社会人博士体験談!いよいよ博士論文提出。そのまえに知的財産には気をつけよう。

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前回の記事では、

学術論文を投稿する前に会社の承認を得る必要があり、

論文の内容にある程度会社の意向を反映させなくてはいけない

というジレンマについてお話ししました。

博士号取得のための研究とは言え、会社の協力を得て進学している以上、

ある程度会社の顔色をうかがう必要もありますので、

みなさん、気を付けましょう!

 

まだ読んでいない方は、ぜひ以下からご覧ください。

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今回は第5弾として、

社会人博士経験談パート5:博士論文も知的財産には気をつけろ

という内容で記事を書いていきます。

博士修了に必要に要件として、

学術論文以外に、中間審査博士論文査読博士論文公聴会の3つがありました。

これをクリアするにあたり、社会人ならではのトラブルがありました。

 

ポイントは、以下の内容です。

・審査会は大学内の発表なので、情報が一般に公開されることはなかった。

・博士論文は後日ネット上に公開されるため、知的財産にかかわる内容には注意が必要。

・私の場合、博士論文に独自に載せようとしたデータに知財部門からクレームが入り、慌ててそのデータを論文から外した。

 

社会人博士進学を考えてみる皆様に、少しでも参考になることがあれば幸いです。

 

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目次

社会人博士経験談パート5!博士論文も知的財産関係で慌てた

博士論文も、知的財産の公知案件となりうる

最近は一般的になってきていますが、

博士論文は、審査終了後に原則インターネット上に公開されます。

インターネットで情報を調べていたら誰かの博士論文が出てきたなど、

思い当たることがあると思います。

 

そして公開された博士論文も、知的財産における公知案件として扱われます。

すなわち、

博士論文に書かれている内容はすでに知られている内容として扱われ、

知的財産の新規性喪失につながる可能性があります。

 

これについては皆さん特に異論はないと思います。

学会発表のタイトル・要旨・誰かのセミナー資料も対象となるものですし、

当然の事象だと思います。

 

中間審査会や学術論文では、知的財産に関して対応できていた。

さて、博士課程2年次に行った中間審査会は、学内におけるプレゼンのみでした。

そのため、発表資料が外部公開されることはなく、

発表した内容が知的財産に影響することを考える必要はありませんでした。

 

また、学術論文への記載内容が公知として扱われることは把握していたので、

事前に特許出願を行った後に学術論文を投稿するなど、

適切な対応をとっていました。

 

しかし、学術論文には載せなかったデータが手元に残っています。

当時の指導教官と相談し、

今後の後輩のためにも、これらのデータを博士論文に載せよう

ということになりました。

 

博士論文だけに載せようとした結果に、会社の知財部門が注目

当時私は、「博士論文の内容が後日公知となること」を失念していました。

そのため私は指導教官の指示に従い、

データを追加して博士論文を執筆していました。

 

博士論文がほとんど完成し、副査の先生へ提出する1週間前

突然上司から

特に指摘とかはしないから、本文を一度読ませてくれ

と言われ、ワードファイルを提出しました。

 

そして数日後、突然知財部門から

博士論文のこのデータ、まだ公開してない?

多分知財性があるから、公開は待ってくれ。

と問い合わせが入りました。

 

よくよく調べてみると、非常に細かい内容ではあるものの、

確かに新規性・進歩性を持つ結果であり、

追加データを加えれば十分出願できるものでした。

 

当時の私は、以下の理由から安心しきっており、

この知財案件には全く気付いていませんでした。

・知財案件は学術論文投稿時にクリアしていること。

・博士課程3年時の私は、博士論文を仕上げることに頭がいっぱいだったこと。

 

そこで急いで指導教官へお願いし、

該当するデータを博士論文から外し、

ストーリーを少し組みなおすことにしました。

 

副査の先生へ提出する1週間前というタイミングでしたが、

何とか変更に対応させ、期日に間に合わせることができました。

 

知財についても、博士号取得後に何とか出願につなげました。

焦りはしましたが、結果的に知財部門のファインプレー

上司が私の博士論文を読もうとしたこと。

その論文を偶然担当者が目にしたこと。

この2つの偶然が重なったことで、知財案件を一つ見逃さずにすみました。

 

私は全く気付いていなかった内容だっただけに、

結果的に知財部門のファインプレーとなりました。

 

博士論文は、後日一般公開され、書かれている内容は公知となります。

博士論文によって自社の知財出願に迷惑が掛からないよう、

社会人博士を目指す方はご注意ください。

 

まとめ

・審査会は大学内の発表なので、情報が一般に公開されることはなかった。

・博士論文は後日ネット上に公開されるため、知的財産にかかわる内容には注意が必要。

・私の場合、博士論文に独自に載せようとしたデータに知財部門からクレームが入り、慌ててそのデータを論文から外した。

 

繰り返しになりますが、

博士論文は、後日一般公開され、書かれている内容は公知となります。

知財出願にかかわる情報は残っていないか、

丁寧に確認したうえで博士論文も執筆しましょう。

博士論文は自身の修了に直接影響するため、学術論文以上に締め切り厳守です。

余裕をもって対応できるよう、早い段階から確認しておきましょう。

 

社会人博士取得経験に関する連載を終えて

さて、社会人博士課程を通して私が経験した内容を紹介してきました。

全5回にわたる連載、いかがだったでしょうか。

 

これから社会人博士を目指す方にとって、

これらの記事が少しでもお役に立てばありがたいです。

 

まだ5つの記事すべてを読んでいない方は、

第1回の記事から読んでいただくことをお勧めします。

 

まだ読んでいない方は、ぜひ以下からご覧ください。

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この記事を書いた人

食品メーカー研究職。
修士卒→食品メーカー(この間、社会人博士取得)→2023年に研究職で転職。
専門は質量分析・オミクスを使った研究/発言は個人的見解です
Twitter:https://twitter.com/NzXyZQDOCMpLgz5

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