修士卒で企業に入ったが、博士号を取りたい!
そう思っている企業研究職の方、いらっしゃいませんか?
企業で研究職として働きながら大学院へ進学して博士号取得を取得することを、この記事では「社会人博士」と呼ばせていただきます。
日本では、新卒採用での理系職種の採用は修士卒の学生が中心で、研究職にも修士卒の方が多いと思われます。
一方で、研究を続ける中で「博士を取りたい!」と思い始める方も結構多いのではないでしょうか。
しかし、実際に進学できるか、取得できるか、については、ご自身の事情だけでなく、会社の許可や制度も大きく関わってくると思います。
ご自身や研究所の同僚で、社会人博士を経験された方はどのくらいいるでしょうか?
また、ご自身の会社の制度などは理解しているかと思いますが、他社はどのような事情なのか、気になりませんか?
そこで、
本ブログの著者のツイッターアカウントを使用して企業研究職の皆様にアンケートを取り、
社会人博士事情について調査しました。
以下のリンクから、私のアカウントを見ることができます。
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実際調べてみると、会社ごとに制度やルールが違うこと、補助にもいくつかパターンがあること
などが分かってきました。
そこで今回は
「企業研究職の社会人博士事情」として、企業研究職の皆様に回答していただいたツイッターアンケートの結果をまとめました。
企業研究職の社会人博士事情
企業研究職の最終学歴は?
まず、企業に博士持ちがどのくらいいるか、を調べるべく、
「企業研究職の皆様、最終学歴は?」というアンケートをツイッターで行いました。
結果はこちら↓
博士卒が約2割に留まり、修士卒が約6割を占めました。
新卒採用では、研究職には修士卒の学生が多く採用される傾向がありますが、今回のアンケート結果にもその傾向が反映されていました。
一方で、博士の学位を持つ研究員は約2割にとどまりました。
業界ごとにその割合は異なることが予想されますが、それでも博士の割合はあまり多くないのが実情のようです。
会社は、大学院へ通うことに肯定的?否定的?
ではここからは、
「所属する研究員が社会人博士を取ること」について、
会社の考え方や補助のルールなどについて探っていきます。
まずは、社員が会社に在籍したまま大学院へ通うことについて、会社がどのように考えているかについて聞きました。
「在籍社員が大学院へ通って学位を取ることについて、会社の考えは?」
というアンケートを実施しました。
結果はこちら↓
「否定的」に考えている会社が約1割にとどまり、「肯定的」に考えている会社が約5割、という結果になりました。
個人的には、
「否定的な会社、少なくてよかった…」
ととても安心しました。
社員が大学院へ通いたいと考えていても、会社が否定的な見解を示せば実現はかなり難しくなります。
そういう意味でも、肯定的な会社が多く、否定的が少ない、という傾向は、進学を考えている社員にはうれしい結果ではないでしょうか?
会社は大学院への進学費用を補助してくれる?
「会社が進学に肯定的なのは分かった」
「でも進学にはお金がかかる…」
「もし、費用の補助もしてくれたらうれしいな~」
こんなことを考えている方はいませんか?
世の中には、社員の進学費用を全額補助してくれる会社もあるそうです。
なんとうらやましい!そんな会社、どのくらいあるのでしょうか。
そこで、
「現在の会社に所属したまま大学院へ通う場合、入学金・授業料などの負担は?」
というアンケートを取りました。
結果はこちら↓
全額・一部の両方を合わせると、4割以上の会社では何らかの補助があるようですね!
また、「その他」と回答した人の一部からは、
「入学金や授業料ではなく、交通費などの補助があった」
などのコメントをいただきました。
以上を踏まえると、全く補助がない会社が約3割、何らかの補助をしてもらえる会社が約7割
というのが、相場なのかなと感じました。
会社に在籍したまま進学した人はどのくらいいる?
では、会社に在籍したまま博士課程など大学院へ進学している人は実際どのくらいいるのでしょうか。
そこでまずは、ツイッターの回答者ご自身について
「会社に在籍したまま大学院へ進学・在学した経験」
をアンケートで聞き取りました。
結果はこちら↓
約2割の方は進学経験があるようですね。
この結果だけ見ると、研究所の5人に1人が進学している計算になります。
なんとなくですが、多い気がしますね。
そこで、少しアンケートの質問を変えました。
「会社に在籍したまま博士課程へ進学しているorしていた人は(ご自身を含めて)社内にいますか?」
という形で、社内に博士進学経験者がどのくらいいるかを答えてもらいました。
結果はこちら↓
7割以上の人が
「うちの部署に社会人博士に通っていた人がいるよ」
と回答していました。
先ほどの質問と併せて考えると、
「会社に在籍したまま博士進学した人が、普通にいる」
というのが、少なくともこのアンケートに回答した人の会社では一般的なようですね。
「本当は大学院へ行きたい」と思っている人は、どのくらいいる?
会社に在籍したまま大学院へ通うことについて、会社も肯定的に捉えているし、実際部署内には経験者がたくさんいる。
このような状況であれば、
「自分も会社に在籍したまま博士とりたい!」
と思う人がたくさんいてもおかしくありません。
そこで、
「博士号を取っていない皆様、働きながら博士を取りたいですか?」
というアンケートを取り、潜在的な博士希望者を調べてみました。
結果はこちら↓
今回のアンケートでは、潜在的な博士希望者が約7割いるという結果になりました。
研究職として働いている以上、早いうちに博士号を取りたい、できれば会社に在籍したまま取りたい!
というニーズは結構あるようですね。
博士を取得できた年齢は?何年かかった?
次に、実際に社会人博士を取得した方を対象に
「社会人博士を取得した年齢と要した年数」
について聞き取りました。
どのくらいの年齢で取得したのか。進学から取得までどのくらいかかったのか。
現在進学を考えている方には参考になる情報ではないでしょうか。
まずは、
「社会人博士を取得したときの年齢は?」
というアンケートを取りました。
結果はこちら↓
20代~30代前半で取得している方が多いようですね。
私自身も経験して感じましたが、「博士を取るなら、早い方がいい!」です。
実際、若いうちに取得されている方が多いようですので、
希望されている方は若いうちに手を挙げるのがいいでしょう!
では、会社に所属したまま進学した場合、何年くらいで博士号を取得できているのでしょうか。
博士後期課程は通常3年か4年のコースが多いですが、仕事をしながらの場合、スムーズに修了するのが難しいケースもあるかもしれません。
そこで、
「進学から取得まで何年かかりましたか」
という質問をしました。
結果はこちら↓
やはり、3年・4年での取得は難しく、それ以上の期間をかけて修了された方がかなりの割合を占めていますね。
会社で働きながら博士号を取得することの大変さがこの結果からも感じられます。
一方で、3年未満で修了された方もいらっしゃいました。
大学によっては、論文博士や早期修了制度など、短期間で博士号を取得できる制度を設けている大学もあります。
筑波大学が早期修了制度を開始しているのは有名ですね。
https://www.tsukuba.ac.jp/education/g-courses-s-program/
博士持っていて、業務で役に立ったことはあるか?
そして最後に、
「博士持っていて、業務で役に立ったことはあるか?」
という質問をしてみました。
結果はこちら↓
約半数の人が「役に立った」と答えています。
私自身の経験では、以下の場面で博士号そのものが活きたかなと感じています。
・海外の研究者と話をする時
・新たな共同研究について、共同先の先生と話をする時
・研究職として転職活動をする時
「活かされる場面、あまり多くないな…」
そう感じた方もいるかもしれません。
確かに、業務上で博士号そのものが活かされることはあまり多くないかもしれません。
一方で、博士号研究者としての資格のようなものですし、何より、博士取得までのプロセスは研究者としての自身の成長に役立つはずです。
博士を取りたいという強い希望がある方は、ぜひ社内の調整をクリアして、進学を勝ち取ることをお勧めします。
終わりに
今回は
「企業研究職の社会人博士事情」
というタイトルで、博士号や社会人博士に関するアンケート結果をまとめました。
ご自身の経験や、ご自身の会社と比較して、今回のアンケート結果はどのように映ったでしょうか。
アンケートという性質上、あまり細かい聞き取りはできませんでしたが、企業研究職における博士や社会人博士の傾向として、ぜひ参考にしてみてください。
また、実際に社会人博士を取得した方は、私も含めて非常にたくさんいます。
現在社会人博士を希望されている方にとっては、経験者の体験談は非常に貴重だと思います。
私の社会人博士体験談を以下にまとめています。興味のある方はぜひ以下のリンクからご覧ください。
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