2024年5月11日:GPCR-リガンドスクリーニングに関するスケール特大論文3報

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新しいリガンドスクリーニング技術は頻繁に論文に報告されていますが、最近はそのスケールがとてつもなく大きいだけでなく、その技術を利用した新発見も併せて論文に掲載されていることが多いです。

特にGPCRと代謝物の相互作用については、研究がどんどん出てきています。

 

今回は、GPCR-リガンドスクリーニングに関して、私が直近1年で紹介した論文3報を掲載します。

*ほかにも似た論文はたくさん出ていますが、ご容赦ください。

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目次

GPCR-リガンドスクリーニングに関するスケール特大論文3報

アルツハイマーにかかわるGPCR-腸内細菌代謝物ペアを特定 Cell Reports

腸内細菌代謝物335種とGPCR108種の結合パターンを機械学習を使って約109万ペア同定し、アルツハイマー予防にかかわるGPCRや代謝物を特定した論文です。

タイトルは、

Systematic characterization of multi-omics landscape between gut microbial metabolites and GPCRome in Alzheimer’s disease

https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(24)00456-X

 

マルチオミクス、GWAS、メンデルランダム化、Alphafold2、機械学習などなど、使えるものをフルセットで使っているすさまじい論文で、メカニズム解明の実験も膨大です。

すごく大規模な研究だと私も思いましたし、「これでCell Reports?」というコメントをたくさんもらいました。

GPCRにて活性化しているGタンパクを検出するバイオセンサー Cell

GPCRがリガンドと結合した際にどのGタンパクが活性化しているか?を、スクリーニング・確認できるバイオセンサー「ONE-GO」を開発・実用化したという論文。

タイトルは

Direct interrogation of context-dependent GPCR activity with a universal biosensor platform

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0092867424000655

 

GPCR全タイプに対応し、細胞の種類も問わないらしい。もちろん分子機構の研究にも使えるとのこと。

バイオセンサーキットの情報も公開されており、購入もできるようです(以下リンクから)。

https://www.addgene.org/kits/garcia-marcos-one-go-biosensors

すべてのGPCRと化合物の相互作用を、96穴プレートで一斉評価できる Cell

特定の化合物がどのGPCRと相互作用するか、ほぼ1枚の96穴プレート一斉評価できてしまう「PRESTO-Salsa」というスクリーニングツールを開発した論文。

タイトルは

Highly multiplexed bioactivity screening reveals human and microbiota metabolome-GPCRome interactions

https://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(23)00543-3

 

論文では、ヒト関連代謝物1041種とGPCRの相互作用を評価し、これまで知られていなかった関連をたくさん見出しています。

それだけでなく、ヒト常在微生物435株由来代謝物とGPCRの相互作用も網羅的に調べ、Porphyromonas gingivalisという細菌のヒトCD97/ADGRE5への作用も明らかにしています。

終わりに

機械学習や様々なテクノロジーを駆使したスクリーニング技術はすごい勢いで発展しています。

普段これらの技術を使うことがない分、せめて論文などで考え方に触れておかないとすぐにおいていかれてしまいそうです。

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この記事を書いた人

食品メーカー研究職。
修士卒→食品メーカー(この間、社会人博士取得)→2023年に研究職で転職。
専門は質量分析・オミクスを使った研究/発言は個人的見解です
Twitter:https://twitter.com/NzXyZQDOCMpLgz5

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