【体験談】研究者目線で、転職前後の会社を比べてみた。

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こんにちは、とうやです。

2023年に研究職から別の会社の研究職へ転職し、もうすぐ1年になります。

前職に不満があったわけではなく諸事情が重なったことによる転職でしたが、

おかげさまで、現在の職場は忙しい中でもとても楽しく、いい転職ができたなと感じています。

 

私の転職の経緯や、研究職転職ノウハウについては、こちらの記事を見てみてください。

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さて、転職して約1年が経ち、いつも感じるのが

前の会社と今の会社、全然違うこと多すぎ!

転職体験談ブログを見ると、会社の社風の違いで戸惑った経験などがたくさん書かれていますね。

 

また、研究職という視点でも前職と現職を比べてみると、

研究テーマの決まり方、研究員の取り組み方、その他関連するルールなど、

研究開発周りでも社風の違いが色濃く出てきます。

研究開発においても各社さまざまな違いがあるのは想像されますが、

実際に転職して体験してみると、その違いはかなり大きいものだと実感させられます。

 

そこで今回は、

【体験談】研究者目線で、転職前後の会社を比べてみた。

というテーマで語っていきます。

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目次

【体験談】研究者目線で、転職前後の会社を比べてみた。

研究テーマの決まり方、予算の取り方

研究テーマの決まり方、前職と現職で結構大きな違いがあったので紹介します。

前職:研究所で小さく試してみて、芽が出たものをテーマ化させる

前職は研究所に対する会社全体の期待感が小さかったという背景もあり、

研究所で小さく試してみる ⇒ 芽が出たものを本テーマ化しつつ、事業化先を探す。

という流れがほとんどでした。

 

予算については、

研究部門の年間予算がすでに決まっており、その中ですべてをやりくりする。」

というスタイルでした。

そのため、すでに事業と強く結びついているテーマに予算が大きく割り振られ、新しい研究に大きな予算はつけられないことがほとんどでした。

 

新しいことを始める際に確かにお金はあまりありませんでしたが、

試しにやってみてから考えよう」というマインドで仕事に取り組みやすい仕組みでした。

 

現職:研究を始める前に決めることが多い。

現職は基本的に、

研究計画やその先の方向性まで具体的にしてからでないと、研究を始めさせない(承認しない)。

という制度になっています。

研究方法、費用、期間、担当者などだけでなく、

お客様のイメージ、商品イメージや単価と利益率、知財戦略、事業化した際のパートナー候補、推定ビジネス規模、

この辺りまでを「研究開始前」までにある程度整理しなくてはいけません。

 

そのため、研究を始めるまでの「調査」や「社内調整」に非常に労力を強いられます

当然研究開始までたどり着けないテーマがたくさん発生します。

 

一方で、承認されるテーマ数が少ないということもあり、

承認された研究テーマには一定の規模の予算が割り当てられます。

ここまで綿密な計画を求められるため、当然スモールスタートはできません。 

 

「試しにやってみてうまくいきそうなものを軌道に乗せる」というスタイルは現職では難しいですが、

一方で大きなことを成し遂げたい場合には、承認を受ければ予算をそれなりに取れるという点でメリットがあるかもしれません。

社員の研究開発への取り組み方

上記のような研究テーマ設定スキームの違いがあるため、

研究員の研究開発への取り組み方やそのマインドにも前職と現職では大きな違いがあります。

こちらも、比較して説明します。

前職

予算はあまりない状況ではあるものの、自分や研究員同士のアイディアに基づいて「まず試しに小さくやってみよう」という雰囲気がありました。

自分のアイディアをすぐに試せる環境というのは、研究員本来の持つ欲求を満たせるという点でも良い環境だなと思っていました。

 

一方で、新しいことに対して大きな予算が割り当てられる確率はほぼ皆無でした。そのため、

「自分の成果を社会へ出したい」というタイプの人は、何年もかけて他部署や社外(競争的資金)に掛け合い、予算と協力者の獲得に奔走するしていました。

実際ある社員は、「うちの会社は新しいことをさせてくれない!」とよく嘆いていました。

現職

まず、研究テーマ承認までに相当な労力を要するため、研究開始前の研究員のモチベーションコントロールが非常に難しいです。

研究が好きな人たちにとって、研究させてもらえないというのはストレス以外の何物でもありませんからね…

 

その後研究テーマが承認されると、今度は締め切りと結果に対する凄まじいプレッシャーとの戦いになります。

大きな仕事を成し遂げたいタイプの研究員であれば、この状況は想定内(むしろ望むところ?)と思います。

例えば私自身は、研究を通してそれなりに社会インパクトにつなげていきたいという考えのため、このような状況に必要以上のプレッシャーやストレスは感じていません。

 

一方で、自分のアイディアをすぐ試すことを大切に考えている人からすると、

テーマ承認後は「まず試してみて、うまくいけば進めて、うまくいかなかったら撤退する」というような小回りが利かなくなるため、ストレスフルに感じてしまうかもしれません。

また、締め切りと結果に対するプレッシャーは大きなストレスになるリスクがあります。

イチ会社の研究員の中にも、様々な考え方の人がいます。研究したいだけなのに大きすぎるプレッシャーを背負わされるのが果たして適切なのか、なかなか難しい問題だなと日々感じています。

求められる安全衛生レベルが全然違う

安全衛生に関するルールやそのレベルは、その会社の業務内容やたどってきた歴史に基づいているような気がします。

前職と現職では以下のような違いがあります。

前職:厳しい

・製造工場レベルの安全衛生レベルを、本社・研究所・営業所にも求める社風。

・研究所の服装(専用作業着・安全靴必須)や使用物品に関するルールが厳しく、しかも徹底されている。

・安全衛生に関する研修の数・頻度が多い(平均月1回くらいは何かしらあった)

・5S活動(ヨシヨシ活動?)に割く時間がものすごく多い(これはこれでしんどい💦)

 

現職:緩め

・少なくとも研究所・本社・営業所においては、工場レベルは求められていない。

・専用作業着を着る以外はルールがほとんどない(実験して大丈夫?みたいな服装の人もいる)。

・安全衛生に関する研修は年に数回程度。

・前職の目線で見ると、危険に見える行動をとる人も少なくない。

 

他部門の研究開発に対する理解度

前職は社員のほとんどが研究に興味がなく、研究員は会社の片隅に置かれるような社風でしたが、

現職は研究開発にそれなりの期待をかけてくるような社風です。

これはメリットデメリットに分けて記載します。

メリット

・いちいち背景から丁寧に説明する時間が減る。

・研究背景の共通理解があるため、議論がスムーズ。研究側も有益な情報も得られやすい。

・他部門から依頼される内容が具体的で、何をやればよいのか研究側も分かりやすい。

(ざっくりしすぎて何をやればいいのかわからない依頼、めっちゃ困る(笑))

デメリット

・急かされる。研究結果はまだか?としょっちゅう聞かれる、プレッシャーがすごい。

・期待されている分、仮説通りに結果が出なかったときの手のひら返しがすさまじい。

・頼られることが多くなり、自分のやりたいことができなくなる。

 

前職は社員のほとんどが研究に興味がなく、研究員発信の情報が会社になかなか届きませんでしたが、

他部門の監視があまりない分、自分の考えに基づいた研究開発に取り組めていました。

 

一方現職は、経営陣はじめ多くの部署が研究開発の動向を注視するような社風です。

コミュニケーションがとりやすいというメリットはあるものの、プレッシャーが結構えげつないなとも感じています。

終わりに

食品会社から食品会社へ転職して1年間で、研究者目線で感じた2社の違いは主に以下の通りです。

・研究テーマの決まり方、予算の取り方

・社員の研究開発への取り組み方

・求められる安全衛生レベルが全然違う

・他部門の研究開発に対する理解度

 

いずれも社風を反映したもので一概にどちらがいいとかは言えませんが、

少なくとも私は、研究者として現在の職場に不満は抱いていません。

また新たに気づいたことがあれば、この記事に随時追加していきます。

 

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この記事を書いた人

食品メーカー研究職。
修士卒→食品メーカー(この間、社会人博士取得)→2023年に研究職で転職。
専門は質量分析・オミクスを使った研究/発言は個人的見解です
Twitter:https://twitter.com/NzXyZQDOCMpLgz5

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