大企業の弱小研究部署における働き方の特徴

研究職の仕事

企業の研究所の中には様々な部署があります。研究関連部署だけに着目しても、会社の事業ごとに部署分けされていたり、同じ食品カテゴリーを扱っているがアプローチの仕方で部署が違ったり、新規事業立ち上げを目指した部署があったり、会社によって部署の区分けは全然違うようです。

私はいわゆる大企業に所属しています。この会社では、メイン事業が売り上げの大半を占めており、関連する研究開発に多くの人員が割かれています。企業は売り上げを伸ばすのが至上命題の一つであり、売り上げがある事業に多くの社員を割り当てるのは必然なのでしょう。

一方私は、研究所の中でも新規事業開発につながる研究を担当しています。将来の新規事業につながる大切な仕事と自覚していますが、社内でこの部署はほとんど認識されておらず、苦労することも多いです。しかし、大企業の弱小部署というのは、独特の利点もあるように感じています。

今回は実際に所属する私の目線で、大企業の弱小研究部署における働き方の特徴についてお話しします。

大企業の弱小研究部署における働き方の特徴

特徴①:大企業の特徴を活かせる

大きくは以下の2点です。

・社内で注目されると、比較的大きい予算を割り当ててくれる。

研究開発費は新会計年度が始まる前(自分の会社は会計年度代わりの3か月前くらい)に予算案が作成され、プロジェクト、案件ごとの費用や支払時期などが計画されます。

大企業ということもありメイン事業に関連する研究には比較的大きい額が割かれますが、弱小部署にはそこまで大きい額は回ってきません。

しかし、とあるきっかけで弱小部署が社内でいい方向で注目されると、予算を上乗せしてくれるケースがあります。大企業の研究開発費は分母も大きいため、研究開発予算全体の5%程度の上乗せだとしても、絶対値としてはかなりの額が割り当てられることになります。

普段はあまりお金がない弱小部門にとって、この増額はかなりのアドバンテージです。これまで進んでいなかった仕事にもお金が使えるようになり、仕事が一気に進みます。

・社外と共同で取り組むときに「企業名」のおかげで安心してもらえる。

特に新規事業の場合、自社にノウハウがないことが多く、最初はその分野を得意とする外部機関との共同研究からスタートするケースが多いです。

この時、ある程度名前が知られている大企業の場合、外部機関の先生方も少し安心感があるようです。共同研究費が一定の金額をもらえる見込みがある、研究成果が出た後の実用化が想像しやすい、大企業の就職活動を勝ち抜いたある一定水準の社員が担当してくれそう、などが理由でしょうか。

私が新規事業に関して初めて打ち合わせをする際には、「A社さんはメイン事業なのに、こんなことにも取り組んでいるのですね。」といったコメントをもらえることが多く、その後の話も進めやすい印象があります。

大企業の長所である「予算規模」、「企業名に対する外部からの安心・信頼感」は、弱小部署の研究活動を支えてくれています。

特徴②:一人でこなすべき内容が多いが、経験値を詰めるというメリットもある。

社内には味方が少なく、すべてを自分で進めなくてはいけない。

予算や外部からの安心感はいい後ろ盾になります。しかし、社内においては依然弱小部署で存在感は小さく、その部署が何をやっているか社内ではほとんど知られていないような状態です。

メイン事業関連の仕事が優先され、「何をやっているかよくわからない弱小部署」からの依頼は後回しもしくは無視されてしまうことも頻繁にあります。最初は社内に味方がほとんどいません。

社内に頼れる人がいないため、最初はすべてを自分で進めることになります。

私が所属する部署のある社員は、ある健康食品の新規開発を任されたのち、原料調達、成分分析、健康機能性評価(基礎・臨床)、知財、抽出・製造法検討、製造委託先の検討やインスペクション、製品の品質管理、製品の在庫管理、パッケージ作成や一括表示の作成まで、販売の直前までほぼ一人でこなしていました。

最初の頃は様々な工程で問題が山積みであったため、この状態で他部署に相談してもめんどくさがられていたそうです。しかし、製品が形になりつつある段階になって初めて社内でプレゼンを行ったところ、「これは売れるかもしれない」と社内で認知され、いろんな部署が手を貸してくれるようになったそうです。その人は後々「都合のいい時だけ寄り付いてくるんよな…確かに仕事は楽になったけど…」と愚痴っていましたが。

苦労は多いが、幅広い経験を積み自分の付加価値化につながる。

メイン事業などは研究規模も大きく、担当する社員ごとにある程度分業が進んでいます。自分のすべきことが明確で、それ以外のことは関連部署と協力して進めていきます。しかし分業の側面として、経験できる範囲があまり広くないという短所もあります。

一方弱小部署(特に新しいことに取り組む部署)は、メイン事業と違って分業が進んでおらず、担当者は多岐にわたる業務に取り組みます。結果として経験できる幅が非常に広く、その人個人の能力向上につながります。幅広い経験をして自分の付加価値を高められることが、弱小部署に所属する大きな利点かもしれません。

まとめ

・弱小部署であっても、予算や社外とのやり取りにおいて大企業の長所を生かせる。

・幅広い業務を自分でこなす必要があるが、いろいろな経験をできるという長所もある。

企業研究者の方は、ご自身はメイン部署もしくは弱小部署のどちらに所属されていますか。また、上記のような違いは所属する会社でも見られるでしょうか。

就活生の方は、「もし大企業の研究職に就けたとしても、その部署の立ち位置で仕事の仕方が大きく変わってくる」ということを知っていただけると嬉しいです。

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