超加工食品。
文字通り加工度の高い食品群を指す名称で、例えばソーセージ、菓子パン、清涼飲料水、などが挙げられます
(以下より引用)。
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400209526.pdf
「超加工食品って身体に悪いらしい」みたいな話を耳にしたこともあると思いますが、実際栄養研究は非常に多くやられており、ここ1年でも面白いもしくは強力なエビデンスが続々と出てきています。
今回は、「超加工食品ってどんな影響があるの?」について調べた、論文を3報紹介します。
※本ブログは、直近1年程度に出版された論文の中から、著者が独断と偏見で選択した論文を紹介しています。
超加工食品ってどうなの?を調べた直近のヒト研究論文3報
超加工食品を食べると体内代謝物も変化する Journal of Nutrition
超加工食品が多い食事(糖分、塩分、脂肪が多い食品が中心)を2週間食べたときに、血液や尿の代謝物がどのように変化したかを調べたヒト介入試験の論文。
タイトルは、
Metabolomic Profiling of an Ultraprocessed Dietary Pattern in a Domiciled Randomized Controlled Crossover Feeding Trial
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022316623724085?via%3Dihub
対照食には「加工度の低い食品を中心とする食事」を設定し、クロスオーバーデザインの試験(=同じ被験者が別のタイミングで両方の食事を摂取する)で調べています。介入期間は2週間。
結果として、血液(993代謝物のうち257種)・尿(1279種のうち606種)ともにかなりの数の代謝物に変動がみられ、その中には人工甘味料のアセスルファムも含まれていたそうです。
超加工食品の摂取は、短期的にも体内の状態に影響しているのかもしれません。
超加工食品の摂取量と死亡率の関連 BMJ
超加工食品の摂取量の増加と死亡率が関連するかを調べた、約30年数万人追跡の米国コホート研究。
タイトルは
Association of ultra-processed food consumption with all cause and cause specific mortality: population based cohort study
https://www.bmj.com/content/385/bmj-2023-078476
摂取量増加により、全死亡率及び各種疾患死亡率(ガンと心血管疾患以外)が、わずかではあるが高くなるという結果が得られたとのこと。
食品の種類別にみると、特に肉・鶏肉・魚介類をベースにしたインスタント製品は死亡率と特に強い関連を示したとのこと。
コホート参加者が女性看護師と男性医療従事者ということ一般的な人たちより知識がありそうですが、それでもこのくらいの関連が出てくるのは興味深いです。
超加工食品の健康への影響を評価した超巨大メタアナリシス BMJ
超加工食品の摂取量と、多種多様の健康アウトカムとの関連を評価した、超巨大なメタアナリシスの論文。
タイトルは
Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses
https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-077310.long
45個の研究、総勢約1000万人が対象となったこちらのメタアナリシス。健康アウトカムも多岐にわたっており(mortality, cancer, and mental, respiratory, cardiovascular, gastrointestinal, and metabolic health outcomes)データの膨大さに圧倒されます。
結果としては、超加工食品への曝露が増加すると、死亡率、精神疾患、心臓代謝系疾患のリスクが増加することを確認しています。
終わりに
私たちも日常的に超加工食品は摂取していますが、完全に除去する必要はないものの、わざわざ過剰に摂取する必要はないだろうということが、これらの研究からも読み取れると思います。
最後に紹介したメタアナリシスの論文でも、「超加工食品を減らすことが公衆衛生の課題の一つ」と述べており、少しずつでも摂取を減らして健康リスクを下げることは必要なのかもしれませんね。
超加工食品をテーマとした栄養疫学研究はたくさん出ているので、ほかの論文にもぜひ目を通してみてください。
個人的な話ですが、食品会社で栄養関連の研究をしているということもあり、栄養疫学の研究がBMJなどのトップジャーナルに掲載されていることにとてもテンションが上がります。
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