2024年5月31日:褐色脂肪細胞の機能は奥が深い!という論文4報

(スポンサーリンク)

※ 当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

褐色脂肪細胞という単語を耳にすると、「熱産生」というワードを反射的の思い浮かべると思います。

一方で、褐色脂肪細胞は熱産生以外にもメタボリックシンドロームの予防などにも直接関与していることや、熱産生機構には多種多様な制御機構が関与しているなど、熱産生の一言では片づけられない奥の深さがあります。

今回は、褐色脂肪細胞の特殊な健康機能とその奥深さについて、過去にツイッターで紹介した論文3報を紹介します。

※本ブログは、直近1年程度に出版された論文の中から、著者が独断と偏見で選択した論文を紹介しています。

(スポンサーリンク)

目次

褐色脂肪細胞の機能は奥が深い!という論文4報:20240531

褐色脂肪細胞は、骨格筋と代謝物の受け渡しをしている Nature Metabolism誌

褐色脂肪細胞は、骨格筋との間でグルコース・乳酸・アミノ酸などの代謝物を交換して熱産生へ利用していることを明らかにした論文。

タイトルは、

Quantitative analysis of metabolic fluxes in brown fat and skeletal muscle during thermogenesis

しかもこの組織間の代謝物交換に基づく褐色脂肪細胞の代謝プロファイルは、宿主がどの温度環境にいるかでも状況が変化するとのこと。具体的には、室温の場合はグルコースと乳酸の利用が85%近くを占めているものの、低温に暴露されるとアミノ酸を使用した窒素代謝経路が活発になるそうです。

温度環境に応じて熱産生のための代謝の重心を動かし、それに伴い必要な代謝物を骨格筋などの他の組織から受け取っているのは興味深いです。

 

論文リンクはこちら↓

https://www.nature.com/articles/s42255-023-00825-8

褐色脂肪細胞の熱産生は、加齢に伴って機能が低下する Nature Communications誌

褐色脂肪細胞の熱産生が加齢に伴って低下することと、その原因が、加齢に伴い増加する老化免疫細胞によるもので亜あることを明らかにした論文。

タイトルは

Senescent immune cells accumulation promotes brown adipose tissue dysfunction during aging

論文では、S100A8というタンパクを発現しているT細胞や好中球がいわゆる「老化免疫細胞」と位置付けられており、これらの細胞が分泌するS100A8が交感神経ニューロンおよび褐色脂肪細胞と結合して、交感神経支配を阻害することで熱産生機能を低下させるようです。

また、高齢マウスへS100A8の阻害剤を投与することで、褐色脂肪組織内のS100A8陽性細胞の数が減ることも確認しています。

 

論文リンクはこちら↓

https://www.nature.com/articles/s41467-023-38842-6

 

褐色脂肪細胞の機能も腸内細菌に制御されている Cell Reports Medicine誌

無菌マウスに肥満or痩せの人の糞便を移植して高脂肪食を食べさせると、褐色脂肪細胞の熱産生機能が大きく異なっていることが明らかになり、腸内細菌が褐色脂肪細胞の機能を制御していることを明らかにした論文。

タイトルは

Gut microbiome modified by bariatric surgery improves insulin sensitivity and correlates with increased brown fat activity and energy expenditure

論文では、肥満手術を受けた患者が、手術前後で腸内細菌叢が大きく変化していることに着目し、前後それぞれの便をマウスに移植した際に代謝状態がどのように変化するかを調べています。

その中で、褐色脂肪細胞の熱産生機能が大きく異なる(手術後に痩せたときの便の方が、熱産生能力が高い)ことを明らかにし、特に腸内細菌由来トリプトファン関連代謝物(セロトニン、インドール類など)の関与を示唆しています。

 

論文リンクはこちら↓

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666379123001659

褐色脂肪細胞は、熱産生機構と関係なくインスリン感受性を維持? Cell誌

なんと、褐色脂肪細胞の熱産生機構とは別のメカニズムで、宿主のインスリン感受性維持や抵抗性の増悪につながる子を示した論文。

タイトルは

BCAA-nitrogen flux in brown fat controls metabolic health independent of thermogenesis

ミトコンドリアにおける分岐鎖アミノ酸(BCAA)代謝の異常がインスリン抵抗性につながるとのこと。実際、ミトコンドリア内のBCAAキャリアタンパクをKOすると、ミトコンドリア内でのBCAA代謝が停止し、窒素代謝の機能不全と酸化ストレスの増加につながるとのこと。

https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(24)00346-5

終わりに

私自身、「褐色脂肪細胞=熱産生の中心」くらいの認識しかなかったですが、その制御には腸内細菌含めた様々な要因が絡んでいることや、熱産生以外の機構で宿主の代謝性疾患の制御にも関連していることを初めて知りました。

エネルギー消費や熱産生以外の役割としても、褐色脂肪細胞には今後も注目したいです。

 

トップへ戻る

論文紹介へ戻る

(スポンサーリンク)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

食品メーカー研究職。
修士卒→食品メーカー(この間、社会人博士取得)→2023年に研究職で転職。
専門は質量分析・オミクスを使った研究/発言は個人的見解です
Twitter:https://twitter.com/NzXyZQDOCMpLgz5

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次