もうかなり昔になりますが、私の大学時代の教授は、
「博士は、アカデミアか民間の研究開発部門か留学の実質三択」
と言っていました。
少なくともその時の私は「確かにそうかも」と納得したのを覚えており、
当時はそのような考えが一般的だったのかもしれません。
しかし、現在はその時代と比べると、理系学生の就職の選択肢は、昔よりもどんどん多くなっています。
修士や博士を卒業した学生が研究開発以外の仕事に就くことも増えつつあり、理系学生が様々な領域で活躍できる社会になってきています。
このように、理系学生の進路選択の幅や考え方が今昔で変わってきている可能性がありますが、
その傾向をデータとしてみたことはなく、一度集めてみたいな~と個人的に考えました。
そこで
本ブログの著者のツイッターアカウントを使用して、企業研究職の皆様や現役学生の皆様にアンケートを取り、
「理系の進路選択」について調査しました。
以下のリンクから、私のアカウントを見ることができます。
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今回は、
「理系大学院生の進路はどこ?研究職の皆様に聞きました。」
というテーマで、
アンケートの結果を紹介していきます。
理系大学院生の進路はどこ?研究職の皆様に聞きました。
今回のツイッターアンケートでは、理系学生と理系卒業生を対象にこれから紹介する二択質問に回答してもらい、
回答の傾向が学生と卒業生で異なるかを確認しました。
皆様もその視点で結果を見てください。
*カイ二乗検定などの検定をすることも可能ですが、
回答集団の定義ができていないという背景もあるので、
今回は検定などは実施していません。
博士進学を検討したか?
現状、修士課程を修了して就職する学生が多いですが、その過程で博士課程への進学を検討した人もいると思います。
そこで「学生時代に博士課程への進学を検討しましたか?」
というアンケートを現役学生と卒業生の両方に行い、傾向の違いを調べてみました。
結果はこちら↓
この結果を見ると、現役学生も卒業生も傾向は大きく変わらず、
博士進学を検討した人の方が、検討しなかった人より若干多い、
ということが分かりました。
修士課程へ進むと研究の中でも自分でできることが増え、少しずつ研究が楽しくなってくる人も増えてきます。
研究に魅了を感じ始めるこの頃に、「博士へ進学してもっと研究に励みたい」
と考える学生が増えてくるのも不思議ではないと私は思います。
今回の結果、博士進学を検討した人の割合が私の事前の予想より多く、個人的に少し驚きました。
アカデミアで働くことを検討したか?
先ほどは、博士進学について聞き取りましたが、
今度はその先の「アカデミアで働くことを検討したか」についてアンケートを取りました。
結果はこちら↓
先ほどの博士進学のアンケート結果とは異なり、
現役学生も卒業生もともにアカデミアへの就職を検討した人の割合の方が低く、
その割合は学生と卒業生で大きな違いは見られませんでした。
アカデミア勤務を検討した人の割合は博士進学を検討した人の割合よりも低く、
アカデミア勤務には高いハードルがあるということが読み取れます。
一方でこの結果からは、
博士課程修了後に半数以上が民間企業などの外部機関へ就職していることも読み取れます。
博士学生を受け入れる企業は間違いなく以前よりは増えており、博士学生にも選択肢が増えているのが現状です。
私個人の意見として、博士出身者もたくさん民間企業に来てほしいと思っているので、
アカデミアにこだわらず民間にもぜひ目を向けてほしいと思います。
海外勤務・留学を検討したことがある?
博士進学、アカデミア勤務について聞き取りましたが、これは日本に限らず海外を舞台にすることも可能です。
いわゆる「留学」「海外勤務」という選択肢を検討していた人も、結構いらっしゃるのではと思っています。
最近は、以前と比べて留学に関する情報やサポートも増えており、実際に留学する人も増えていると聞いたことがあります。
このように海外へ行くことのハードルが下がっている現状を踏まえると、留学や海外勤務をしたいと思う人の割合は今と昔で違うのでは?とも考えられます。
そこで、
「これまでに研究者として海外で働く、もしくは留学を検討したことはあるか?」
という質問を学生と卒業生の両方に行いました。
結果はこちら↓
この設問では、学生と卒業生で若干傾向が異なり、
現役学生の方が検討している割合がやや高いことが分かりました。
先ほども述べた通り、以前と比べて留学や海外勤務に関する情報へアクセスしやすくなり、
それに伴ってハードルが下がっていることが、留学等を検討する人が増えている理由の一つかもしれません。
研究開発がやりたい?続けたい?
理系卒学生が希望する職種としては、研究開発系が一番に思い浮かぶようです。
また、実際に会社に入って研究開発職などで数年働いてみると、
「研究開発以外の仕事、自分もやってみたいな」とか
「研究開発に自分は向いてなさそう、ほかの職種に行きたい」
と思う人も結構出てきます。
まだ就職していない学生と、現役の研究開発職
どちらにおいても研究開発をやりたい人(続けたい人)は多数派なのでしょうか。
そこで「今後も研究開発の仕事をしていきたいですか。」
という質問に、学生と卒業生に答えてもらいました。
結果はこちら↓
「研究開発をやりたい、続けたい」と思っている人が学生も卒業生も多数派であることが分かりました。
一方で、卒業生では違う仕事をやりたいと思っている人も一定数おり、
研究開発一本ではなく、いろんな仕事をしてみたい人がいることも、この結果から想像されますね。
同じ職種を極めたい? or いろんな職種を経験したい?
理系就活生の多くが研究開発を第一希望をしている状況は今も昔も同じようです。
研究開発職は専門性を要求されることが多く、一度着任すると一つのことにある程度集中して取り組むことになります。いわゆる「極める」ということですね。
一方で、以前と比べて仕事の多様性は拡大しており、理系学生も従来のメーカー研究開発職だけでなく、さまざまな職種に応募できるようになってきています。
このように様々な職種に就ける可能性がある環境において、理系学生や卒業生の中に、いろんな仕事を経験してみたいと考えている人はどのくらいいるのでしょうか。
そこで「就職後は様々な職種を経験したいか、それとも一つを極めたいか」
という質問に、答えてもらいました。
結果はこちら↓
学生・卒業生ともに、とても拮抗した結果となりました。
一つを極めたい人といろんな職種をやりたい人が、学生も卒業生もほぼ半分ずつくらいとなりました。
まとめ
・博士進学、アカデミア勤務を検討した人の割合は、今も昔も変わらない。
・現役研究開発職には、違う職種へ移りたいと思う人も一定数いる。
・海外勤務・留学を検討しているのは現役学生の方が多い。
博士進学、アカデミア勤務などを考えている人の割合は今も昔も変わらないようです。
一方で、卒業生の中には研究開発以外の職種へ移りたい人が一定数いること、現役学生の方が海外を検討している人の割合が多いこと、などが分かってきました。
進路選択一つとっても、今と昔で変わったことと変わっていないことがあり、違う傾向が見えてくるのはとても興味深かったです。
今回の結果が皆様の進路選択の参考になるかは分かりませんが、民間、アカデミア、海外、どこへ行くことに決めたとしても、得られるものは絶対にあるはずです。
理系向けの情報が揃っている情報源をうまく使いながら、ご自身の進路選択をいろいろ考えたり振り返ったりしてみたください。
理系就活をする際は、理系向け情報が集まるサイトを使おう!
この記事を読んでいる中に理系就活を準備している人がいましたら、とてもうれしいです。
ぜひ皆様には納得できる就職活動を過ごしてほしいですし、記事を書くことで少しでもその応援ができればと思います。
理系向けの就活情報をうまく使い、自分らしく就職活動を進めてみてください。
一つアドバイスとして、
理系就活では、理系向けの情報を常に仕入れておくことはとても大切です。
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