腸内細菌叢ではユニークな代謝物がたくさん作られ、宿主の健康に大きく関わっています。
その中でも、腸内細菌のアミノ酸代謝に関する論文を最近多く見かけるので、いくつか紹介します。
※本ブログは、直近1年程度に出版された論文の中から、著者が独断と偏見で選択した論文を紹介しています。
腸内細菌のアミノ酸代謝が大事!な論文3報
新生児の腸内セロトニンがアレルギー予防に? Science Immunology
新生仔マウスの腸では神経伝達物質セロトニンが多く存在し、制御性T細胞増加や経口免疫寛容を促すこと、このセロトニンは腸内細菌が生成していることを明らかにした論文。
タイトルは
Gut bacteria–derived serotonin promotes immune tolerance in early life
https://www.science.org/doi/10.1126/sciimmunol.adj4775
仔の神経伝達物質合成が腸内細菌に制御されているのは面白いです。
腸内細菌に概日リズムにより、絶えずトリプトファン代謝が変動 Cell Reports
腸内細菌叢のトリプトファン代謝が概日リズムを刻んでいることを示した動物試験の論文。
タイトルは
The microbiota drives diurnal rhythms in tryptophan metabolism in the stressed gut
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(24)00407-8#secsectitle0105
トリプトファン代謝酵素を持つ細菌の多くがリズムを刻むそうです。
また、動物に急性ストレスを与えると代謝リズムが乱れ、宿主のトリプトファン代謝にも影響するそうです。
BCAAとトリプトファンを代謝する腸内細菌が糖代謝を調節? Cell Host & Microbe
一部の腸内細菌が腸管内でアミノ酸代謝を活発に行っており、これにより宿主のアミノ酸代謝や耐糖能が調節されることを示した動物試験の論文です。
タイトルは
Microbiota metabolism of intestinal amino acids impacts host nutrient homeostasis and physiology
https://www.cell.com/cell-host-microbe/fulltext/S1931-3128(24)00121-5
BCAAとトリプトファンの代謝遺伝子を持つ細菌が、宿主のグルコース代謝に影響するとのこと。
終わりに
腸内細菌のアミノ酸代謝と宿主の健康は切っても切れない関係です。
腸内細菌叢の個人差にとどまらず、細菌の概日リズムやそれに伴う代謝動態の変化まで…
アミノ酸代謝だけでも奥が深いです…
コメント