会社員として外部の方と仕事をするとき、
たいていは「A社のBさん」という感じで「会社の」という枕詞がついて相手に認識されるところから始まります。
仕事を進めて関係性がよくなっていくと、直接「Bさん」という間柄になっていきますが、
異動によって担当者が変わると、次に人はまた「A社のCさん」という形でスタートします。
上記の例は、
「会社員は会社名で仕事をしている」ことを表しているような気もします。
このように、普通会社員は仕事内容も含めて実名が広く知られることは少ないです。
しかし、同じ会社員でも研究職は少し異なります。
成果を「実名付きで」社外に公開することが、研究員の仕事の一部になっているからです。
この点は研究職の仕方ない点ですが、
私はこの状況もうまく使っていければいいのではと考えています。
今回は、
企業研究職という仕事は実績が一部実名で公開されることに対する私見(どちらかというと前向きな考え方)
を書いていきます。
実名公開は企業研究職の運命、うまく活かした方がいい!
会社員の業績のほとんどは会社に帰属し、担当者の名前はほとんど出ない。
会社間で長い期間をかけて育ててきた仕事がようやく花開いた時、
対外的に知られる情報は「A社とB社が共同で~~をした」という部分です。
その情報には、担当者の名前が載ることはまずありません。
会社員は、一般的に業績のほとんどを会社に帰属します。
その際、担当者の名前が公開されるケースはほとんどありません。
(自社や他社でインタビュー記事が出るといった、例外もあります)
社員の能力、業績、専門性といった情報は、社内の人もしくは一緒に仕事をした外部の人にしか分かりません。
個人情報が外に出ないという意味では前向きに考えることができる一方、
業界内の評判などを通してしか自分のアピールができないという短所もあり、一長一短だなと私は感じています。
企業研究職は、実名が公開されることがある。
一方で企業研究者は若干違います。
簡単に言うと、研究者の業績(特許、論文、学会発表)に実名が載るからです。
*学生の中には特許を読んだことがない方もいると思いますので、このリンクから一度確認してみてください。
実は企業の研究職は、会社員でありつつも業績が一部実名で公開されるという点で、他の社員と少し違います。
アカデミアの先生方が自分の専門性や業績をアピールしますが、
同じようなことを企業研究職の人もできてしまいます。
業績が公開されることを自分自身の宣伝と捉え、存分に活かした方がいい(私見)。
アカデミアの先生の多くは、researchmapなどに自身の経歴や業績を記載して公開しています。
会社員と違い、アカデミアの方は自分の意思で転籍、異動を行うため、
その人の専門分野と実績、キャラクターといったものを対外にアピールしておく必要があります。
実際応募の際にはとてつもない量の書類を作成していますが、
その事前段階として自分の情報を公開し、外部の方に自分を宣伝することが習慣となっているようです。
一方会社員は通常、自分自身の情報を外部には公開していません。
転職活動をする際に初めて職務経歴書などを書く方が多く、
その情報も転職サイトやエージェント内で共有されるだけで一般に公開されることはありません。
言い換えると、
自分の仕事やその結果を知っているのは、仕事でかかわってきた人だけ
ということです。
企業研究職の人は会社員でありつつも研究者でもあり、
業績の一部は(本人の意思に関係なく)世に出てしまっています。
それならば、
公開情報を整理して自分の専門性やキャラクターを固めて、対外的なアピールにつなげてしまえばいい
と私は思っています。
研究職も仕事の種類によっては公開情報の量や質に差が出てきますし、
公開情報の多い少ないがその人のすべてを決めるわけではありません。
しかし、使えるものは使っておき、自分の価値を高めておいて損はないはずです。
まとめ
・会社員の業績は通常ほとんどが会社に帰属し、社員の貢献は対外的には分かりにくい。
・研究職は、アカデミアの人と同様に業績に実名が付随する場合がある。
・どうせ公開されるなら、自分専門性や業績のアピールに使った方がよいと思う。(私見)
研究職は、「業績の一部が実名で公開される会社員」とも言えます。
本人の意思に関係なく良くも悪くもそのような状況になりますので、
使えるものは存分に使って自分のキャリアを積んでいけばよいと思います。
自分の専門性を高め、それをアピールすることは結果的に自分のキャリアにプラスになるはずです。
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