企業研究職の働き方:勤務時間管理のデメリット、時間のぶつ切りとモチベーション低下。

(スポンサーリンク)

※ 当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

実験や作業の中には、かなり長い時間を必要とするものがあります。

また、事前準備に時間がかかる作業の場合、

一回の準備でたくさん実験できるように、

まとまった時間を確保することもあると思います。

大学や研究機関で時間を気にする必要がないポジションの人は、このような仕事の進め方も可能です。

大学時代、HPLCを使った分取作業をインジェクトからフラクションまですべて手動で行っていましたが、これは大学だからこそできたことかもしれません。

 

しかし、企業ではこれができません。

その理由は、勤務時間のルールが決まっているからです。

 

企業は従業員の勤務時間管理をする必要があり、不必要に残業をさせることは本来できません。

しかし一方で、このルールが研究職に厳密に適用されると、

研究という業務の特性上マイナスとなる側面も多いなと私は感じています。

 

今回は、企業の研究者がよく直面する、

「勤務時間管理のデメリット、時間のぶつ切りとそれに伴うモチベーション低下。」

について書いていきます。

 

この記事は、特に現役の企業研究者には納得いただけるのではないかと思いますし、

学生の方も企業の働き方の一部を知れるのではと思っています。

(スポンサーリンク)

目次

勤務時間管理による作業時間のぶつ切りは、モチベーションにも影響する。

企業研究職は会社員。働ける時間に上限がある。

働き方改革などが進んできている企業では、

勤務時間(開始~終了、残業時間など)が厳密に管理されるようになり、

以前ほど自由に残業ができなくなっています。

 

研究を仕事としている社員も同様で、働ける時間に上限があるため、

大学のように好きな時間に好きなだけ研究をすることは難しくなってきました。

 

企業の研究職も会社員です。

与えられた時間の中で効率よく仕事をこなして成果を上げることが求められます。

そのため、時間当たりの成果を最大化できるように、必要な労力や予算を割り当てて仕事を進めます。(以前の記事:企業研究職の働き方:お金と時間単価

 

*いわゆるブラック企業はそうではありませんが、そういう企業は尋常ではない量の仕事を残業代なしでこなしていることも多いので、いったん話から外しました。

実験・仕事が勤務時間ごとにぶつ切りにされ、効率が悪くなる側面もある。

上記の理由もあり、勤務時間単位でいったん仕事を中断しなくてはならず

一気に進めたい仕事を数日に分ける必要があるなど、

効率が悪くなるケースがよく出てきます。

 

調製した試薬は半日しか使えない実験や、連続9時間必要な実験などは、

日数も時間もかかり効率が悪いです。

 

イントロで述べたHPLC分取の場合、

HPLCの立ち上げ作業やカラムの平衡化を毎日やり直す必要が出てきます。

経験者はこの非効率さを理解いただけるのではないでしょうか。

 

どうしても連続した時間が欲しい場合は、残業をすることになります。

しかし企業によっては事前申請が必要です。

残業は、建前上は会社からの指示で行うことなっているので、

事前に必要性を説明する必要があるなど、結構めんどくさいことも多いです。

 

結果として、「申請もめんどくさいし、連続して長時間働くのは難しいな」と感じ、

効率が悪いとは思いつつも勤務時間のルールに従って仕事をしている方が多いと思います。

私見:実験・作業のぶつ切りは、研究へのモチベーションを削っていく。

実験系の仕事をされている方には同意いただけると思いますが、

集中して実験しているときが一番充実感があり、良い結果が出やすいです。

自分が集中して働ける環境は、多くの研究者が求める労働環境ではないかと思います。

 

それに対し、時間のぶつ切りは「研究者が長時間集中して実験・作業できる環境」の一部を奪ってしまっています。

そしてこの点は、仕事の効率だけでなく研究者のモチベーションを奪う側面もあるのではと感じています。

 

勤務時間管理はとても大切なことで社員のQOLに大きく関わります。

しかし、研究者の立場から見ると、

時間のぶつ切りが発生することで仕事の効率が下がりモチベーションも奪われる

といったマイナス面があるのは事実です。

 

研究職の中には自分の好きなことをしている人も多く、

このような方ほど大きな成果をどんどん出して会社に貢献してくれます。

勤務時間管理による時間のぶつ切りは、

このような方から自由に集中して働ける環境を奪い、

モチベーションを下げてしまう可能性もあると思います。

 

この点を解消できる方法として、

残業申請の事後報告を許可する(本人が管理できている前提で)、

フレックスタイム制などで勤務時間の柔軟性を高める、勤務中の中抜けをOKとする

といったものがあると思います。

 

大企業では上記の制度が少しずつ導入されているようです。

今後このような働き方が多くの会社の研究所で実施されることで、

多くの企業の研究開発効率が変わってくるのではないかと思っています。

まとめ

・企業研究職は会社員。働ける時間に上限がある。

・実験・仕事が勤務時間ごとにぶつ切りにされ、効率が悪くなる側面もある。

・時間のぶつ切りは、研究へのモチベーションを削っていく。

勤怠管理がしっかりしている会社では

「効率よく働け、残業するな」

という掛け声が飛び交いますが、

研究職目線では

「管理されることで逆に効率下がることもあるんよな~」

と思うことも多いです。

 

このデメリットを踏まえつつも、

仕事や時間の管理ができ、かつ成果をどんどん出せる研究職が、「優秀な企業研究者」なのかもしれません。

(スポンサーリンク)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

食品メーカー研究職。
修士卒→食品メーカー(この間、社会人博士取得)→2023年に研究職で転職。
専門は質量分析・オミクスを使った研究/発言は個人的見解です
Twitter:https://twitter.com/NzXyZQDOCMpLgz5

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次