妊娠中の母親や胎児は、体の中で常に劇的な変化を起こしています。
今回はその様子が垣間見える論文を、3報紹介します。
※本ブログは、直近1年程度に出版された論文の中から、著者が独断と偏見で選択した論文を紹介しています。
妊娠中の母親や胎児の劇的な変化を感じる論文を3報紹介
母親の高血糖が胎児の代謝に影響? Cell
妊娠中の高血糖状態が胎児の代謝プロファイルを変えてしまうことを動物実験で示したCellの論文。
タイトルは、
Atlas of fetal metabolism during mid-to-late gestation and diabetic pregnancy
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S009286742301228X
胎児へのソルビトールの蓄積、胎児脳のアミノ酸代謝の変化を見つけ、さらに13Cを使って胎児の成長と代謝状態の変化も捉えています。
ResourceとはいえさすがCell本誌で、かなり読みごたえがあります。
妊娠中、母親の各組織の代謝は絶えず変化する Cell
妊娠中、母体各組織の代謝状態がどのように推移するかを、実験用サル由来組織のオミクス解析で詳細に調べた論文。
タイトルは
A multi-tissue metabolome atlas of primate pregnancy
https://www.cell.com/cell/abstract/S0092-8674(23)01329-6
妊娠への母体の適応に関連する代謝物の同定にも成功したそうです。
代謝物の妊娠における役割についても、ヒト細胞モデルやヒトサンプルを使って調査しています。
妊娠期の概日リズムが大事? Nature Metabolism
妊娠期の概日リズムの乱れが、仔の新生児疾患(壊死性腸炎や敗血症)の重症化リスクを高めてしまうことを、動物試験で示した論文。
タイトルは
Maternal circadian rhythm disruption affects neonatal inflammation via metabolic reprograming of myeloid cells
https://www.nature.com/articles/s42255-024-01021-y
リズムの乱れにより、新生児骨髄由来抑制性細胞(MDSCs)が機能障害を起こし、胎児の炎症惹起に繋がってしまうとのこと。
終わりに
妊娠中に母親や胎児ではかなり大きな変化があることが、これらの論文からもよく分かります。
神秘的な領域でもあるので、今後も最新の研究を追っていきたいところです。
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