2024年5月20日:乳酸菌(ロイテリ菌)のトリプトファン代謝がすごい、という論文3報

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乳酸菌・ビフィズス菌などの微生物を経口摂取して健康効果を得る「プロバイオテクス」の実用化がどんどん進んでいます。

様々な微生物が実用化されていますが、その中でも乳酸菌の一種「Latcobacillus reuteri」通称ロイテリ菌の存在感は際立っています。

どうやら、ロイテリ菌が持つ特徴的な代謝経路、その中でもトリプトファン代謝が菌の持つポテンシャルと大きく関わっているようです。

今回は、このロイテリ菌の特殊な健康機能について、過去にツイッターで紹介した論文3報を紹介します。

※本ブログは、直近1年程度に出版された論文の中から、著者が独断と偏見で選択した論文を紹介しています。

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目次

乳酸菌(ロイテリ菌)のトリプトファン代謝がすごい、という論文3報

ロイテリ菌のトリプトファン代謝が、腸内代謝物ネットワークの起点に Microbiome誌

ロイテリ菌がトリプトファンを代謝してインドール-3-乳酸を作り、この物質を基質に他の腸内細菌がさまざまな代謝物へ変換し、複合的に作用して腸炎予防などの免疫機能にかかわるという論文。

タイトルは、

Microbiota-derived indoles alleviate intestinal inflammation and modulate microbiome by microbial cross-feeding

https://microbiomejournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40168-024-01750-y

腸内細菌間での代謝物の受け渡しや代謝物ネットワークの研究は盛んに行われていますが、ロイテリ菌がその起点になるという報告です。

ロイテリ菌単独の機能だけでなく、腸内環境全体での変動もとても重要です。

 

ロイテリ菌代謝物が、スタチンによるがん予防にも貢献 Nature Microbiology誌

ロイテリ菌のトリプトファン代謝物インドール-3-乳酸が、スタチンによる結腸癌予防効果を高めるという論文。

タイトルは

Microbiota-derived tryptophan catabolites mediate the chemopreventive effects of statins on colorectal cancer

https://www.nature.com/articles/s41564-023-01363-5

インドール-3-乳酸が核内受容体RORγtへ作用し、T細胞のIL-17産生型への分化を抑えるそうです。

ロイテリ菌がメラノーマに移行して、抗腫瘍効果を発揮? Cell誌

何と、ロイテリ菌自身がメラノーマに移行し、免疫チェックポイント療法の効果を高め、抗腫瘍効果を発揮するという、何とも信じがたい論文。

タイトルは

Dietary tryptophan metabolite released by intratumoral Lactobacillus reuteri facilitates immune checkpoint inhibitor treatment

https://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(23)00271-4

メラノーマに定着したロイテリ菌がトリプトファンからインドール-3-アルデヒドを産生し、AhRを介してIFNγ産生CD8陽性T細胞を活性化させ、抗腫瘍効果を高めるそうです。

終わりに

ロイテリ菌による健康機能はこれまでにたくさん報告されていますが、そのメカニズムの一つとしてトリプトファン代謝・インドール系代謝物の関与はとても大きいようです。

上記以外の有効性検証研究もよく目にするので、ロイテリ菌-トリプトファン代謝の組み合わせは今後も注目です。

 

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この記事を書いた人

食品メーカー研究職。
修士卒→食品メーカー(この間、社会人博士取得)→2023年に研究職で転職。
専門は質量分析・オミクスを使った研究/発言は個人的見解です
Twitter:https://twitter.com/NzXyZQDOCMpLgz5

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