博士から企業への転職:アカデミアから食品会社へ転職した研究員の入社後の働き方

現在私が所属している食品会社では、

研究職・開発職の社員のほぼすべてが、新卒で採用された社員です。

 

ほとんどが修士課程卒業の理系枠で採用された人たちで構成されており、

博士号持ちの社員は非常に少なく、

それも入社後に取得した人がほとんどです。(私もこのパターン)

 

一方で、博士取得後しばらくアカデミアで働いたのち、

研究職として民間企業へ中途入社する方もいらっしゃいます。

 

私が直接かかわった人としては、

民間企業のオファーを受けて転職したポスドクの方や

私の会社に中途入社してきた元助教の方

などがいらっしゃいました。

 

そのような方と話を聞くと、

自分の経験を何とか企業研究に落とし込んで働いているものの

アカデミア在籍時のイメージと実際の企業研究のギャップなど、

いろいろなことに悩みながら働いているようです。

 

今回は、

博士の転職:アカデミアから食品会社へ転職した研究員の入社後の働き方

について、紹介します。

 

アカデミアから民間へ転職してきた研究員の働き方

今回紹介する事例について

今回は、2名の方について紹介します。

詳細に書くと個人情報的に問題があるので、ある程度ぼかした情報になりますが、ご了承ください。

なお紹介する2名は、

博士取得後しばらくポスドクなどをした後に転職してきたという点、しか共通点はなく、

入社時期、研究分野、年齢等も全く異なります。

 

事例1:就職後、全然違う仕事に割り当てられたAさん

Aさん、生命科学系の基礎研究で博士号をとり、

そのまま助教として働いたのちに私の所属会社に転職してきました。

 

転職のきっかけは、

会社が、ある新規プロジェクトの分野に明るい専門家を探しており、

その方がリストアップされオファーをしたことがきっかけだったようです。

 

中途入社直後から、その方は新規プロジェクトサブリーダー的ポジションとして働き始めました。

部下も数人持ち、約1年半研究開発活動をつづけました。

 

しかし2年後、社内政治的な事情によりそのプロジェクトが終了することになりました。

その方は、終了決定後約1年でプロジェクトをクローズさせる仕事を行い、

その後、同じ研究部門内の分野が違う部署へ異動しました。

 

この異動は、特に専門性を考慮されたわけではなく、

新卒採用の社員と同じような扱いとしての異動だったそうです。

 

中途入社時にはその専門性に期待されて入社したにもかかわらず、

わずか数年後にはその話がすべてなくなってしまうという、残念な状況となりました。

 

その方は自身の専門分野で仕事をしたいという気持ちが強かったため、

プロジェクト終了が決まった直後は転職もかなり検討したそうですが、

様々な事情を考慮して異動を受け入れたそうです。

 

異動先の仕事も楽しんでやれているとは言っていますが、

「いったい自分には何が期待されているかよくわからないんだよね…」

と、不安や不満に感じていることがまだあるようです。

 

また、

・専門性で採用されたのに、結局会社事情で異動させられてしまうこと。

・こんなに短期間で結果を求められると、本質的で質の高い研究はできない。

・このような異動が行われている限り、社内で専門性の高い貴重な研究者は育たない。

 

ということを非常に懸念しているようでした。

いつか異動させられるかと思うと、今の仕事に本気になれないときがあるようで、

今もジレンマを感じながら、仕事をしていらっしゃるようです。

 

事例2:アカデミアで培ったスキルを存分に活かしているBさん

最初の方は、アカデミア時代に身に着けたスキルを比較的活かせているタイプです。

Bさんは、バイオインフォマティクス系のラボで博士をとり、

その後ラボへ移ってポスドクとして働いていました。

 

バイオインフォマティクスという分野は、

食品をはじめ様々なメーカーや企業で専門家が不足している分野です。

その方のラボは、企業の間でも比較的有名だったようで、

企業からの共同研究の申し込みが絶えないような研究室だったそうです。

 

そのため、その方も企業との研究に慣れているだけでなく、

いろいろな企業の考え方や進め方に触れることができていたようです。

こういう経験ができたのは転職活動でも役に立ったということを、

後々この方はおっしゃっていました。

 

さて、この方は、バイオインフォマティクスの専門家として転職活動を行い、

ある食品会社に転職しました。

 

面接の際に、

バイオインフォマティクスやデータサイエンスの仕事を任せる

とはっきり言われるなど、ほぼ専門職として採用されたようです。

採用後は研究部門に配属され、データサイエンスの仕事を中心に行っています。

 

この方のケースでは、

人材が不足している分野の専門家という長所を利点を存分に活かし、

専門性の高いポジションへ転職できました

 

もし、自分の専門性が企業にとって希少価値の高いものであれば、

その専門性を武器に民間企業への転職を実現できるかもしれません。

 

しかし、この方は入社後にいくつかジレンマを感じているようで、

・データサイエンスの過程に興味がなく、解析結果ではなく結論を急かしてくる人が多い。

・インフォマティシャンは何でもできると思っている人が多い。

と嘆いていました。

 

まとめ

・バイオインフォマティクスなど、企業にとって希少価値の高い分野の専門家は、

その専門性を活かした民間企業への転職が実現しやすいかもしれない。

・採用時にはその人の専門性に期待していても、その後のプロジェクト終了などによって

専門以外の仕事に割り当てられてしまうこともあり得る。

・一度企業に入ってしまうと、新卒採用の人と同じ扱いや人事異動を受けてしまうこともある。

 

アカデミアを生き抜いて身に着けてきた専門性など能力が、

民間企業のニーズと合致すれば転職においてとても有利ですが

そのニーズがずっと続くとは限りません。

 

もし企業研究員として活きていくのであれば

専門性という武器を持ちつつも、プロジェクト終了などの会社に意向に従う必要があります。

 

企業のロジックで働くことは、アカデミアのお仕事とはまた違うことが多いようです。

 

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カテゴリー:研究職と博士号

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