本ブログの著者のツイッターアカウントを使用して企業研究職の皆様にアンケートを取り、

企業研究職は論文を書けるのか?」について調査しました。

以下のリンクから、私のアカウントを見ることができます。

ぜひフォローをお願いします!

今回は、

企業研究職は、論文を書けるのか?

という内容で、ツイッターアンケートの結果をまとめました。

企業研究職は論文を書けるのか?

論文を書いたことがある人の割合

まずは、

筆頭著者で論文を書いたことがあるか?」について聞き取りました。

 

この質問では、

学生時代と入社後、どちらのタイミングかは分かりませんが、

論文執筆経験者がどのくらいいるかを把握する目的で、聞き取っています。

 

結果はこちら↓

約半数の方が、筆頭で論文を書いたことがあると回答されました。

学生時代・入社後のどちらのタイミングで執筆したかは分かりませんが、

論文執筆経験者はそれなりにいるようですね。

 

ちなみに、以前

企業研究職の中の博士卒の割合」を調べたことがあり、その結果を参考にすると

約20%が博士卒であることが想定されます。

 

これらの結果を踏まえると、修士時代もしくは入社後に論文を執筆した研究員が一定数いることが想定されますね。

会社の研究成果で論文を書いたことがあるか?

次に、

会社の研究成果で論文を書いたことがあるか?

について聞き取りました。

 

この質問では、筆頭著者としてだけでなく、共著者として参加した経験についても、併せて聞き取りました。

 

結果はこちら↓

「ない」と答えた方が約半数いる一方で、

「筆頭で書いたことがある」も約30%いるという結果になりました。

 

数値はともかく、企業の研究成果で論文を書くことができる会社が一定数あることが、

この結果から分かってきました。この点は少し安心ですね。

 

論文を書ける研究者が所属している会社の方が、

研究に対する基礎がしっかり固まっている研究員が多く、質の高い研究が進められる傾向があるかもしれませんね。

論文を書くことに対して会社は肯定的?評価してくれる?

冒頭で書きましたが、企業は営利活動が目的です。

そのため、

会社の研究成果で論文を書きたいと思っても、会社から企業の利益にならないと判断されると、書くことを認めてもらえないこともあります。

 

一方で、実際論文投稿している民間企業はたくさんありますし、その内訳は大企業から中小企業まで様々です。

 

この状況から推察するに、 

論文を投稿することに対する考え方・価値観

が会社ごとに大きく異なることが想像されます。

 

そこで、

ご自身の会社では、論文を書くことについて肯定的か?

という内容でアンケートを取りました。

結果はこちら↓

 

論文を書くことに理解がある会社がそれなりにあり、その点については個人的にも安心しました。

一方で、論文を書くことに否定的なスタンスを取る会社も一定数存在するようですね。

 

特に、

論文は会社のためにならない

という考え方が染みついている会社では、論文を投稿・受理させることを、個人の業績として全く評価しないということもあるそうです。

 

研究職なのに、論文を書くことが評価の対象とならないなんて、特に学生の方にはイメージがわきにくいのではないでしょうか。

ところが、今回のツイッターアンケートの結果を見ると本当にそんな会社は存在するようです。

 

次に、ツイッターアンケートを使って

論文を投稿・受理させることは、個人のプラス評価となるか

というアンケートを取り、論文が評価されない会社の割合を調べてみました。

 

結果はこちら↓

「論文が成果として評価される」という回答は40%未満にとどまり、

残り60%は「評価されない」もしくは「状況・内容による」となりました。

 

企業では論文そのものはゴールにはならず、論文を書いても会社のためにならない、

会社の利益につながる論文についてのみ評価する

というスタンスの会社が一定数存在することが分かりますね。

 

会社の役に立たない論文を書く人はいないと思いますが、それでも、論文を出すことやその内容に対して厳しい判断をしている会社は存在するようですね。

論文投稿には会社の承認が必要

このように、会社によって価値観が分かれる学術論文ですが、投稿すること自体に会社の許可が必要なことは各社共通のようです。

 

実際に、

会社の研究成果で論文を投稿する時、承認は必要か

という内容でアンケートを取ったところ、

90%以上の会社で承認が必要なことが分かりました。

一方で、承認が必要なことはほぼすべての会社で共通であっても、

その中身(何人の承認が必要か?決裁者は誰か?、など)には、各社大きな違いがあると想像されます。

 

論文を投稿するための承認を得る工程についても、会社ごとにどのように違いがあるか気になりますね。

機会を見て、アンケートを取りたいと思います。

 

著者の意見:論文を書けるなら書いた方がよい

私の意見ですが、

論文を書けるなら書いた方がよい」と思っています。

 

今後、研究職も一つの会社で勤め上げることは難しくなり、転職を含めたキャリア形成が必要となってきます。

特に転職活動をする際には、提出する職務経歴書に「業績」を書く必要があります。

 

研究職の業績は、「論文」と「特許」が2台巨頭であり、

この2つが充実した職務経歴書であるほうが、高い評価を受けやすいのは間違いありません。

 

時間がない・会社が許可しないなどの苦労はあると思いますが、

チャンスを狙ってつかみ、論文を出すことをお勧めします。

 

論文執筆を狙うタイミングは、

関連特許を出願し終わった直後」が最適です。

これについては、後日記事にしたいと思います。

 

実際、このブログの執筆者である私もこの方法を使い、

会社の研究成果で筆頭・共著含めて10報以上の論文を投稿しました。

結果、職務経歴書の業績欄もしっかり埋まり、

書類選考を優位に進める一つの要素になったと考えています。

詳しくは、以下の記事にまとめました。

https://researcherinacompany.com/recruit-17

 

まとめ

・筆頭論文を持っている企業研究員は、一定数いる。

・論文を投稿・受理させることが、企業では必ずしも評価の対象とはならない。

・論文を投稿する前に、会社の承認が必要。

 

企業研究職の人が論文を書く場合、論文に対する会社の価値観や、会社に役立つ内容で論文を書けるかどうかが大きく影響します。

 

加えて、会社によっては、論文を書くことをプラス評価に加えてもらえない可能性もあります。

 

そのような中でも、

皆様にはぜひ論文を書いてもらいたいと思います。

ご自身の今後のキャリア形成に確実に役に立つはずです。

 

研究者の業績についてもエージェントに聞いてみよう

本当に論文の業績があった方が、転職で有利なの?

と気になった方は、一度転職エージェントに聞いてみることをお勧めします。

 

私は、以下2つの転職エージェント・サイトを主に使用しました

利用料は一切かかりませんので、

以下のリンクから登録して一度お話を聞いてみてください。

JACリクルートメント 

高年収のハイクラス転職を目指したい方

アカリクキャリア

大学院卒の強みを生かした転職に特化)




企業研究職の社会人博士事情:人数は?会社の補助は?研究職に聞きました。

修士卒で企業に入ったが、博士号を取りたい!

そう思っている企業研究職の方、いらっしゃいませんか?

 

企業で研究職として働きながら大学院へ進学して博士号取得を取得することを、この記事では「社会人博士」と呼ばせていただきます。

 

日本では、新卒採用での理系職種の採用は修士卒の学生が中心で、研究職にも修士卒の方が多いと思われます。

 

一方で、研究を続ける中で「博士を取りたい!」と思い始める方も結構多いのではないでしょうか。

 

しかし、実際に進学できるか、取得できるか、については、ご自身の事情だけでなく、会社の許可や制度も大きく関わってくると思います。

 

ご自身や研究所の同僚で、社会人博士を経験された方はどのくらいいるでしょうか?

また、ご自身の会社の制度などは理解しているかと思いますが、他社はどのような事情なのか、気になりませんか?

 

そこで、

本ブログの著者のツイッターアカウントを使用して企業研究職の皆様にアンケートを取り、

社会人博士事情について調査しました。

以下のリンクから、私のアカウントを見ることができます。

ぜひフォローをお願いします!

実際調べてみると、会社ごとに制度やルールが違うこと、補助にもいくつかパターンがあること

などが分かってきました。

 

そこで今回は

企業研究職の社会人博士事情」として、企業研究職の皆様に回答していただいたツイッターアンケートの結果をまとめました。

企業研究職の社会人博士事情

企業研究職の最終学歴は?

まず、企業に博士持ちがどのくらいいるか、を調べるべく、

企業研究職の皆様、最終学歴は?」というアンケートをツイッターで行いました。

結果はこちら↓

博士卒が約2割に留まり、修士卒が約6割を占めました。

新卒採用では、研究職には修士卒の学生が多く採用される傾向がありますが、今回のアンケート結果にもその傾向が反映されていました。

 

一方で、博士の学位を持つ研究員は約2割にとどまりました。

業界ごとにその割合は異なることが予想されますが、それでも博士の割合はあまり多くないのが実情のようです。

 

会社は、大学院へ通うことに肯定的?否定的?

ではここからは、

所属する研究員が社会人博士を取ること」について、

会社の考え方や補助のルールなどについて探っていきます。

 

まずは、社員が会社に在籍したまま大学院へ通うことについて、会社がどのように考えているかについて聞きました。

 

在籍社員が大学院へ通って学位を取ることについて、会社の考えは?

というアンケートを実施しました。

結果はこちら↓

「否定的」に考えている会社が約1割にとどまり、「肯定的」に考えている会社が約5割、という結果になりました。

 

個人的には、

否定的な会社、少なくてよかった…

ととても安心しました。

 

社員が大学院へ通いたいと考えていても、会社が否定的な見解を示せば実現はかなり難しくなります。

 

そういう意味でも、肯定的な会社が多く、否定的が少ない、という傾向は、進学を考えている社員にはうれしい結果ではないでしょうか?

 

会社は大学院への進学費用を補助してくれる?

「会社が進学に肯定的なのは分かった」

「でも進学にはお金がかかる…」

「もし、費用の補助もしてくれたらうれしいな~」

こんなことを考えている方はいませんか?

 

世の中には、社員の進学費用を全額補助してくれる会社もあるそうです。

なんとうらやましい!そんな会社、どのくらいあるのでしょうか。

 

そこで、

現在の会社に所属したまま大学院へ通う場合、入学金・授業料などの負担は?

というアンケートを取りました。

結果はこちら↓

全額・一部の両方を合わせると、4割以上の会社では何らかの補助があるようですね!

 

また、「その他」と回答した人の一部からは、

「入学金や授業料ではなく、交通費などの補助があった」

などのコメントをいただきました。

 

以上を踏まえると、全く補助がない会社が約3割、何らかの補助をしてもらえる会社が約7割

というのが、相場なのかなと感じました。

 

会社に在籍したまま進学した人はどのくらいいる?

では、会社に在籍したまま博士課程など大学院へ進学している人は実際どのくらいいるのでしょうか。

そこでまずは、ツイッターの回答者ご自身について

会社に在籍したまま大学院へ進学・在学した経験

をアンケートで聞き取りました。

結果はこちら↓

約2割の方は進学経験があるようですね。

この結果だけ見ると、研究所の5人に1人が進学している計算になります。

なんとなくですが、多い気がしますね。

 

そこで、少しアンケートの質問を変えました。

会社に在籍したまま博士課程へ進学しているorしていた人は(ご自身を含めて)社内にいますか?

という形で、社内に博士進学経験者がどのくらいいるかを答えてもらいました。

結果はこちら↓

7割以上の人が

うちの部署に社会人博士に通っていた人がいるよ

と回答していました。

 

先ほどの質問と併せて考えると、

会社に在籍したまま博士進学した人が、普通にいる

というのが、少なくともこのアンケートに回答した人の会社では一般的なようですね。

「本当は大学院へ行きたい」と思っている人は、どのくらいいる?

会社に在籍したまま大学院へ通うことについて、会社も肯定的に捉えているし、実際部署内には経験者がたくさんいる。 

このような状況であれば、

自分も会社に在籍したまま博士とりたい!

と思う人がたくさんいてもおかしくありません。

そこで、

博士号を取っていない皆様、働きながら博士を取りたいですか?

というアンケートを取り、潜在的な博士希望者を調べてみました。

結果はこちら↓

今回のアンケートでは、潜在的な博士希望者が約7割いるという結果になりました。

 

研究職として働いている以上、早いうちに博士号を取りたい、できれば会社に在籍したまま取りたい!

というニーズは結構あるようですね。

 

博士を取得できた年齢は?何年かかった?

次に、実際に社会人博士を取得した方を対象に

社会人博士を取得した年齢と要した年数

について聞き取りました。

 

どのくらいの年齢で取得したのか進学から取得までどのくらいかかったのか。

現在進学を考えている方には参考になる情報ではないでしょうか。

 

まずは、

社会人博士を取得したときの年齢は?

というアンケートを取りました。

結果はこちら↓

20代~30代前半で取得している方が多いようですね。

私自身も経験して感じましたが、「博士を取るなら、早い方がいい!」です。

実際、若いうちに取得されている方が多いようですので、

希望されている方は若いうちに手を挙げるのがいいでしょう!

 

では、会社に所属したまま進学した場合、何年くらいで博士号を取得できているのでしょうか。

 

博士後期課程は通常3年か4年のコースが多いですが、仕事をしながらの場合、スムーズに修了するのが難しいケースもあるかもしれません。

 

そこで、

進学から取得まで何年かかりましたか

という質問をしました。

結果はこちら↓

やはり、3年・4年での取得は難しく、それ以上の期間をかけて修了された方がかなりの割合を占めていますね。

会社で働きながら博士号を取得することの大変さがこの結果からも感じられます。

 

一方で、3年未満で修了された方もいらっしゃいました。

大学によっては、論文博士や早期修了制度など、短期間で博士号を取得できる制度を設けている大学もあります。

筑波大学が早期修了制度を開始しているのは有名ですね。

https://www.tsukuba.ac.jp/education/g-courses-s-program/

博士持っていて、業務で役に立ったことはあるか?

そして最後に、

博士持っていて、業務で役に立ったことはあるか?

という質問をしてみました。

結果はこちら↓

約半数の人が「役に立った」と答えています

 

私自身の経験では、以下の場面で博士号そのものが活きたかなと感じています。

・海外の研究者と話をする時

・新たな共同研究について、共同先の先生と話をする時

・研究職として転職活動をする時

 

「活かされる場面、あまり多くないな…」

そう感じた方もいるかもしれません。

確かに、業務上で博士号そのものが活かされることはあまり多くないかもしれません。

 

一方で、博士号研究者としての資格のようなものですし、何より、博士取得までのプロセスは研究者としての自身の成長に役立つはずです。

 

博士を取りたいという強い希望がある方は、ぜひ社内の調整をクリアして、進学を勝ち取ることをお勧めします。

終わりに

今回は

企業研究職の社会人博士事情

というタイトルで、博士号や社会人博士に関するアンケート結果をまとめました。

ご自身の経験や、ご自身の会社と比較して、今回のアンケート結果はどのように映ったでしょうか。

 

アンケートという性質上、あまり細かい聞き取りはできませんでしたが、企業研究職における博士や社会人博士の傾向として、ぜひ参考にしてみてください。

 

また、実際に社会人博士を取得した方は、私も含めて非常にたくさんいます。

現在社会人博士を希望されている方にとっては、経験者の体験談は非常に貴重だと思います。

 

私の社会人博士体験談を以下にまとめています。興味のある方はぜひ以下のリンクからご覧ください。

カテゴリー:社会人博士




社会人博士取得経験は、転職活動で有利?研究職の転職体験談

先日、ブログ記事およびツイッターにて、研究職の転職で内定を得たことを報告しました。

 

https://researcherinacompany.com/recruit-15

 

今回の私の転職活動の一つの特徴として、

社会人博士を取得した後に、転職活動を行った

というものがあります。

 

博士号を持つ方が転職しているケースはツイッターなどでよく見かけますが、

「社会人博士」をとった方の転職体験談はあまり見たことがありません。

 

また、今回の経験を通して、

社会人博士は、課程博士とはまた異なる側面から評価されることがある

ということを体感しました。

 

そこで今回は、

社会人博士取得経験は、転職活動で有利に働いた?研究職の転職体験談

というタイトルで、記事を書いていきます。

 

今回の転職活動では、複数の転職エージェントに登録しており、その中でも、以下の2つを重宝しました。

転職を少しでも考えている方は、リンクをクリックしてブックマークへ保存しておくと良いでしょう。

JACリクルートメント 

高年収のハイクラス転職を目指したい方

アカリクキャリア

大学院卒の強みを生かした転職に特化)

 

社会人博士取得経験は、転職活動で有利?

結論:有利に働く場面はあった

結論としては、有利に働く場面はそこそこありました。

 

どのように評価されたかは後述しますが、特に印象に残ったのは

博士号を持っていること」と「社会人博士へ進学して修了したこと」は、

それぞれ別の側面から評価されているんだろうな、ということでした。

 

少し具体的に書いていきます。

 

「博士号持ち」としての評価は確実にもらえる

まずは、「研究について一定の能力を持っている」という「博士号」そのものに対する評価です。

 

当たり前ですが、博士号は、一定のカリキュラムを経て研究活動を修めたこと、を示すものです。

それは、たとえ社会人博士であっても同じです。

 

「博士号を持っている」という点では、社会人博士も課程博士も違いはなく、転職活動においても同じように評価してもらえるようです。

少なくとも私はそうでした。

 

「現職では信頼されていた人」と評価される

一方、次は社会人博士特有の評価点かもしれません。

それは「社会人博士課程へ送り出せるくらい、現職で評価されていた」という評価です。

 

一般的に、企業に入った研究員全員が社会人博士に進学できるわけではありません。

研究や仕事がある程度できるのは当然のこととして、社外に出ても恥ずかしくないレベルの人材であることが求められます。

 

加えて、会社によっては進学費用の一部を負担する制度の場合には、

会社側にその費用を負担する意義が感じられるか

その投資に値するベネフィットを社員が発揮してくれるか

といった社員本人へ投資する価値があるかについても評価されます。

 

それだけではなく、 研究所や会社がその費用を支払ってもいいと思うか、のような、社員本人には制御できない要素も絡んできます。

 

社会人博士へ進学させることは会社にとって投資であり、その許可を得るには本当にいろいろな要素が絡んでいます。

 

それをクリアしたうえで進学許可が出るような社員は、会社からかなり信頼されている存在」であろうと想像することができます。

 

転職活動で採用や面接を担当する方も、このことをよく理解しています。

すなわち、「社会人博士修了」という経歴が出てきたときには、

 

この社員は、会社から信頼されている存在だったんだろうな

 

と評価してくれる可能性が高くなります。

 

書類選考では評価され、面接での話題程度には使える。

このように、「博士号そのもの」に対する評価と、「社会人博士」特有の評価があることが、少なくとも私の転職活動を通して感じたことです。

 

一方で、社会人博士は「経歴」であり、これ自体は職務経歴書や履歴書を見ればすぐに判断できます。

すなわち社会人博士の経歴は「書類選考」において一定の評価を得られる可能性があります。

 

一方で、研究開発職の転職活動では、その人の研究に対する価値観が問われます。

 

その際のエピソードトークとして、社会人博士の取得やその苦労、そこから得られた自身の考えなどを述べることはできるでしょう。

 

社会人博士を通して得られた経験は、面接での話題作りやそれを起点にした自己アピールに使えますね。

 

ただし、社会人博士が内定の決め手にはならない

ただし注意が必要なのは、「社会人博士」は内定の決め手にはなりません。

当たり前ですが、企業側は一緒に働ける人材、会社の課題を解決してくれる人材を求めています。

 

書類選考や面接では、

 

・この人とうちの会社で一緒に働けそうか

・この人は、会社の課題を解決してくれる能力がありそうか

・会社の価値観と近い考えを持っているか

 

などなど総合的に加味して評価されます。

 

確かに、社会人博士を修了したことで

一定の研究能力があり、現職で信頼されていた人物でありそう、

という評価はもらえます。しかし、採用においてはそれ以外の要素も大きく関わります。

 

社会人博士を持っているだけで内定が得られやすいととは言い切れないだろう

というのが私の見解です。

 

まとめ

社会人博士を取得した後に研究開発職の転職を行った経験から、社会人博士は、転職活動において以下のような位置づけになる、と私は考えます。

 

・「博士号持ち」としての評価は確実にもらえる

・「社会人博士に行けるくらい、現職では信頼されていた人」と評価される

・書類選考では評価され、面接での話題程度には使える。

・ただし、内定の決め手にはならない

 

もし、すでに社会人博士を修了していて転職を考えている方は、

上記のような位置づけだと理解してうまくアピールに使うといいと思います。

 

一方で、社会人博士を持っていない人が転職で有利になるために社会人博士をとるというのは、費用対効果があまりよくないのではと感じています。

 

それよりも、現職でしっかり結果を出すこと、信頼されるような人柄であることのほうが、良い転職を実現するためには必要なことだと思います。

 

私が使用した転職エージェント・転職サイト

私は、主に以下の2つを併用しました。

JACリクルートメント 

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大学院卒の強みを生かした転職に特化)

 

 

それぞれ用途が違うので、

両方に登録して、できるだけ早く話を聞いてみることをお勧めします!

登録と求人紹介はすべて無料です!

 

転職を希望している方もしていない方も、

早い段階で登録して自分の市場価値や転職可能性を知っておきましょう!

研究職も転職できる

著者は昨年、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、環境を変えることを検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

https://researcherinacompany.com/recruit-15

転職活動で博士号は有利?

これについては、以下の記事に私見をまとめました。

https://researcherinacompany.com/recruit-19



転職活動で博士号は有利?:研究職の転職体験談

博士号を持っている方が転職では有利なのか?

研究職での転職を考えている方は、一度は気になったことがあるテーマでだと思います。

 

実際、「研究職」「転職」でネット検索をかけてみると、

博士を持っていることは転職に役に立つのか?

と質問しているページをたまに見かけます。

 

確かに博士号は、「研究を一定のレベルでできることを示す資格」的な意味合いで評価している人もいるので、持っていた方がよいのだろうな、有利なんだろうなと感じられます。

私も博士号を持っており、今回研究職の転職活動を行いました。その中で博士号については、有利に働く場面もある」程度の位置づけが適切かな、と感じました。

 

そこで今回は、

転職活動で博士号は有利に働いた?

について、私の転職活動の経験をもとにお話しします。

 

今回の転職活動では、複数の転職エージェントに登録しており、その中でも、以下の2つを重宝しました。

転職を少しでも考えている方は、リンクをクリックしてブックマークへ保存しておくと良いでしょう。

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転職活動で博士号は有利に働いた?

私が博士号をとった経緯

私の経験をもとにお話しするので、その前提として私がどのような経緯で博士号を取得したか補足しておきます。

 

結論としては、私は「社会人博士課程」を経て博士号を取得しました。

経緯としては以下の通りです。

 

・研究職配属後、共同研究先の大学にお邪魔する(入りびたる)ようになる。

・いい結果が出てきたので、「論文書いて博士とらないか?」と先生から誘われる。

・会社を説得して社会人博士課程へ進学する。

・共同研究の内容をベースに論文等を出して博士号を取得する。

 

比較的、運や巡り合わせが良かったと思っています。

社会人博士課程に興味がある方は、こちらの記事から連載しています。

ぜひご覧ください!

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3

転職活動で博士号は有利か:転職エージェントからの意見

転職活動で博士号は有利か?

いくつかの転職エージェントに聞いたところ、おおよそ以下のような意見が返ってきました。

 

・博士号は経歴・資格みたいなものになるので、書類選考のアピールになる。

・博士号必須の企業もあるので、選択肢を残す上で役立つこともあるかも。

・ただ、書類選考以降はあまり関係がなさそう。

 

博士号をとっていることは、これまでの業績と同じように、職務経歴書に書くことができます。

すなわち、職務経歴書上のアピールには使えるが、それ以上にはなりにくい。

というのが、正確な評価なのかもしれません。

 

当然、書類選考を突破しないことにはその先には行けないので、

その際に博士号を持っていることが有利に働くことは間違いないでしょう。

 

博士号に関して、面接の際にどのような話題が出たか。

結論として、博士を持っていることは面接の際によく話題になりました。

ただ、博士を持っていることを採用の決め手にしているというわけではなさそうでした。

 

むしろ、

博士をとることや研究開発に対して、あなた自身がどのような価値観を持っているのか

に迫る質問が多かったように思います。

 

例えば、以下のような質問です。

・なぜ博士をとることになったのか

・会社の研究開発とどのように両立したのか。

・課程博士と違う、社会人博士の良い点などはあると思うか

・企業の研究とアカデミアの研究を、どのように自身の中で区別しているのか。

・研究開発において、あなたが最も大切にしていることや考え方は何か。

 

質問のきっかけは博士号のことに起因していますが、聞かれているのは「応募者の研究に対する考え方・価値観」です。

 

結局、内定を得て入社した後は、その会社の価値観を理解したうえで研究開発をすることになります

おそらく面接官は

この会社の価値観の中で、この人は自分らしく働いてくれるか

を判断しようとしていたのだろうと、私は勝手に想像しています。

 

博士号をとったこと以上に、その人の研究開発に対する考え方の方が、大事なのでしょう。

ちなみに、私は以下のように答えていました。

 

まとめ

今回は、「博士号は有利に働く?」という話題で記事をまとめました。

 

・転職エージェントとしては、博士号は経歴になるので、アピールになる。

・書類選考においては、有利に働く場面もある(必須条件の企業であれば特に)

・博士号を持っていることが採用の決め手にはならないと思われる。

・「研究開発に対する考え方や価値観」を聞くきっかけとして、博士号が話題になることが多かった。

 

博士号をとることが大変であることは私も十分承知しています。

一方で、博士号そのものの価値以上に、研究者本人のマインドや価値観が重要視される場面が、特に採用面接においては多いなと感じました。

 

転職を考えていらっしゃる方は、「研究に対する自分の価値観」を改めて考えてみるといいかもしれません。

 

私が使用した転職エージェント・転職サイト

私は、主に以下の2つを併用しました。

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それぞれ用途が違うので、両方に登録して、できるだけ早く話を聞いてみることをお勧めします!

登録と求人紹介はすべて無料です!

 

転職を希望している方もしていない方も、早い段階で登録して自分の市場価値や転職可能性を知っておきましょう!

研究職も転職できる

著者は昨年、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、環境を変えることを検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

https://researcherinacompany.com/recruit-15

社会人博士は転職で有利?

これについて、社会人博士を取得した著者の視点で以下の記事にまとめました。

https://researcherinacompany.com/recruit-21



【理系就活】企業で研究を続けたいなら、研究職に応募すべき理由

このブログでは、

企業研究職の仕事、理系学生の就活、研究者の転職などについて

企業研究職である私の目線で、情報を提供したり個人的な意見を述べたりしています。

 

先日、仕事の都合である大学を訪問し、

所属する博士学生2名とお話しする時間がありました。

2名が博士課程2年で、就活に向けた取り組みを考え始めていました。

 

2名とも研究が楽しく、企業へ就活した後も研究に携わりたい希望を持っている一方、

その希望をかなえられるような企業に就職できるか不安である

というコメントをしていました。

 

このような不安を持っている学生は他にもいらっしゃるのではと思い、

今回この不安に対する回答となるような記事を書くことにしました。

 

今回は、「企業で研究をしたいなら、研究職へ応募すべき

について書いていきます。

 

大学院や理系学生の就職活動には、

大学院生&理系学生に特化した就活サイト

アカリクが役立ちます。

最近は、「アカリクイベント」というオンライン就活イベントも行われているそうです。

以下のリンクから、一度覗いてみて下さい。

アカリクはこちら↓

博士学生の就活:企業で研究を続けたいなら、「研究職」に応募すべき理由

企業の採用枠を事前にしっかり確認すべき

大前提ですが、就職活動をする際には

企業のどの採用枠に自分は応募できそうか、

就職四季報などを見てしっかり確認しましょう。

 

ざっと確認しただけでもわかると思いますが、

採用枠の設け方は企業ごとに全く異なります。

 

・文系学生と理系学生の採用を枠を分けている企業

・学部卒と修士以上卒で採用枠を分けている企業

・仕事内容で採用枠を分けている企業(事務系、技術系、など)

・博士学生であっても学部・修士卒と同じ採用枠へ応募させる企業。

(初任給が同じことも!)

 

後ほど紹介しますが、採用枠の設け方は業界間でも少し違いがあります。

また、採用枠を見ると、その会社の考え方を少し想像することができますね。

 

そして、研究職として就職したい方は、

各企業の募集要項を見て、該当しそうな採用枠を見つけて、応募することになります。

「研究職」の採用枠で内定をもらえれば、最初に研究関係に配属される可能性が高い。

そして、この記事のタイトル回収になりますが、

企業で研究をしたい人は、「研究職」という採用枠に応募しましょう。

 

理由はシンプルで、

「研究職」で内定をもらえば、最初の配属が研究関係の可能性が高い。

逆に「研究職以外」の採用枠では、研究に就ける可能性が相当低くなる。

というものです。

 

「研究職」という採用枠を設けている場合、

その企業は、研究に適性がありそうな学生を特別に採用しているということになり、

採用した学生には研究業務で活躍してもらうことを期待しいます。

 

そのため、余程のことがない限り、研究関連の仕事に就くことができるでしょう。

逆に、次に示す通り、

「研究職」以外の採用枠で内定をもらうと、研究職に就ける可能性は一気に下がります。

 

逆に、「総合職」の場合、研究配属の確率は一気に下がる。

「研究職」以外で、多くの理系の学生が応募する採用枠として、

総合職」「理系総合職」「技術系総合職」などがあります。

 

総合職」の定義は正直なところ企業間でだいぶ違いますが、

こちらのマイナビの記事によると

「将来の管理職、幹部候補。基本的にはジョブローテーションで異動があり、転勤も発生しやすい。」

とのことです。

 

「理系」「技術系」とついている場合、

「工場配属」「生産管理」「商品開発(特に技術面)」「知的財産」「品質管理」など、

「理系」「技術系」の仕事に従事する人を採用する枠

と理解すればよいでしょう。

 

また、「研究職」という採用枠を設けていない企業の場合、

「理系総合職」「技術系総合職」で採用した学生の中から、一部の人を研究部門へ割り当てる

という対応をとることが多いです。

 

すなわち、

「総合職」で採用されると、研究以外の部門に配属される可能性がかなり高くなる。

ということです。

 

博士卒の学生の場合、

そのキャリアを考慮して研究部門へ優先的に配属してくれることもありえなくはないですが、

基本的には、研究職以外に配属される可能性が非常に高いです。

 

博士課程を卒業し、企業でも研究をしていきたいという学生にとって、

このような形でキャリアを変えられてしまうのは、不本意に感じてしまうかと思います。

 

そのような意味でも、絶対に研究職に就きたいという学生は、

「総合職」ではなく「研究職」の採用枠に応募することを強くお勧めします。

研究職の採用枠の大きさは、業界・企業間で全く異なる。

「研究職」の採用枠ですが、採用枠の有無・大きさは、企業によって大きく異なります。

化学機械製薬などの業界では、「研究職」の採用枠を設けていることが多く、

毎年それなりの人数を研究職として採用している傾向があります。

 

逆に、私が所属する食品業界では「研究職」の採用をしている企業は少なく、

「総合職」の中から研究者を割り当てていることが多いです。

 

私自身も総合職であり、転勤を経てたまたま研究員となりました。

また、新卒採用で研究の仕事に就いた社員は非常に少ないです。

 

このように、企業で研究職に就ける可能性は、企業・業界によって大きく異なります。

自分の得意分野やの進みたい業界との折り合いも必要ですが、

どうしても研究職に就きたいのであれば、「研究職」に応募して確率を上げるようにしましょう。

 

まとめ

・企業の「採用枠」をしっかり見ましょう。

・「研究職」の採用枠で内定をもらえれば、最初の配属が研究関係である可能性が高い。

・逆に、「総合職」「理系総合職」「技術系総合職」の場合、研究配属の確率は一気に下がる。

・研究職の採用枠の大きさは、業界・企業間で全く異なる。

 

結論はシンプルで、

企業で研究したいなら、研究職の採用枠に応募して内定をもらいましょう!

そのためにも、研究職に進みたい理系学生に向けた情報を提供しているサイトやサービスを

うまく活用しましょう。

 

大学院生や研究職の就活を中心にしたサービスを提供するサイトとして、

アカリク というサービスが便利です。

最近は、「アカリクイベント」というオンライン就活イベントも行われているそうです。

登録は無料ですので、一度活用してみてください。

 

アカリクは、こちら

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「研究職の就活」に関する記事は、こちらから

研究職の就活




社会人博士体験談!いよいよ博士論文提出。そのまえに知的財産には気をつけよう。

前回の記事では、

学術論文を投稿する前に会社の承認を得る必要があり、

論文の内容にある程度会社の意向を反映させなくてはいけない

というジレンマについてお話ししました。

博士号取得のための研究とは言え、会社の協力を得て進学している以上、

ある程度会社の顔色をうかがう必要もありますので、

みなさん、気を付けましょう!

 

まだ読んでいない方は、ぜひ以下からご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-4/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-5/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-6/

 

今回は第5弾として、

社会人博士経験談パート5:博士論文も知的財産には気をつけろ

という内容で記事を書いていきます。

博士修了に必要に要件として、

学術論文以外に、中間審査博士論文査読博士論文公聴会の3つがありました。

これをクリアするにあたり、社会人ならではのトラブルがありました。

 

ポイントは、以下の内容です。

・審査会は大学内の発表なので、情報が一般に公開されることはなかった。

・博士論文は後日ネット上に公開されるため、知的財産にかかわる内容には注意が必要。

・私の場合、博士論文に独自に載せようとしたデータに知財部門からクレームが入り、慌ててそのデータを論文から外した。

 

社会人博士進学を考えてみる皆様に、少しでも参考になることがあれば幸いです。

 

社会人博士経験談パート5!博士論文も知的財産関係で慌てた

博士論文も、知的財産の公知案件となりうる

最近は一般的になってきていますが、

博士論文は、審査終了後に原則インターネット上に公開されます。

インターネットで情報を調べていたら誰かの博士論文が出てきたなど、

思い当たることがあると思います。

 

そして公開された博士論文も、知的財産における公知案件として扱われます。

すなわち、

博士論文に書かれている内容はすでに知られている内容として扱われ、

知的財産の新規性喪失につながる可能性があります。

 

これについては皆さん特に異論はないと思います。

学会発表のタイトル・要旨・誰かのセミナー資料も対象となるものですし、

当然の事象だと思います。

 

中間審査会や学術論文では、知的財産に関して対応できていた。

さて、博士課程2年次に行った中間審査会は、学内におけるプレゼンのみでした。

そのため、発表資料が外部公開されることはなく、

発表した内容が知的財産に影響することを考える必要はありませんでした。

 

また、学術論文への記載内容が公知として扱われることは把握していたので、

事前に特許出願を行った後に学術論文を投稿するなど、

適切な対応をとっていました。

 

しかし、学術論文には載せなかったデータが手元に残っています。

当時の指導教官と相談し、

今後の後輩のためにも、これらのデータを博士論文に載せよう

ということになりました。

 

博士論文だけに載せようとした結果に、会社の知財部門が注目

当時私は、「博士論文の内容が後日公知となること」を失念していました。

そのため私は指導教官の指示に従い、

データを追加して博士論文を執筆していました。

 

博士論文がほとんど完成し、副査の先生へ提出する1週間前

突然上司から

特に指摘とかはしないから、本文を一度読ませてくれ

と言われ、ワードファイルを提出しました。

 

そして数日後、突然知財部門から

博士論文のこのデータ、まだ公開してない?

多分知財性があるから、公開は待ってくれ。

と問い合わせが入りました。

 

よくよく調べてみると、非常に細かい内容ではあるものの、

確かに新規性・進歩性を持つ結果であり、

追加データを加えれば十分出願できるものでした。

 

当時の私は、以下の理由から安心しきっており、

この知財案件には全く気付いていませんでした。

・知財案件は学術論文投稿時にクリアしていること。

・博士課程3年時の私は、博士論文を仕上げることに頭がいっぱいだったこと。

 

そこで急いで指導教官へお願いし、

該当するデータを博士論文から外し、

ストーリーを少し組みなおすことにしました。

 

副査の先生へ提出する1週間前というタイミングでしたが、

何とか変更に対応させ、期日に間に合わせることができました。

 

知財についても、博士号取得後に何とか出願につなげました。

焦りはしましたが、結果的に知財部門のファインプレー

上司が私の博士論文を読もうとしたこと。

その論文を偶然担当者が目にしたこと。

この2つの偶然が重なったことで、知財案件を一つ見逃さずにすみました。

 

私は全く気付いていなかった内容だっただけに、

結果的に知財部門のファインプレーとなりました。

 

博士論文は、後日一般公開され、書かれている内容は公知となります。

博士論文によって自社の知財出願に迷惑が掛からないよう、

社会人博士を目指す方はご注意ください。

 

まとめ

・審査会は大学内の発表なので、情報が一般に公開されることはなかった。

・博士論文は後日ネット上に公開されるため、知的財産にかかわる内容には注意が必要。

・私の場合、博士論文に独自に載せようとしたデータに知財部門からクレームが入り、慌ててそのデータを論文から外した。

 

繰り返しになりますが、

博士論文は、後日一般公開され、書かれている内容は公知となります。

知財出願にかかわる情報は残っていないか、

丁寧に確認したうえで博士論文も執筆しましょう。

博士論文は自身の修了に直接影響するため、学術論文以上に締め切り厳守です。

余裕をもって対応できるよう、早い段階から確認しておきましょう。

 

社会人博士取得経験に関する連載を終えて

さて、社会人博士課程を通して私が経験した内容を紹介してきました。

全5回にわたる連載、いかがだったでしょうか。

 

これから社会人博士を目指す方にとって、

これらの記事が少しでもお役に立てばありがたいです。

 

まだ5つの記事すべてを読んでいない方は、

第1回の記事から読んでいただくことをお勧めします。

 

まだ読んでいない方は、ぜひ以下からご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/

 

研究職と博士号に関する記事はこちら

研究職と博士号




社会人博士体験談!投稿論文を出したいが、会社の意向との板挟みに悩む。

前回の記事では、

会社の業務に時間をとられて社会人博士の研究に時間が割けないということに悩み、

その解決策として、

社会人博士の研究がいかに会社のためになるものかを上長へ説明し、

業務時間中に社会人博士関連の仕事を行う許可をもらうことで、

時間を捻出しました。

 

まだ読んでいない方は、ぜひ以下からご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-4/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-5/

 

今回は第4弾として、

社会人博士経験談パート4:投稿論文でもひと苦労:会社との戦い

という内容で記事を書いていきます。

社会人博士卒業に必要な査読付き英語論文の投稿について、

会社員ならではの苦労を経験したので、ご紹介します。

 

ポイントは、以下の内容です。

・論文を出すにあたって会社の承認が必要。

・論文の内容に、会社の意向を反映させなくてはいけないこともある。

・会社の承認に数か月かかり、かなり焦った。

・論文投稿については、早めに会社と情報共有をしたほうがよい。

・無事に受理・公開されるまで、会社からのプレッシャーがあり気が抜けない。

 

少しでも参考になることがあれば幸いです。

 

社会人博士経験談パート4:論文投稿について会社の承認を得る

論文を出すにあたって会社の承認が必要

少なくとも私が所属している会社では、

学術論文を投稿する際には事前に会社の承認を得る必要があります。

 

論文のドラフトと申請書を添付し、

部長たちから承認を得たうえで投稿できるようになります。

社会人博士の研究とは言え、会社員として行っている研究でもあり、

研究成果は基本的に会社にも帰属します。

 

そのため、会社のプレスリリースなどと同じように

どのような情報が一般に公開されるかを事前に会社と共有することが、

論文投稿における最初のプロセスでした。

論文投稿直前になって、会社から指摘が入ってくる。

私の場合、

社会人博士の研究遂行は、ほとんど研究室のボスや指導教員と行っていました。

 

会社との方向性の共有は

最初のテーマ設定こそ上司や上長と相談して決めましたが、

その後はデータや進捗を課長と共有する程度でした。

上長が、「社会人博士の研究は、基本的に研究室の方向性に任せる」

という方針だったので、その通りに進めていました。

 

さて、データがそろってさあ論文を仕上げようという段階になり、

改めて会社に「論文を投稿する旨」を伝えました。

 

研究室のボスや指導教官と論文を仕上げ、

ドラフトを添付して会社へ承認申請しました。

 

そして、ここからが困難の始まりです。

承認権限のある部長クラスから、無数のコメントと指示が飛んできました

 

具体的にはお示しできませんが、

内容のほとんどは

「この文章やストーリーでは、うち製品の独自の優位性がよくわからない

「はっきり言えないのかもしれないが、有効性をもっと主張してくれ」など、

会社にとってのメリットが分かるような論文に仕上げなさい

という指示でした。

 

その当時、所属する会社の理科系部門の部長に研究所出身の人はおらず、

論文執筆経験のある人は一人もいませんでした。

 

部長たちは、

学術論文は自社の成果をアピールするもの

だと理解していたようで、

そのような側面をもっと押し出してほしいという意向があったようです。

 

さて、とはいえ学術論文ですので、データから示せないことは主張できません。

部長たちの意向を研究室のボスや指導教官へもっていき、

データから示せる範囲の表現で修正していきました。

(もう査読やん!) 

 

修正しては会社へ提出し、また返却されては修正しを繰り返していたら、

結局、この問題を解決するためだけに3か月近くを要してしまいました…

1回分の査読をやり終えたくらいの気持ちでした。

 

一般的に投稿論文を出す場合は、

事前に共同研究者のチェックを受けて

その内容を踏まえて修正することが多いです。

 

しかし企業では、

研究とは直接かかわりがない人たち(私の場合は部長クラス)の意向も

反映しなくてはいけないケースがあります。

 

研究者のマインド会社の意向

この2つの間でかなり揺れ動かされましたね。

 

このように、

論文投稿前に会社の承認が必要な場合、その対応に結構な期間を奪われる

可能性があります。

 

博士課程3年を考えると、こんなところであまり時間をとりたくありません。

3年生になってからだとかなり焦るので、

ぜひ事前に会社とすり合わせを行うことをお勧めします。

受理・公開されるまで、いろいろな理由から気が抜けない。

さて、準備ができた論文を投稿し、査読を受けます。

論文執筆経験者はご存じの通り、査読期間はケースバイケースです。

一瞬で終わることもあれば、年単位のこともありますし、

査読期間を事前に見積もることはほぼ困難です。

 

しかし、会社はスピード感と見通しを執拗に求めてきます。

 

「受理の見込みはあるのか」

「いつ受理されるのか」

「いつ公開されるのか」

部長たち研究内容と関連する部署などからは、

このような問い合わせが頻繁に来ました。

(わからない、で通すしかないんですが…)

 

特に、会社の大きなプロジェクトにかかわっている研究では、

論文投稿と並行して製品開発や販売準備をしているケースもあり、

計画通り進むように、細心の注意を払っています。

 

このように、

ただ論文受理するだけでなく、

それに付随する会社の仕事も背負っていることもあり、

受理・公開されるまで本当にひやひやします

 

結果的に社会人博士修了用の論文は、

厳しい査読はなく投稿から数か月で受理されましたが、

今後論文投稿をする際に同じような思いをすると想像すると、

今でも胃が痛くなりますね。

まとめ

・論文を出すにあたって会社の承認が必要。

・論文の内容に、会社の意向を反映させなくてはいけないこともある。

・会社の承認に数か月かかり、かなり焦った。

・論文投稿に関しても、早めに会社と情報共有をしたほうがよい。

・無事に受理・公開されるまで、会社からのプレッシャーがあり気が抜けない。

 

博士課程修了のための研究とは言いつつも、

会社員として研究活動をしている以上、

その成果は会社の成果としても扱われます。

 

自分の研究の質を高めて世に出していきたいという思いと、

会社のメリットとなる研究成果を出さなくてはいけないという会社からの圧力。

 

社会人博士に限らず、

企業研究員の方が論文を書く際にはこの葛藤が必ずあります。

 

確かにこの葛藤を持ち続けることは精神的につらい時もありますが、

それでも私は、

企業研究員もチャンスがあれば論文執筆はしたほうが良い

と考えています。

研究員として生きるのであれば、論文は自分のキャリアを支えてくれるはずです。

https://researcherinacompany.com/research-paper/

次回は、

中間審査や博士論文審査会など、大学内の修了要件に関することを書いていきます。

次回こそ本当に最後にします。

 

研究職と博士号に関する記事はこちら

研究職と博士号




社会人博士経験談!会社と大学院を両立するために、博士の研究を業務に組み込んでもらう。

 

前回の記事では、

大学との共同研究をきっかけに社会人博士進学の準備を始め、

会社の説得や入試で苦労した点についてお話ししました。

前回の記事をまだ見ていない方は、こちらをご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-4/

 

今回は第3弾として、

社会人博士経験談パート3:会社の仕事と大学院の両立

という内容で記事を書いていきます。

 

私は、以下のような点を工夫しました。

・大学院や研究科によって修了要件が異なり、大変さが全く異なる。

・会社の仕事に博士の研究が追加されると、時間が足りない。

・博士の研究を会社業務の一つとして認めてもらうように努力してみるとよい。

・会社から認めてもらえれば、時間に余裕が出てくる。

 

少しでも参考になることがあれば幸いです。

社会人博士経験談パート3:会社の仕事と大学院の両立

大学院や研究科によって修了要件が異なる。

多くの方がご存じの通り、

博士後期課程の修了要件は、大学院や研究科によって全く異なります。

例として、私が修了した大学院と出身大学の博士課程を比較してみます。

 

〇私が修了した大学院

・研究実施講習への出席(毎年1回)

・査読付き英文雑誌の筆頭論文1報

・博士論文の提出と合格

・中間審査会(D2)と博士論文審査会の合格

 

〇出身大学の博士課程

・研究実施講習への出席(毎年1回)

・講義10単位(すべてレポート提出)

・研究科主催の論文ゼミ(D1時、月1回)

・国際学会での口頭発表1回

・査読付き英文雑誌の筆頭論文1報

・博士論文の提出と合格

・中間審査会(D1、D2)と博士論文審査会の合格

 

全く違いますね。

そもそも、所属先ごとにこれだけ修了要件が違うことに、改めて驚きます。

 

そして、特に社会人博士にとっては、

修了要件がどのくらい厳しく大変なものであるかは、

仕事などとの両立を考えるうえで非常に重要です。

 

会社の仕事にそのまま博士の研究が追加されると、時間が足りない。

ほとんどの社会人博士学生は、

大学院の研究とは別に、普段会社でも仕事をしています。

 

研究活動だけに自分のすべての時間を割けるわけではなく、

使える時間が限られています。

家族がいたり、大学と自宅が離れているなどのケースでは、

もっと時間が限られてくるでしょう。

 

社会人博士は単純に時間が足りません。

 

私の場合、おそらく修了要件はかなり優しい部類に入るものでしたが、

それでも入学直後から、「研究できる時間が足りない」と感じていました。

会社の仕事をしなくてはならず研究室へ行けない日々が続くと、

「このままじゃ修了に間に合わないんじゃないか?」

という焦りが出てきました。

 

本当は研究室に行きたいけれども、

我慢して会社で業務をこなすことも増えており、

何とかして研究室へ行く時間を確保しなくてはと感じるようになりました。

 

そこで、課長や所長へ相談を持ち掛けました。

博士の研究を会社業務の一つとして認めてもらう

前回の記事にも記載しましたが、

私の場合、社会人博士の進学先はもともと共同研究をしていた研究室であり、

博士課程の研究内容もこの共同研究を起点にしたものでした。

 

しかし会社からは、

共同研究は会社としての業務

社会人博士は個人のスキルアップ

という形で、それぞれ別の取り組みとして認識されており、

業務中に社会人博士に関する作業はできず、業務外時間で行っていました

 

しかし、共同研究の内容と社会人博士の研究テーマは本質的に同じものであり、

社会人博士の研究成果は同時に共同研究の成果として扱ってもよいのでは?

と考えました。

 

そこで、

社会人博士の研究を業務の一つとして扱ってほしい

業務時間中にも、社会人博士にかかわる作業をやらせてほしい」と

課長と研究所長に交渉し、何とかOKをもらうことができました。

  

認められた理由は、以下のようなものだったようです、

・共同研究内容と社会人博士の研究テーマが非常に近い

・社会人博士の研究テーマがうまくいけば、会社の利益になる可能性がある。

 

これにより私は、研究室へ行けたときに実験に割ける時間が増え、

データをとるスピードを上げることができました。

 

私のように、社会人博士の研究テーマが会社の利益につながるものであれば、

会社業務に「社会人博士の修了につながる作業」を盛り込んでもらうことで、

業務中に論文執筆やプレゼン準備などの作業ができ、

時間に余裕が出てくると思います。

 

 

まとめ

・大学院や研究科によって修了要件が異なり、大変さが全く異なる。

・会社の仕事に博士の研究が追加されると、時間が足りない。

・早い段階で、博士の研究を会社業務の一つとして認めてもらう。

・会社から認めてもらえれば、時間に余裕が出てくる。

 

会社の仕事に博士の研究が入ってくると単純に忙しく時間が無くなります。

博士の研究を会社の仕事の一つとして認めてもらうよううまく会社に働きかけ、

業務中に博士の研究時間を確保することで時間の余裕を生み出していました。

 

心身ともに追い込まれることなく、

楽しく研究をして博士号をとれるようにするために、

できる限りの工夫をすることをお勧めします。

 

次回はいよいよ、投稿論文における会社との戦いについて書いていきます。

興味のある方は引き続きご覧ください。

 

研究職と博士号に関する記事はこちら

研究職と博士号




社会人博士体験談!会社の許可を得る交渉と入試での苦労

この記事のポイント

・社会人博士進学についての会社の説得は、どこで躓くか分からない。

・社会人博士の研究を「会社の仕事の一つ」として認めてもらうとよい。

・「社会人取得により会社にもたらすメリット」を自分の中で整理しておくとよい。

・進学先の先生からの推奨をもらっていると、許可が下りやすいかもしれない。

・入試の準備は余裕をもって。学生時代の研究内容の場合十分に復習を。

 

前回の記事では、

大学との共同研究をきっかけに

社会人博士進学の準備を始めた頃までお話ししました。

前回の記事をまだ見ていない方は、こちらをご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/

 

今回は第2弾として、

社会人博士経験談パート2:会社の説得と入試準備

という内容で記事を書いていきます。

 

私は、以下のような点で苦労しました。

・研究所長と本部長の仲が良くなく、許可取得がなかなか進まない。

・「社会人博士取得により会社にもたらされるメリット」を会社に示す。

・入試で行う研究プレゼンの準備。

 

社会人博士進学が決まる経緯から博士号取得までを、時間軸に合わせて書くので、

少しでも参考になることがあれば幸いです。

 

社会人博士経験談パート2:会社の説得と入試準備

会社との交渉

まずは、進学許可を得るための会社との交渉です。

手順としては、以下の通りです。

①自分の上長(課長、研究所長)を説得し

②研究所長から本部長と常務へ説明してもらい許可をいただく

 

まず、①課長、研究所長の説得ですが、

こちらはあっさりと許可をもらいました。

 

許可いただけた理由としては、以下のようなものがあったようです。

・共同研究でデータが出ており、この業績で博士号をとれるなら労力が少ない。

・労力が少ないので、仕事への影響も小さいと判断された。

・課長も研究所長も博士号持ちで、博士号取得の仕事上のメリットを知っている。

・研究室のボスから推薦をもらっている(メールで直接推薦してもらった。)

 

しかし、ここから先で苦労しました。

 

②研究所長から本部長への交渉がなかなか進みません。

その理由は以下のようなものでした。

・研究所長と本部長の仲が良くなく、コミュニケーションが少ない。

・そのため、少し話すだけで終わるような話もなかなか進まない。

 

社会人博士進学のため願書の提出が1月末締め切りで、課長と研究所長の許可は11月末の時点で得ていました。

しかし、願書締め切り前日まで許可の連絡が届きません。

 

何度も研究所長へリマインドメールを送り、

願書の執筆も済ませ、ただひたすら許可の連絡を増しました。

やっと許可が下りたのは、なんと願書締め切り日の3時間前でした。

 

誰かが私の進学を嫌がっているのではないかとすら思っていましたが、何とか会社から進学許可をもらうことができました。

 

ただし、進学に合わせて本部長から一つ課題を与えられました。

社会人進学が会社にもたらすメリットを説明する。

本部長から与えられた課題は、

社会人博士取得により会社にもたらされるメリット

を会社に示すことでした。

 

困惑しました。

正直なところ、社会人博士への進学は自分が博士号を取得することが目的で、

自分自身のキャリア形成のためとしか考えていませんでした。

 

また、研究成果を会社事業へ活かすことも大きなメリットではありますが、

それは共同研究によって得られるものであり、

個人の博士号取得によるものではありません。

 

共同研究と個人の博士取得。

この2つを区別したうえで、個人の博士取得が会社にもたらすメリットを具体的に説明するのに、私はかなり頭を痛めました。

 

いろいろ悩んだ末に、以下のような提案をして納得してもらいました。

・博士号取得のプロセスを通して、研究遂行に必要な能力を身に着けられる。

・この能力は、会社の後輩や部下を研究者として育成する際に不可欠。

・博士号取得により海外の研究者とのコミュニケーションがとりやすくなる。

・博士号取得者が増えることで、研究開発へ力を入れているというイメージの獲得につながる。

・博士を取得できる見込みがあると、研究室のボスが推薦している。

 

実際の文書にはより細かく記載していますが、

大きくは上記の内容を書きました。

この内容を研究所長から本部長へ回してもらい、何

とか納得してもらうことができました。

 

ただ後日、本部長と直接話した際には、

先生からの推薦もらってると断れないよね…」と話しており、

先生からの推薦は効果抜群のようです。

 

社会人博士を希望される方は、

進学予定先の先生などの推薦を事前に取り付けて、

そのことを会社に伝えておく

進学許可が下りる可能性が上がるかもしれません。

 

入試の準備

会社の許可をとって大学へ願書を提出し、面接までの準備に入ります。

面接は、研究紹介と質疑応答です。

そこで、これまで共同研究で行ってきた研究の進捗を説明し、

今後の展望を含めてプレゼンをすればよいかと考えていました。

 

しかし、募集要項を見て愕然とします。

修士課程の研究内容を説明し、質疑応答を行う

この結果、

何年も前の修士課程の研究を復習し、

完璧に仕上げるというタスクが発生しました…。

 

大学院卒業以降ほとんど見たことがなかった過去の資料を引っ張り出して当時の研究データを復習するだけでなく、

私の修了以降に出版された関連論文に一通り目を通し、

自分の研究の位置づけとその後の発展内容について、頭の中に叩き込みました。

 

整理した状況をもとに自分の修士論文発表会の発表資料を作り直し、発表練習も行いました。

 

本番までの1か月間、平日の昼と土曜日は会社の仕事や大学での研究を行い

平日の夜と日曜日は面接対策に充てていました。

今思えば、あの当時は非常に苦労しました。

 

そして何とか本番の面接を無事に終え、

合格し進学を果たすことができました。

 

入試の準備は、会社の業務や研究とは別の時間で行わなくてはいけません。

当時は独身で時間を十分に確保できたため1か月で間に合いましたが、

できれば早い段階から準備を進めておくことをお勧めします。

まとめ

・社会人博士進学についての会社の説得は、どこで躓くか分からない。

・社会人博士の研究を「会社の仕事の一つ」として認めてもらうとよい。

・「社会人取得により会社にもたらすメリット」を自分の中で整理しておくとよい。

・進学先の先生からの推奨をもらっていると、許可が下りやすいかもしれない。

・入試の準備は余裕をもって。学生時代の研究内容の場合十分に復習を。

 

社内の説得や入試準備でもそれぞれ躓くことがあると思うので、

準備は時間的な余裕をもって行う方がよいでしょう。

 

次回は、進学後の研究と仕事の両立について書いていきます。

社会人博士を希望されている方の、少しでも参考になれば幸いです。

次の記事はこちら

https://researcherinacompany.com/doctor-course-5/

研究職の転職が気になる方へ

本ブログ運営者のとうやは、研究職→研究職の転職に成功しています。

概要は以下の記事を参照ください!

↓ 

研究職の私の転職活動:内定を得ました!




社会人博士体験談!会社や大学の推薦・許可を得た経緯について解説。

この記事のポイント

・大学との共同研究は、社会人博士進学のきっかけになりやすい。

・大学の研究室で自分でデータをとり、論文を書ける環境が望ましい。

・論文が書けそうなデータをもとに、研究室のボスから進学許可をもらう。

 

現在私は、食品企業の研究職として働いていますが、

入社後に行った大学との共同研究をきっかけに社会人博士課程に進学し、

博士号を取得することができました。

 

入社後に社会人博士を取得した方はそれなりにいらっしゃるようで、

実際、様々な方が社会人博士取得の経緯、苦労したこと、

メリットデメリットについて

ブログや記事などにまとめてくれています。

(勝手ながら、いくつか紹介させていただきます)↓

Akira Tanimotoさんの記事

(同じような経験者の記事へのリンクを多数貼ってくれている。)

シャープの研究員の方の記事

 

このような記事を見ると、

ひと口に社会人博士といっても一人一人状況が全く異なり、

それぞれ違ったことに悩みながら、

社会人博士課程を修了していることが分かります。

 

企業研究職で博士号取得を希望されている方は、

実際に取得した方の体験談を読んだり聞いたりすることで、

ご自身がどのように行動すれば博士を取得できるか、

イメージしやすくなるのではと思います。

 

そこで、私の社会人博士取得体験について記事することによって、

社会人博士を検討している企業研究者の方の

お役に立てるのではないかと考えました。

 

そこで、

私が社会人博士課程に進学した経緯や

どのように研究と仕事を両立しながら博士号を取得したかについて、

連載記事の形でまとめることにしました。

 

今回はその第一弾として、

社会人博士経験談パート1:食品企業入社から社会人博士進学までの経緯

という内容で記事を書いていきます。

 

私の経験上、以下のような状況が社会人進学に大きく影響しました。

・大学との共同研究は、社会人博士進学のきっかけになりやすい。

・大学の研究室で自分でデータをとり、論文を書ける環境が望ましい。

・論文が書けそうなデータをもとに、研究室のボスから進学許可をもらう。

 

少しでも参考になることがあれば幸いです。

社会人博士経験談パート1:社会人博士進学までの経緯

入社から研究所への異動まで

生命科学系学部の修士課程を修了し、

新卒採用で現在所属する食品会社へ就職しました。

 

新入社員研修後は地方の食品製造工場へ配属され、

生産管理担当として数年間働きました。

 

仕事は特に大きなトラブル等はなく過ごしましたが、

現場の人と会話内容が合わず、人間関係を作るのに疲れる

生産管理の仕事、自分はやりがいや楽しさを感じない

という漠然とした不安や不満を感じていました。

 

そんな中、自分も予期せぬタイミングで研究所への異動を命じられます。

 

もしかしたら、不安や不満が顔に出ていて、

「こいつは工場から異動させた方がいい」

と上司に思われていたのかもしれません。

 

大学との共同研究の主担当に任命される

研究所異動直後は、研究所業務の研修を受けていましたが、

数か月後に、ある大学との共同研究の主担当に任命されます。

その内容は、大学の設備を借りて自分で実験してデータをとる

というものでした。

 

久しく自分で実験をしていなかったこと、

共同研究の内容が大学院時代の研究内容と全く異なっていたこともあり、

任命直後は不安しかありませんでした。

 

しかし、いろいろ考えた末、このチャンスはめったにないと腹をくくり

大学の設備を使い倒し、意地でも結果を出す」 と心の中に誓いました。

週6日以上は研究室へ行き、実験データをとり続ける日々

実際に共同研究が開始してからは、

週6日以上は大学の研究室に出向き、実験に没頭しました。

研究室の進捗報告にも毎回出席し、

データの共有やディスカッションに参加しました。

 

当初会社からは「大学へ行くのは週3回前後で」と言われていましたが、

気づいたらそういわれていたことも忘れ、

ほぼ毎日(土日含む)大学へ行っていました。

 

めぼしいデータが出るまでの1年間もかかりましたが、

研究に没頭するほど研究が楽しくて仕方なく、あっという間に過ぎていました。

 

そして、データが出始めたころ、あることに気づきます。

この研究、うまくいったら論文書けるんじゃないか?

論文書けるなら、博士取得の道もあるんじゃないか?

会社研究所の重役は博士持ってるから、今後のことを考えても博士はあった方がいいかも

 

そして、そのためには研究室のボスの推薦をもらうのが手っ取り早いと考え

社会人博士進学に向けた行動を開始します。

研究室のボスから博士進学の推薦をもらう

社会人博士進学を実現するために、

まずは研究室のボスの許可をとることにしました。

 

アピールポイントは以下の2つです。

・論文を書けるようなデータが取れてきていること。

・研究をさらに発展すべく、会社との共同研究も継続する(=研究費を支払う)。

 

論文という形で研究室の業績に貢献し、

会社から研究費を入れてさらに研究を発展させる。

この2点をもってアピールし、進学許可をもらいました。

 

後で聞いた話ですが、普段の研究の様子や進捗報告を受ける中で

「こいつは社会人博士に進学させてもいいかも」と思っていたらしいです。

 

このような形で、研究室のボスから社会人博士への進学許可をいただきました。

ボスからの許可は、会社を説得するにあたって非常に大きな材料となります。

詳しくは次回に書きます。

 

まとめ

・大学との共同研究は、社会人博士進学のきっかけになりやすい。

・大学の研究室で自分でデータをとり、論文を書ける環境が望ましい。

・論文が書けそうなデータをもとに、研究室のボスから進学許可をもらう。

 

次は、会社の説得と入学試験について書いていきます。

興味のある方は引き続きご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-4/

 

研究職の転職が気になる方へ

本ブログ運営者のとうやは、研究職→研究職の転職に成功しています。

概要は以下の記事を参照ください!

↓ 

研究職の私の転職活動:内定を得ました!




【事例紹介】アカデミアから民間企業へ転職した博士研究員

現在私が所属している食品会社では、

研究職・開発職の社員のほぼすべてが、新卒で採用された社員です。

 

ほとんどが修士課程卒業の理系枠で採用された人たちで構成されており、

博士号持ちの社員は非常に少なく、

それも入社後に取得した人がほとんどです。(私もこのパターン)

 

一方で、博士取得後しばらくアカデミアで働いたのち、

研究職として民間企業へ中途入社する方もいらっしゃいます。

 

私が直接かかわった人としては、

民間企業のオファーを受けて転職したポスドクの方や

私の会社に中途入社してきた元助教の方

などがいらっしゃいました。

 

そのような方と話を聞くと、

自分の経験を何とか企業研究に落とし込んで働いているものの

アカデミア在籍時のイメージと実際の企業研究のギャップなど、

いろいろなことに悩みながら働いているようです。

 

今回は、

ポスドクの転職:アカデミアから民間企業へ転職した研究員

について、紹介します。

 

ポスドクから民間へ転職してきた研究員の事例

今回紹介する事例について

今回は、2名の方について紹介します。

詳細に書くと個人情報的に問題があるので、ある程度ぼかした情報になりますが、ご了承ください。

なお紹介する2名は、

博士取得後しばらくポスドクなどをした後に転職してきたという点、しか共通点はなく、

入社時期、研究分野、年齢等も全く異なります。

 

事例1:就職後、全然違う仕事に割り当てられたAさん

Aさん、生命科学系の基礎研究で博士号をとり、

そのまま助教として働いたのちに私の所属会社に転職してきました。

 

転職のきっかけは、

会社が、ある新規プロジェクトの分野に明るい専門家を探しており、

その方がリストアップされオファーをしたことがきっかけだったようです。

 

中途入社直後から、その方は新規プロジェクトサブリーダー的ポジションとして働き始めました。

部下も数人持ち、約1年半研究開発活動をつづけました。

 

しかし2年後、社内政治的な事情によりそのプロジェクトが終了することになりました。

その方は、終了決定後約1年でプロジェクトをクローズさせる仕事を行い、

その後、同じ研究部門内の分野が違う部署へ異動しました。

 

この異動は、特に専門性を考慮されたわけではなく、

新卒採用の社員と同じような扱いとしての異動だったそうです。

 

中途入社時にはその専門性に期待されて入社したにもかかわらず、

わずか数年後にはその話がすべてなくなってしまうという、残念な状況となりました。

 

その方は自身の専門分野で仕事をしたいという気持ちが強かったため、

プロジェクト終了が決まった直後は転職もかなり検討したそうですが、

様々な事情を考慮して異動を受け入れたそうです。

 

異動先の仕事も楽しんでやれているとは言っていますが、

「いったい自分には何が期待されているかよくわからないんだよね…」

と、不安や不満に感じていることがまだあるようです。

 

また、

・専門性で採用されたのに、結局会社事情で異動させられてしまうこと。

・こんなに短期間で結果を求められると、本質的で質の高い研究はできない。

・このような異動が行われている限り、社内で専門性の高い貴重な研究者は育たない。

 

ということを非常に懸念しているようでした。

いつか異動させられるかと思うと、今の仕事に本気になれないときがあるようで、

今もジレンマを感じながら、仕事をしていらっしゃるようです。

 

事例2:アカデミアで培ったスキルを存分に活かしているBさん

最初の方は、アカデミア時代に身に着けたスキルを比較的活かせているタイプです。

Bさんは、バイオインフォマティクス系のラボで博士をとり、

その後ラボへ移ってポスドクとして働いていました。

 

バイオインフォマティクスという分野は、

食品をはじめ様々なメーカーや企業で専門家が不足している分野です。

その方のラボは、企業の間でも比較的有名だったようで、

企業からの共同研究の申し込みが絶えないような研究室だったそうです。

 

そのため、その方も企業との研究に慣れているだけでなく、

いろいろな企業の考え方や進め方に触れることができていたようです。

こういう経験ができたのは転職活動でも役に立ったということを、

後々この方はおっしゃっていました。

 

さて、この方は、バイオインフォマティクスの専門家として転職活動を行い、

ある食品会社に転職しました。

 

面接の際に、

バイオインフォマティクスやデータサイエンスの仕事を任せる

とはっきり言われるなど、ほぼ専門職として採用されたようです。

採用後は研究部門に配属され、データサイエンスの仕事を中心に行っています。

 

この方のケースでは、

人材が不足している分野の専門家という長所を利点を存分に活かし、

専門性の高いポジションへ転職できました

 

もし、自分の専門性が企業にとって希少価値の高いものであれば、

その専門性を武器に民間企業への転職を実現できるかもしれません。

 

しかし、この方は入社後にいくつかジレンマを感じているようで、

・データサイエンスの過程に興味がなく、解析結果ではなく結論を急かしてくる人が多い。

・インフォマティシャンは何でもできると思っている人が多い。

と嘆いていました。

 

まとめ

・バイオインフォマティクスなど、企業にとって希少価値の高い分野の専門家は、

その専門性を活かした民間企業への転職が実現しやすいかもしれない。

・採用時にはその人の専門性に期待していても、その後のプロジェクト終了などによって

専門以外の仕事に割り当てられてしまうこともあり得る。

・一度企業に入ってしまうと、新卒採用の人と同じ扱いや人事異動を受けてしまうこともある。

 

アカデミアを生き抜いて身に着けてきた専門性など能力が、

民間企業のニーズと合致すれば転職においてとても有利ですが

そのニーズがずっと続くとは限りません。

 

もし企業研究員として活きていくのであれば

専門性という武器を持ちつつも、プロジェクト終了などの会社に意向に従う必要があります。

 

企業のロジックで働くことは、アカデミアのお仕事とはまた違うことが多いようです。

 

大学院卒の強みを生かした転職に特化した

アカリクキャリア」というサービスがあります。

興味がある方はぜひのぞいてみてください。

会員登録は無料ですので、登録しておくだけでも良いと思います。

アカリクキャリア

研究職も転職できる

著者は昨年、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、環境を変えることを検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

https://researcherinacompany.com/recruit-15/



【博士は付加価値】企業研究職が博士号を持つメリットは?

博士を持っていても、企業では何のメリットもないよ!

いやいや、研究職は博士しか採用しない会社も多いよ!

どちらの意見も聞いたことはありませんか?

 

理系学部学生の大半は、学部4年生もしくは修士2年生の段階で新卒として企業へ就職するのが一般的となっています。

特に、修士卒の学生は企業の理科系の採用枠で就職できる可能性が高いようです。

 

修士の学生は博士課程へ進学し研究活動を続けることもできますが、

その割合はあまり多くないようです。

博士卒の学生を採用している企業の数は修士の学生と比べると非常に少なく(もしくは修士と博士で待遇が同じでメリットが少ないため)、

博士に行きたくてもいけない学生もいるようです。

この状況だけみると、企業は博士を必要としていないように見えてしまいます。

 

一方で、一部の企業では、社員(研究員)を大学の博士課程へ進学させるケースがあります。

少なくともこのような企業では博士号を推奨しているように見えますが、

一方で新卒採用では博士卒をあまりとらないことも多いです。

社員が博士号を持っていることは企業にとってプラスなのか、なかなかわかりづらいように感じられます。

 

今回は、

博士号を持っていることが会社員にとって優位性のあるものなのか

そして、「自分自身のためにも博士号は持っておいた方がいい」という私の考えについてお話しします。

 

博士は付加価値、研究者としては持っていた方がいい。

博士号が社内で活かされるかは、正直なところ会社次第

博士号が社内で活かされるかは、

正直なところ、「会社次第です」という答えになります。

会社・研究所・部署ごとに、博士への進学や博士取得者に対する印象や期待が全然違うからです。

 

例えば、社内の研究者育成プランの一つに「博士取得」が含まれている会社もあります。

このような会社では、この仕組みに乗っかって博士課程へ進んだ方もいるはずです。

 

しかしこのケース、「会社と大学で共同研究を結び、会社の研究テーマで博士号を取らせる」という条件付きであることが大半です。

会社側は、「博士号をとらせること」だけを目的にしているのではなく、

「共同研究で会社のためになる結果を得てもらい、ついでに博士号も取ってもらう」というスタンスでいることが多いです。

ただ一方で、このような会社では研究員が出世する(はっきりとは言われていない)条件の一つに博士修了が入っている可能性があります。なかなか難しいですね。

 

一方、社内に博士取得者がいない、新卒採用も学士卒や修士卒までの会社では、

博士というものにあまり価値を置いていない可能性があります。

研究所の偉い人たちも博士号を持っていませんので、社員にそういった資質を求めないんでしょう…。

裏を返すと、自分が博士号をとれば周りから一つ抜きんでることにもなります。

異動してきた研究所のトップが「これからは博士持ちの研究員を増やしたい」と宣言したら、その時点で社内でアドバンテージを得られるかもしれません。

研究者として生きていくなら、博士号を持っていて損はない。

アカデミアの研究者にとって博士号は研究員としての合格証みたいなもので、

これをとることで各ポストへの応募ができます。

企業ではそういったケースは必ずしも多くはありませんが、

博士号は自分の研究者としての資質を分かりやすく示してくれるものであり、特に外部と仕事をする際に役立つことがあります。

 

たとえ企業の研究員だとしても、共同研究などでアカデミアの研究者と一緒に仕事する機会はあるはずです。

その時に、博士を持っていることによって(特に海外の研究者とは)序盤のコミュニケーションが非常に進めやすくなります。仕事をスムーズに進めるための最初の潤滑油になってくれます。

 

そして何より、博士号は「自分は研究員としての合格証を持っている」という自分自身の付加価値化につながります。

博士をとるためのプロセス(自分で研究を立案・実施し、論文を書き査読をクリアして受理させ、博士論文の審査を通過する)を通過したという、

研究者としての一定の能力を示すことになるからです。

特に30代などの若い方であれば、民間企業以外の研究機関も転職対象になるなど、自分の可能性を広げることにつながるはずです。

 

もちろんその人の専門性や成し遂げた仕事の方に注目すべきですが、博士号は名刺にも書けますし分かりやすい形で自分の価値をアピールしてくれるはずです。

まとめ

博士号が会社で活かされるかは会社の雰囲気によりますが、

自分の付加価値化という面でとっておいて損はないと思います。

 

博士号そのものは「足の裏の米粒、とっても食えない」と言う人もいますが、博士号が自分の価値を高めてくれる側面は確実にあります。

企業の研究者でもタイミングを見て博士進学を申請してみてはいかがでしょうか。



 

民間企業と博士号に関する記事はこちら

カテゴリー:研究職と博士号