食品会社がデータサイエンティストを求めている理由。RやPythonのスキルは武器になる。

この記事のメッセージは、タイトルの通り

RやPythonなどのデータサイエンススキルは、食品会社でも武器になるよ!

というものです、どうでしょう?意外でしょうか?

 

食品会社の研究と言えば、

食品原料の探索から始まり、

おいしさ・香り・健康機能性やそのメカニズムを調べ、

その研究成果を商品開発やマーケティングへ活かす

というのが王道でした。

 

しかし近年、動物実験をすることへの風当たりが強くなるなど、

従来の手法や考え方だけでは研究開発が進められなくなってきています。

 

そのような時代背景もあり、

多くの企業(特に大企業)は、研究開発の進め方を大きく変えてきています。

 

その中の筆頭が、

ビッグデータを解析し、その結果を商品開発に活かす。

というものです。

そしてこれに伴い、

ビッグデータを扱えるスキルを持った人材

の需要がどんどん高まってきます。

 

実際、2022~2023年にかけて私自身が転職活動をした際にも、

データサイエンスに関するスキルがあると、紹介できる求人が増えます!

とはっきり言われたのを覚えています。

実際に求人を見てみても実感できると思いますので、気になった方は

私が転職活動で使用したJACリクルートメントの以下のリンクから検索してみてください。

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今回は、

RやPythonなど、データサイエンススキルを、食品会社が求めている理由

という内容で記事を書いていきます。

 

データサイエンススキルを既に保有しており、

食品会社への転職を検討されている方がいたら、

ぜひ転職エージェントに登録することをおすすめします。

 

私が2023年に食品会社研究職への転職を成功させた際、

以下の2つエージェントを重宝しました。

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データ解析スキルを持った人材を、食品会社が求めている理由

食品会社におけるデータサイエンス・ビッグデータ解析

ビッグデータといっても内容は様々で、例えば以下のようなものがあります。

・マーケティング調査から得られた、顧客の行動に関するデータ

・自社商品の受発注状況やその物流状況に関するデータ

・製造工場における、製造コスト・収率・品質などに関するロットごとのデータ

・疫学・追跡研究から得られた、被験者の健康状態に関する追跡データ

 

いずれも重要なデータであり、貴重な宝物です。

現在も会社のどこか適切な場所に保管されているはずです。

しかしこれまで、すべての企業がこれらのデータを十分に活用し、

自社の研究開発や改善活動に適切に活かせていたわけではありませんでした。

 

そして近年ようやく、これらビッグデータを活用したプロジェクトが

各企業内で立ち上がってきています。

 

しかし、大きな課題があります。

データを扱える人材が、社内にいない

という事実です。

 

データ解析が得意な人材は、食品会社に来てくれない。

その理由は以下が考えられます。

・学生時代に情報科学などに触れた人材は、就職活動で食品メーカーに興味がない。

・情報・ハイテク企業と比べて食品企業は給料が安い。

・食品会社でのデータサイエンス業務について、仕事のイメージがわかない。

 

結局のところ、

データサイエンティストにとって、食品会社はあまり魅力的ではない。

のだと思います。

 

しかし、食品会社はそのことを分かっており、違う目線でも人材を探しています。

実は、食品会社はデータサイエンティストを求めてはいるものの、

そこまで専門性が高くなくてもいい、少しできるレベルでも十分

と考えています。

 

「ちょっとデータ解析ができる」というレベルでもOK。

理由は簡単で、

データの取り扱いが全くできない人ばかりなので、

少しできるくらいの人でも活躍する場所がある

からです。

 

これまでほとんどビッグデータ解析ができていなかったという現状もあり、

現時点ではあまり高いレベルの解析スキルは求められていません。

 

採用時点では、以下のレベルでも十分です。

・RやPythonを扱ったことがあり、書いてあるスクリプトを読める。

・インターネット上の情報を使えば、初歩的な解析は自分でできる。

・初心者向けの指導ならできる。

・データサイエンスの外部研修を受ければ、内容を理解して成長できる。

 

実際食品会社では、

パソコンを触る事がほとんどできない人も少なからずいます。

その中で、基礎レベルのプログラミングスキルがあるというのは、

社内では相当とびぬけた存在となりえます。

 

基本レベルのRやPythonのプログラミングスキルがあれば、

食品会社であればデータ解析人材として重宝される可能性がある。

ということになります。

 

そして、仕事を任された後は、

実際の業務や外部研修などを通して専門知識とスキルを高めていくことにより、

食品分野のデータサイエンティスト

という、専門性が高く社内外でも貴重な存在になれる可能性があります。

 

以前の記事にも書いた通り、特に研究者は専門性を持つことが大切です。

 

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特に、社内だけでなく社外でも通用する専門性を持たないと、

研究者として生き延びていくのは難しいという側面があります。

 

https://researcherinacompany.com/speciality-3/

 

RやPythonの初歩スキルを持っている人は、

そのスキルをきっかけに様々なプロジェクトに関与することで

社内で唯一無二のポジションを確立できる可能性があります。

まとめ

・食品会社は様々なビッグデータを抱えているが、事業や研究へ上手く使えていない。

・データサイエンティストを求めているが、食品会社へ来てくれる人が少ない。

・「少し解析ができる」というレベルでも、食品会社であれば重宝される。

・外部研修や実務などを通して、レベルを上げていければよい。

・「食品業界のデータサイエンティスト」という貴重な存在になれるかも。

 

学生時代の研究でRやPythonを使ってデータ解析を少しかじっていた方は、

そのスキルを履歴書などに記載するだけで、

採用時に目にとめてもらえるかもしれませんよ!

データサイエンティストこそ、転職市場を見てみて!

私は2023年に研究職→研究職の転職を達成しており、

主にJACリクルートメントを使用しました。

データサイエンティストの求人ならたくさんある

というコメントも、エージェントから実際にもらっていました。

今回の記事を読んで少しでも転職活動に興味がわいた方は、

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研究職も転職できる

著者は昨年、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、環境を変えることを検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

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研究職の転勤・異動:研究が上手くいっても上手くいかなくても異動?理由を推察

日本企業で働いていると、

必ず「人事異動のシーズン」があります。

誰が出ていき誰が来るのか、どこへ行ったのか、

自分の上司は変わるのか、その上司はどんな人か、

人事ネタは社員間でも一番盛り上がるネタといっても過言ではありません。

 

もちろん、研究員も対象になる可能性があります。

一般的に

研究職は他の職種と比べて専門性が高く異動が少ない傾向がありますが、

それでも一定数の異動は発生します。詳しくは、以下の記事

https://researcherinacompany.com/research-10/

 

当然、研究部門に不可欠な人材、上長から気に入られている所員は、

いきなり他部署へ異動させられるケースは少ないです。一方で、

「研究が順調なのに、なぜこのタイミングで異動?」

という状況も目にします。

 

今回はこの疑問について、

研究がうまくいっている人orいっていない人

という視点から考えてみます。

そこで今回は、

研究が上手くいっても上手くいかなくても異動?理由を考察

というタイトルで記事を書いていきます。

 

注意:今回の内容は、著者の経験まとめたものであり、他の組織において必ずしも当てはまるものではありません。あくまで一意見としてお読みください。

研究が上手くいっても上手くいかなくても転勤・異動?理由を考察

研究員は複数のテーマを持ち、テーマごとに局面、重要度が違う

研究員はいくつかのテーマを並行して進めていることが多いです。

そして当然、テーマごとにその局面・重要度・位置づけなどは様々です。

 

例えば、以下のような状態です。

テーマ①:製品の目玉となる食品素材すら見つかっていない段階。

テーマ②:食品Aの健康機能性のデータは取れそうだが、製法が決まらない。

テーマ③:食品素材の入手方法は決まったが、機能性の臨床試験が上手くいかない。

テーマ④:会社のブランドコンセプトに合致するような研究データがない。

 

テーマ①はまだ探索段階のため、先を急ぐようなものではありませんが、

テーマ④は、実現しなくてはいけない重要なテーマのように感じます。

 

こんな感じで、一人の研究員が

異なる素材(食品)の、異なる局面の、様々な重要度の研究活動

を進めていることが多いです。

研究が成功して事業開発につながると、事業部へ異動することも

研究テーマが上手く進むと、それを軸にした事業開発が本格的に始まります。

その際、

このテーマに関する研究は終わりにして、事業化に本腰を入れたい

と上層部が判断し、

従事していた研究員が事業化部門に異動となるケースもよくあります。

 

これがいわゆる「研究が上手くいって、事業部へ異動となる」パターンです。

知人のいる大企業では、

このタイプの異動をグループ単位で行っているという話をしていました。

 

研究員の中には、

自分は研究者だから、事業化は得意な人に任せて、裏からサポートしたい

ほかに進めている研究もいい感じだから、そちらに集中したい

と思う方も多いでしょう。

 

しかし、後述するように研究が事業化に結び付く確率はあまり高くありません。

このような機会がもらえた場合には、

一度事業化にかかわる仕事へのチャレンジを勧めたいです。

自分に合わなければ、研究所に戻ってきてまた研究すればよいですし。

 

うまくいかず、数年で終了してしまう研究テーマも多い

ご存じの通り、一般的に研究は失敗の繰り返しであり、

立てた仮説が外れた際に、その研究自体を終了させてしまうことが多いです。

 

特に企業は、営利につながる研究テーマを選択するため、

利益率が下がるようなテーマに微修正して続けるよりも、

テーマそのものをそのまま終了してしまうことが多い印象です。

 

テーマにそれぞれ難易度があるにもかかわらず、

その点をあまり考慮してもらえないまま、

いろんな研究テーマが立ち上がっては消えてを繰り返しています。

 

テーマが上手くいかなかったのは、本人だけのせいではないのですが、

「AさんのテーマBは、うまくいかずに終わった」という点だけが独り歩きし、

あたかもAさんの失敗であったかのように伝わってしまうこともあります。

 

テーマ立ち上げ→中止、が重なってしまった研究員は、

ひどい場合には「成果が全く出せない人」という扱いになり、

研究以外への異動の対象になる可能性が高まってきてしまいます。

 

重要なテーマが終わった研究員は、異動対象になりやすい傾向

重要なテーマが終了したタイミングで、異動の内示を受けた研究員を、

私はこれまでたくさん見てきました。

 

このような形で異動する研究員が多い理由としては、

「その社員の仕事は、重要なテーマ終了で一区切りついた」と上層部に認識された。

区切りがよく、引継ぎ事項が少なく、異動に伴う支障が少ない。

といったものがあげられます。

 

もしこれらの理由が本当だとすると、

異動って結局のところ会社都合なんだな・・

という非常に切ない気持ちになりますね。

 

逆に言うと、様々な研究テーマを運営し、

少しでもいい感じにつながっている研究員は、

あまり異動の内示を受けていない印象があります。

 

まとめ

研究員は複数のテーマを持っており、テーマごとに局面、重要度が違う。

・研究が成功して事業開発につながると、研究員が事業部へ異動することも。

・うまくいかず、数年で終了してしまう研究テーマも多い。

・重要なテーマが終わった研究員は、異動対象になりやすい傾向。

 

異動が少ないといわれている研究員でも、

いろんな事情が絡んだ結果、思わぬ内示を受けることがあります。

テーマが上手く進んで事業化するためというポジティブなものから、

重要なテーマに失敗して研究以外へ異動させるネガティブなものまで

さまざまです。

 

自分で結果を出して異動を勝ち取る(or研究所からの異動を免れる)

という側面もありますが、

研究が上手くいってもうまくいかなくても、

結局のところ会社都合で異動させられます。

 

異動に対してどのように自分のキャリアを合わせていくか、

自分も悩んでいます。 

いつ異動させられるかわからず、常にドキドキしています。

このドキドキを緩和させ、

いざというときに自分の意思で決められる選択肢を増やすために、

仕事で結果を出すこと、自己研鑽、情報収集を進めています。

 

自分の人生を不本意な異動で狂わされないよう、準備しておくといいでしょう。

 

研究職も転職できる

著者は昨年、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

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【理系就活】企業で研究を続けたいなら、研究職に応募すべき理由

このブログでは、

企業研究職の仕事、理系学生の就活、研究者の転職などについて

企業研究職である私の目線で、情報を提供したり個人的な意見を述べたりしています。

 

先日、仕事の都合である大学を訪問し、

所属する博士学生2名とお話しする時間がありました。

2名が博士課程2年で、就活に向けた取り組みを考え始めていました。

 

2名とも研究が楽しく、企業へ就活した後も研究に携わりたい希望を持っている一方、

その希望をかなえられるような企業に就職できるか不安である

というコメントをしていました。

 

このような不安を持っている学生は他にもいらっしゃるのではと思い、

今回この不安に対する回答となるような記事を書くことにしました。

 

今回は、「企業で研究をしたいなら、研究職へ応募すべき

について書いていきます。

 

大学院や理系学生の就職活動には、

大学院生&理系学生に特化した就活サイト

アカリクが役立ちます。

最近は、「アカリクイベント」というオンライン就活イベントも行われているそうです。

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博士学生の就活:企業で研究を続けたいなら、「研究職」に応募すべき理由

企業の採用枠を事前にしっかり確認すべき

大前提ですが、就職活動をする際には

企業のどの採用枠に自分は応募できそうか、

就職四季報などを見てしっかり確認しましょう。

 

ざっと確認しただけでもわかると思いますが、

採用枠の設け方は企業ごとに全く異なります。

 

・文系学生と理系学生の採用を枠を分けている企業

・学部卒と修士以上卒で採用枠を分けている企業

・仕事内容で採用枠を分けている企業(事務系、技術系、など)

・博士学生であっても学部・修士卒と同じ採用枠へ応募させる企業。

(初任給が同じことも!)

 

後ほど紹介しますが、採用枠の設け方は業界間でも少し違いがあります。

また、採用枠を見ると、その会社の考え方を少し想像することができますね。

 

そして、研究職として就職したい方は、

各企業の募集要項を見て、該当しそうな採用枠を見つけて、応募することになります。

「研究職」の採用枠で内定をもらえれば、最初に研究関係に配属される可能性が高い。

そして、この記事のタイトル回収になりますが、

企業で研究をしたい人は、「研究職」という採用枠に応募しましょう。

 

理由はシンプルで、

「研究職」で内定をもらえば、最初の配属が研究関係の可能性が高い。

逆に「研究職以外」の採用枠では、研究に就ける可能性が相当低くなる。

というものです。

 

「研究職」という採用枠を設けている場合、

その企業は、研究に適性がありそうな学生を特別に採用しているということになり、

採用した学生には研究業務で活躍してもらうことを期待しいます。

 

そのため、余程のことがない限り、研究関連の仕事に就くことができるでしょう。

逆に、次に示す通り、

「研究職」以外の採用枠で内定をもらうと、研究職に就ける可能性は一気に下がります。

 

逆に、「総合職」の場合、研究配属の確率は一気に下がる。

「研究職」以外で、多くの理系の学生が応募する採用枠として、

総合職」「理系総合職」「技術系総合職」などがあります。

 

総合職」の定義は正直なところ企業間でだいぶ違いますが、

こちらのマイナビの記事によると

「将来の管理職、幹部候補。基本的にはジョブローテーションで異動があり、転勤も発生しやすい。」

とのことです。

 

「理系」「技術系」とついている場合、

「工場配属」「生産管理」「商品開発(特に技術面)」「知的財産」「品質管理」など、

「理系」「技術系」の仕事に従事する人を採用する枠

と理解すればよいでしょう。

 

また、「研究職」という採用枠を設けていない企業の場合、

「理系総合職」「技術系総合職」で採用した学生の中から、一部の人を研究部門へ割り当てる

という対応をとることが多いです。

 

すなわち、

「総合職」で採用されると、研究以外の部門に配属される可能性がかなり高くなる。

ということです。

 

博士卒の学生の場合、

そのキャリアを考慮して研究部門へ優先的に配属してくれることもありえなくはないですが、

基本的には、研究職以外に配属される可能性が非常に高いです。

 

博士課程を卒業し、企業でも研究をしていきたいという学生にとって、

このような形でキャリアを変えられてしまうのは、不本意に感じてしまうかと思います。

 

そのような意味でも、絶対に研究職に就きたいという学生は、

「総合職」ではなく「研究職」の採用枠に応募することを強くお勧めします。

研究職の採用枠の大きさは、業界・企業間で全く異なる。

「研究職」の採用枠ですが、採用枠の有無・大きさは、企業によって大きく異なります。

化学機械製薬などの業界では、「研究職」の採用枠を設けていることが多く、

毎年それなりの人数を研究職として採用している傾向があります。

 

逆に、私が所属する食品業界では「研究職」の採用をしている企業は少なく、

「総合職」の中から研究者を割り当てていることが多いです。

 

私自身も総合職であり、転勤を経てたまたま研究員となりました。

また、新卒採用で研究の仕事に就いた社員は非常に少ないです。

 

このように、企業で研究職に就ける可能性は、企業・業界によって大きく異なります。

自分の得意分野やの進みたい業界との折り合いも必要ですが、

どうしても研究職に就きたいのであれば、「研究職」に応募して確率を上げるようにしましょう。

 

まとめ

・企業の「採用枠」をしっかり見ましょう。

・「研究職」の採用枠で内定をもらえれば、最初の配属が研究関係である可能性が高い。

・逆に、「総合職」「理系総合職」「技術系総合職」の場合、研究配属の確率は一気に下がる。

・研究職の採用枠の大きさは、業界・企業間で全く異なる。

 

結論はシンプルで、

企業で研究したいなら、研究職の採用枠に応募して内定をもらいましょう!

そのためにも、研究職に進みたい理系学生に向けた情報を提供しているサイトやサービスを

うまく活用しましょう。

 

大学院生や研究職の就活を中心にしたサービスを提供するサイトとして、

アカリク というサービスが便利です。

最近は、「アカリクイベント」というオンライン就活イベントも行われているそうです。

登録は無料ですので、一度活用してみてください。

 

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「研究職の就活」に関する記事は、こちらから

研究職の就活




【体験談】理系研究者の転職は30代前半が目安?JACリクルートメントなどのエージェントの意見は?

30代前半は、研究者の皆様は転職しやすい年齢かもしれません。

これは、私が2023年に転職を実現させた際の転職活動中に、複数の転職エージェントから共通していただいたアドバイスです。

この意見について、皆様どのように感じましたか?

 

特に、現在30代前半で研究職をされている方にとっては、もはや自分事でしょう。

かくいう私も30代になり、この話題には非常に敏感になってきていました。

 

そこで私は、食品会社研究職である私転職できる可能性と私の市場価値を知りたいと考え、

転職エージェントに登録して話を聞くという活動を始めています。

 

会社内のフィードバックだけでは自分の価値が分からず、客観的な評価を聞きたい。

自分はどういったことを身に着けていけば、市場価値を高められるのか知りたい。

 

この2つについて意見を聞き、必要なところは自分に取り入れることで、研究者として生き延びることを目指しています。

 

その中で、複数の転職エージェントと話をして共通していたのが

研究職の転職希望者は30代前半が多く、企業側もこの年代を想定した求人が目立つ

というコメントでした。

 

自分も30代前半ということもあり、この意見がでることは非常に興味深く、その理由について詳細を聞いてみました。

 

そこで今回は、

研究職は30代前半が転職の目安?

という内容で、転職エージェントの方々の意見についてまとめていきます。

 

注意:

この記事の内容は、

転職エージェントの個人的見解ついて私の視点でまとめたもので、特定の組織や私自身の主張ではありません。

一つの意見として軽い気持ちで読んでいただければと思います。

 

研究職は30代前半が転職の目安?

主に使用している転職エージェント

今回の転職活動では、複数の転職エージェントに登録しており、その中でも、以下の2つを重宝しています。

転職を少しでも考えている方は、今リンクをクリックしてブックマークへ保存しておくと良いでしょう。

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前提:企業の研究職の多くは、修士卒もしくは博士卒

前提条件として、民間企業の研究職はほとんどが修士卒・博士卒で入社した社員です。

修士卒だと入社時が24~25歳程度、博士卒であれば27~28歳程度となります。

 

そして、一般的な大企業の場合、入社直後に研究所に配属されたとしても、

直後の1年程度は、研究所や部署独自の技術・ノウハウ・考え方・専門性を学び習得する期間になってしまうことが多いです。

 

しばらくは先輩の後ろについて仕事を覚えつつ、一部引き継いで実際に試験をしながら多くのことを身に着けていく。

入社後1年程度はそのような期間になってしまうでしょう。

 

普通に過ごしている限り、自分である程度研究・仕事を回せるようになるのは入社2年後くらいからが一つの目安でしょう。

 

30代前半は、目に見える成果が出始めるタイミング

修士・博士時代に一通り研究活動を行ってきたは分かる通り、研究はトライアンドエラーが多く、一定の結果を得るまでに数年かかるようなことも多いです。

それは、企業における研究でも同じです。

 

仮に、入社2年目くらいから自分で研究を遂行できるようになったとして、そこから3年間も研究をしたら、気づいたら5年目、28~32歳くらいになってきます。

 

研究の内容によっては、知的財産の絡みもあってなかなか実績を公開できず、成果を対外的に公開できるのはさらに数年後、ということもあるあるです。

 

研究テーマを複数並行して行っている研究者であっても、めぼしい結果が出始めるのは早くて入社数年後くらいでしょうか。 

そして、その時はもう入社5~7年目くらい、30代前半ですね。

 

30代前半は、職務経歴書に書ける業績が増え、対外的に自分を宣伝しやすい時期

入社後からいくつか研究テーマを遂行し、様々な技術やノウハウを身に着けただけでなく、研究を通して得られた結果もそろってきました。

知的財産、論文、学会発表、開発商品が何かの賞を受賞した、などでしょうか。

30代前半になり、このタイミングで「自分の実績」を示せるようになりました。

 

この自分の実績は、転職活動の際に使う「職務経歴書」に記載することができます。

職務経歴書とは、「自分はこういう経験をしてきて、何ができる人材であるか」を示す書類です。

詳しくは、DODAの以下のサイトを参考にしてください.

研究開発の職務経歴書(DODA)

職務経歴書は、転職活動の書類審査で最初に見られる、非常に大切な書類です。

この書類を充実させることが、転職活動の肝になります(と、転職エージェントに言われています。)

 

裏を返すと、実績が増えてくる30代前半にならないと職務経歴書が埋められず、

自分の能力や成果を転職先へアピールしにくい、というのが現状のようです。

 

30代研究者は即戦力候補であり、専門性や実績が分かる人を求める傾向

巷では、35歳転職限界説をささやいている人がいるようですが、今回の転職エージェントたちの意見を聞く限り、

研究者の場合30代前半にならないと実績がなく、アピール材料が足りないという状況になりがちです。

 

また、企業側も、30代前半の人の場合、即戦力としての採用を目指しています。

 

年を取りすぎていないというのも多少は気にするものの若さが第一ではなく、その人は何ができてどんな結果を出してきたか、というところを重要視しているそうです。

 

このように、若すぎない年齢であり経験と実績がある、という意味でのバランスを考えたとき、

30代前半が一つの目安となるとのことです。

 

以上のような理由から、研究職の転職は30代前半が一つ目安になる傾向があるということを、複数の転職エージェントが話していました。

 

また、これより若いと業績不足で、これより年齢を重ねるとマネージメント能力も重要視されるため、

研究業績ではない部分での勝負が出てくるとのことです。

 

30代前半は、多くの人が係長クラス、早い人では管理職になる人もいるような年齢です。

イチ研究員として成果を出してきたが、まだ部下を持ったり組織を率いた経験はないことも多い。

こんな感じの人が多いイメージでしょうか。

 

もしこの記事を読んだ方の中に30代前半の企業研究職の方がいましたら、自身が即戦力として他の企業に移れるような状況にいるか、一度立ち止まって考えてみると面白いかもしれません。

まとめ

今回の記事のまとめは以下の通りです。

・研究職は修士、博士卒が多く、研究成果が出てくる5年後くらいはもう30代に近い。

・転職につかう「職務経歴書」にかける実績がでてくるのが、どうしても30代前半頃になる。

・企業は、30代前半の研究者は即戦力として採用するため、専門性や実績を求めてくる。

・研究者の場合、若すぎず、なおかつ目に見える実績が分かる年齢が、30代前半になることが多い。

 

研究者の転職の目安が30代前半になる理由は、上記のようなものとのことです。

また、これより若いと業績不足、これより年齢を重ねるとマネージメント能力も重要視される。

ということも教えてもらいました。

 

研究者の転職活動では、職務経歴書にどのような専門性と実績を示せるかが勝負です。

以前、以下の記事でも紹介した通り、研究者は専門性をもってなんぼです。

自分の専門性を高めて業績を積み重ね、自社・他社いろいろなところで通用する研究者になることが、

研究者として生き延びていくために必要なのだろうと私は思います。

 

転職サイト・転職エージェントの登録状況(内定後に追記)

私は今回の転職活動で、以下の転職エージェントや転職サイトに登録し、

それぞれ面談を行ったのち定期的に求人を紹介してもらっていました。

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登録者情報は(概略のみになりますが)以下の通りです。

 

・30代半ば、食品企業の研究職。

・大学の研究員を兼務している。

・博士号を持っている。

・その他(経験してきた業務、保有スキル、英語能力、など)

 

研究職の転職に成功しました

この記事を投稿した約1年後、私は、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、転職を検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

https://researcherinacompany.com/recruit-15

私が使用した転職エージェント・転職サイト

私は、主に以下の2つを併用しました。

JACリクルートメント 

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アカリクキャリア

大学院卒の強みを生かした転職に特化)

 

 




社会人博士体験談!いよいよ博士論文提出。そのまえに知的財産には気をつけよう。

前回の記事では、

学術論文を投稿する前に会社の承認を得る必要があり、

論文の内容にある程度会社の意向を反映させなくてはいけない

というジレンマについてお話ししました。

博士号取得のための研究とは言え、会社の協力を得て進学している以上、

ある程度会社の顔色をうかがう必要もありますので、

みなさん、気を付けましょう!

 

まだ読んでいない方は、ぜひ以下からご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-4/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-5/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-6/

 

今回は第5弾として、

社会人博士経験談パート5:博士論文も知的財産には気をつけろ

という内容で記事を書いていきます。

博士修了に必要に要件として、

学術論文以外に、中間審査博士論文査読博士論文公聴会の3つがありました。

これをクリアするにあたり、社会人ならではのトラブルがありました。

 

ポイントは、以下の内容です。

・審査会は大学内の発表なので、情報が一般に公開されることはなかった。

・博士論文は後日ネット上に公開されるため、知的財産にかかわる内容には注意が必要。

・私の場合、博士論文に独自に載せようとしたデータに知財部門からクレームが入り、慌ててそのデータを論文から外した。

 

社会人博士進学を考えてみる皆様に、少しでも参考になることがあれば幸いです。

 

社会人博士経験談パート5!博士論文も知的財産関係で慌てた

博士論文も、知的財産の公知案件となりうる

最近は一般的になってきていますが、

博士論文は、審査終了後に原則インターネット上に公開されます。

インターネットで情報を調べていたら誰かの博士論文が出てきたなど、

思い当たることがあると思います。

 

そして公開された博士論文も、知的財産における公知案件として扱われます。

すなわち、

博士論文に書かれている内容はすでに知られている内容として扱われ、

知的財産の新規性喪失につながる可能性があります。

 

これについては皆さん特に異論はないと思います。

学会発表のタイトル・要旨・誰かのセミナー資料も対象となるものですし、

当然の事象だと思います。

 

中間審査会や学術論文では、知的財産に関して対応できていた。

さて、博士課程2年次に行った中間審査会は、学内におけるプレゼンのみでした。

そのため、発表資料が外部公開されることはなく、

発表した内容が知的財産に影響することを考える必要はありませんでした。

 

また、学術論文への記載内容が公知として扱われることは把握していたので、

事前に特許出願を行った後に学術論文を投稿するなど、

適切な対応をとっていました。

 

しかし、学術論文には載せなかったデータが手元に残っています。

当時の指導教官と相談し、

今後の後輩のためにも、これらのデータを博士論文に載せよう

ということになりました。

 

博士論文だけに載せようとした結果に、会社の知財部門が注目

当時私は、「博士論文の内容が後日公知となること」を失念していました。

そのため私は指導教官の指示に従い、

データを追加して博士論文を執筆していました。

 

博士論文がほとんど完成し、副査の先生へ提出する1週間前

突然上司から

特に指摘とかはしないから、本文を一度読ませてくれ

と言われ、ワードファイルを提出しました。

 

そして数日後、突然知財部門から

博士論文のこのデータ、まだ公開してない?

多分知財性があるから、公開は待ってくれ。

と問い合わせが入りました。

 

よくよく調べてみると、非常に細かい内容ではあるものの、

確かに新規性・進歩性を持つ結果であり、

追加データを加えれば十分出願できるものでした。

 

当時の私は、以下の理由から安心しきっており、

この知財案件には全く気付いていませんでした。

・知財案件は学術論文投稿時にクリアしていること。

・博士課程3年時の私は、博士論文を仕上げることに頭がいっぱいだったこと。

 

そこで急いで指導教官へお願いし、

該当するデータを博士論文から外し、

ストーリーを少し組みなおすことにしました。

 

副査の先生へ提出する1週間前というタイミングでしたが、

何とか変更に対応させ、期日に間に合わせることができました。

 

知財についても、博士号取得後に何とか出願につなげました。

焦りはしましたが、結果的に知財部門のファインプレー

上司が私の博士論文を読もうとしたこと。

その論文を偶然担当者が目にしたこと。

この2つの偶然が重なったことで、知財案件を一つ見逃さずにすみました。

 

私は全く気付いていなかった内容だっただけに、

結果的に知財部門のファインプレーとなりました。

 

博士論文は、後日一般公開され、書かれている内容は公知となります。

博士論文によって自社の知財出願に迷惑が掛からないよう、

社会人博士を目指す方はご注意ください。

 

まとめ

・審査会は大学内の発表なので、情報が一般に公開されることはなかった。

・博士論文は後日ネット上に公開されるため、知的財産にかかわる内容には注意が必要。

・私の場合、博士論文に独自に載せようとしたデータに知財部門からクレームが入り、慌ててそのデータを論文から外した。

 

繰り返しになりますが、

博士論文は、後日一般公開され、書かれている内容は公知となります。

知財出願にかかわる情報は残っていないか、

丁寧に確認したうえで博士論文も執筆しましょう。

博士論文は自身の修了に直接影響するため、学術論文以上に締め切り厳守です。

余裕をもって対応できるよう、早い段階から確認しておきましょう。

 

社会人博士取得経験に関する連載を終えて

さて、社会人博士課程を通して私が経験した内容を紹介してきました。

全5回にわたる連載、いかがだったでしょうか。

 

これから社会人博士を目指す方にとって、

これらの記事が少しでもお役に立てばありがたいです。

 

まだ5つの記事すべてを読んでいない方は、

第1回の記事から読んでいただくことをお勧めします。

 

まだ読んでいない方は、ぜひ以下からご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/

 

研究職と博士号に関する記事はこちら

研究職と博士号




社会人博士体験談!投稿論文を出したいが、会社の意向との板挟みに悩む。

前回の記事では、

会社の業務に時間をとられて社会人博士の研究に時間が割けないということに悩み、

その解決策として、

社会人博士の研究がいかに会社のためになるものかを上長へ説明し、

業務時間中に社会人博士関連の仕事を行う許可をもらうことで、

時間を捻出しました。

 

まだ読んでいない方は、ぜひ以下からご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-4/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-5/

 

今回は第4弾として、

社会人博士経験談パート4:投稿論文でもひと苦労:会社との戦い

という内容で記事を書いていきます。

社会人博士卒業に必要な査読付き英語論文の投稿について、

会社員ならではの苦労を経験したので、ご紹介します。

 

ポイントは、以下の内容です。

・論文を出すにあたって会社の承認が必要。

・論文の内容に、会社の意向を反映させなくてはいけないこともある。

・会社の承認に数か月かかり、かなり焦った。

・論文投稿については、早めに会社と情報共有をしたほうがよい。

・無事に受理・公開されるまで、会社からのプレッシャーがあり気が抜けない。

 

少しでも参考になることがあれば幸いです。

 

社会人博士経験談パート4:論文投稿について会社の承認を得る

論文を出すにあたって会社の承認が必要

少なくとも私が所属している会社では、

学術論文を投稿する際には事前に会社の承認を得る必要があります。

 

論文のドラフトと申請書を添付し、

部長たちから承認を得たうえで投稿できるようになります。

社会人博士の研究とは言え、会社員として行っている研究でもあり、

研究成果は基本的に会社にも帰属します。

 

そのため、会社のプレスリリースなどと同じように

どのような情報が一般に公開されるかを事前に会社と共有することが、

論文投稿における最初のプロセスでした。

論文投稿直前になって、会社から指摘が入ってくる。

私の場合、

社会人博士の研究遂行は、ほとんど研究室のボスや指導教員と行っていました。

 

会社との方向性の共有は

最初のテーマ設定こそ上司や上長と相談して決めましたが、

その後はデータや進捗を課長と共有する程度でした。

上長が、「社会人博士の研究は、基本的に研究室の方向性に任せる」

という方針だったので、その通りに進めていました。

 

さて、データがそろってさあ論文を仕上げようという段階になり、

改めて会社に「論文を投稿する旨」を伝えました。

 

研究室のボスや指導教官と論文を仕上げ、

ドラフトを添付して会社へ承認申請しました。

 

そして、ここからが困難の始まりです。

承認権限のある部長クラスから、無数のコメントと指示が飛んできました

 

具体的にはお示しできませんが、

内容のほとんどは

「この文章やストーリーでは、うち製品の独自の優位性がよくわからない

「はっきり言えないのかもしれないが、有効性をもっと主張してくれ」など、

会社にとってのメリットが分かるような論文に仕上げなさい

という指示でした。

 

その当時、所属する会社の理科系部門の部長に研究所出身の人はおらず、

論文執筆経験のある人は一人もいませんでした。

 

部長たちは、

学術論文は自社の成果をアピールするもの

だと理解していたようで、

そのような側面をもっと押し出してほしいという意向があったようです。

 

さて、とはいえ学術論文ですので、データから示せないことは主張できません。

部長たちの意向を研究室のボスや指導教官へもっていき、

データから示せる範囲の表現で修正していきました。

(もう査読やん!) 

 

修正しては会社へ提出し、また返却されては修正しを繰り返していたら、

結局、この問題を解決するためだけに3か月近くを要してしまいました…

1回分の査読をやり終えたくらいの気持ちでした。

 

一般的に投稿論文を出す場合は、

事前に共同研究者のチェックを受けて

その内容を踏まえて修正することが多いです。

 

しかし企業では、

研究とは直接かかわりがない人たち(私の場合は部長クラス)の意向も

反映しなくてはいけないケースがあります。

 

研究者のマインド会社の意向

この2つの間でかなり揺れ動かされましたね。

 

このように、

論文投稿前に会社の承認が必要な場合、その対応に結構な期間を奪われる

可能性があります。

 

博士課程3年を考えると、こんなところであまり時間をとりたくありません。

3年生になってからだとかなり焦るので、

ぜひ事前に会社とすり合わせを行うことをお勧めします。

受理・公開されるまで、いろいろな理由から気が抜けない。

さて、準備ができた論文を投稿し、査読を受けます。

論文執筆経験者はご存じの通り、査読期間はケースバイケースです。

一瞬で終わることもあれば、年単位のこともありますし、

査読期間を事前に見積もることはほぼ困難です。

 

しかし、会社はスピード感と見通しを執拗に求めてきます。

 

「受理の見込みはあるのか」

「いつ受理されるのか」

「いつ公開されるのか」

部長たち研究内容と関連する部署などからは、

このような問い合わせが頻繁に来ました。

(わからない、で通すしかないんですが…)

 

特に、会社の大きなプロジェクトにかかわっている研究では、

論文投稿と並行して製品開発や販売準備をしているケースもあり、

計画通り進むように、細心の注意を払っています。

 

このように、

ただ論文受理するだけでなく、

それに付随する会社の仕事も背負っていることもあり、

受理・公開されるまで本当にひやひやします

 

結果的に社会人博士修了用の論文は、

厳しい査読はなく投稿から数か月で受理されましたが、

今後論文投稿をする際に同じような思いをすると想像すると、

今でも胃が痛くなりますね。

まとめ

・論文を出すにあたって会社の承認が必要。

・論文の内容に、会社の意向を反映させなくてはいけないこともある。

・会社の承認に数か月かかり、かなり焦った。

・論文投稿に関しても、早めに会社と情報共有をしたほうがよい。

・無事に受理・公開されるまで、会社からのプレッシャーがあり気が抜けない。

 

博士課程修了のための研究とは言いつつも、

会社員として研究活動をしている以上、

その成果は会社の成果としても扱われます。

 

自分の研究の質を高めて世に出していきたいという思いと、

会社のメリットとなる研究成果を出さなくてはいけないという会社からの圧力。

 

社会人博士に限らず、

企業研究員の方が論文を書く際にはこの葛藤が必ずあります。

 

確かにこの葛藤を持ち続けることは精神的につらい時もありますが、

それでも私は、

企業研究員もチャンスがあれば論文執筆はしたほうが良い

と考えています。

研究員として生きるのであれば、論文は自分のキャリアを支えてくれるはずです。

https://researcherinacompany.com/research-paper/

次回は、

中間審査や博士論文審査会など、大学内の修了要件に関することを書いていきます。

次回こそ本当に最後にします。

 

研究職と博士号に関する記事はこちら

研究職と博士号




社会人博士経験談!会社と大学院を両立するために、博士の研究を業務に組み込んでもらう。

 

前回の記事では、

大学との共同研究をきっかけに社会人博士進学の準備を始め、

会社の説得や入試で苦労した点についてお話ししました。

前回の記事をまだ見ていない方は、こちらをご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/
https://researcherinacompany.com/doctor-course-4/

 

今回は第3弾として、

社会人博士経験談パート3:会社の仕事と大学院の両立

という内容で記事を書いていきます。

 

私は、以下のような点を工夫しました。

・大学院や研究科によって修了要件が異なり、大変さが全く異なる。

・会社の仕事に博士の研究が追加されると、時間が足りない。

・博士の研究を会社業務の一つとして認めてもらうように努力してみるとよい。

・会社から認めてもらえれば、時間に余裕が出てくる。

 

少しでも参考になることがあれば幸いです。

社会人博士経験談パート3:会社の仕事と大学院の両立

大学院や研究科によって修了要件が異なる。

多くの方がご存じの通り、

博士後期課程の修了要件は、大学院や研究科によって全く異なります。

例として、私が修了した大学院と出身大学の博士課程を比較してみます。

 

〇私が修了した大学院

・研究実施講習への出席(毎年1回)

・査読付き英文雑誌の筆頭論文1報

・博士論文の提出と合格

・中間審査会(D2)と博士論文審査会の合格

 

〇出身大学の博士課程

・研究実施講習への出席(毎年1回)

・講義10単位(すべてレポート提出)

・研究科主催の論文ゼミ(D1時、月1回)

・国際学会での口頭発表1回

・査読付き英文雑誌の筆頭論文1報

・博士論文の提出と合格

・中間審査会(D1、D2)と博士論文審査会の合格

 

全く違いますね。

そもそも、所属先ごとにこれだけ修了要件が違うことに、改めて驚きます。

 

そして、特に社会人博士にとっては、

修了要件がどのくらい厳しく大変なものであるかは、

仕事などとの両立を考えるうえで非常に重要です。

 

会社の仕事にそのまま博士の研究が追加されると、時間が足りない。

ほとんどの社会人博士学生は、

大学院の研究とは別に、普段会社でも仕事をしています。

 

研究活動だけに自分のすべての時間を割けるわけではなく、

使える時間が限られています。

家族がいたり、大学と自宅が離れているなどのケースでは、

もっと時間が限られてくるでしょう。

 

社会人博士は単純に時間が足りません。

 

私の場合、おそらく修了要件はかなり優しい部類に入るものでしたが、

それでも入学直後から、「研究できる時間が足りない」と感じていました。

会社の仕事をしなくてはならず研究室へ行けない日々が続くと、

「このままじゃ修了に間に合わないんじゃないか?」

という焦りが出てきました。

 

本当は研究室に行きたいけれども、

我慢して会社で業務をこなすことも増えており、

何とかして研究室へ行く時間を確保しなくてはと感じるようになりました。

 

そこで、課長や所長へ相談を持ち掛けました。

博士の研究を会社業務の一つとして認めてもらう

前回の記事にも記載しましたが、

私の場合、社会人博士の進学先はもともと共同研究をしていた研究室であり、

博士課程の研究内容もこの共同研究を起点にしたものでした。

 

しかし会社からは、

共同研究は会社としての業務

社会人博士は個人のスキルアップ

という形で、それぞれ別の取り組みとして認識されており、

業務中に社会人博士に関する作業はできず、業務外時間で行っていました

 

しかし、共同研究の内容と社会人博士の研究テーマは本質的に同じものであり、

社会人博士の研究成果は同時に共同研究の成果として扱ってもよいのでは?

と考えました。

 

そこで、

社会人博士の研究を業務の一つとして扱ってほしい

業務時間中にも、社会人博士にかかわる作業をやらせてほしい」と

課長と研究所長に交渉し、何とかOKをもらうことができました。

  

認められた理由は、以下のようなものだったようです、

・共同研究内容と社会人博士の研究テーマが非常に近い

・社会人博士の研究テーマがうまくいけば、会社の利益になる可能性がある。

 

これにより私は、研究室へ行けたときに実験に割ける時間が増え、

データをとるスピードを上げることができました。

 

私のように、社会人博士の研究テーマが会社の利益につながるものであれば、

会社業務に「社会人博士の修了につながる作業」を盛り込んでもらうことで、

業務中に論文執筆やプレゼン準備などの作業ができ、

時間に余裕が出てくると思います。

 

 

まとめ

・大学院や研究科によって修了要件が異なり、大変さが全く異なる。

・会社の仕事に博士の研究が追加されると、時間が足りない。

・早い段階で、博士の研究を会社業務の一つとして認めてもらう。

・会社から認めてもらえれば、時間に余裕が出てくる。

 

会社の仕事に博士の研究が入ってくると単純に忙しく時間が無くなります。

博士の研究を会社の仕事の一つとして認めてもらうよううまく会社に働きかけ、

業務中に博士の研究時間を確保することで時間の余裕を生み出していました。

 

心身ともに追い込まれることなく、

楽しく研究をして博士号をとれるようにするために、

できる限りの工夫をすることをお勧めします。

 

次回はいよいよ、投稿論文における会社との戦いについて書いていきます。

興味のある方は引き続きご覧ください。

 

研究職と博士号に関する記事はこちら

研究職と博士号




社会人博士体験談!会社の許可を得る交渉と入試での苦労

この記事のポイント

・社会人博士進学についての会社の説得は、どこで躓くか分からない。

・社会人博士の研究を「会社の仕事の一つ」として認めてもらうとよい。

・「社会人取得により会社にもたらすメリット」を自分の中で整理しておくとよい。

・進学先の先生からの推奨をもらっていると、許可が下りやすいかもしれない。

・入試の準備は余裕をもって。学生時代の研究内容の場合十分に復習を。

 

前回の記事では、

大学との共同研究をきっかけに

社会人博士進学の準備を始めた頃までお話ししました。

前回の記事をまだ見ていない方は、こちらをご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-3/

 

今回は第2弾として、

社会人博士経験談パート2:会社の説得と入試準備

という内容で記事を書いていきます。

 

私は、以下のような点で苦労しました。

・研究所長と本部長の仲が良くなく、許可取得がなかなか進まない。

・「社会人博士取得により会社にもたらされるメリット」を会社に示す。

・入試で行う研究プレゼンの準備。

 

社会人博士進学が決まる経緯から博士号取得までを、時間軸に合わせて書くので、

少しでも参考になることがあれば幸いです。

 

社会人博士経験談パート2:会社の説得と入試準備

会社との交渉

まずは、進学許可を得るための会社との交渉です。

手順としては、以下の通りです。

①自分の上長(課長、研究所長)を説得し

②研究所長から本部長と常務へ説明してもらい許可をいただく

 

まず、①課長、研究所長の説得ですが、

こちらはあっさりと許可をもらいました。

 

許可いただけた理由としては、以下のようなものがあったようです。

・共同研究でデータが出ており、この業績で博士号をとれるなら労力が少ない。

・労力が少ないので、仕事への影響も小さいと判断された。

・課長も研究所長も博士号持ちで、博士号取得の仕事上のメリットを知っている。

・研究室のボスから推薦をもらっている(メールで直接推薦してもらった。)

 

しかし、ここから先で苦労しました。

 

②研究所長から本部長への交渉がなかなか進みません。

その理由は以下のようなものでした。

・研究所長と本部長の仲が良くなく、コミュニケーションが少ない。

・そのため、少し話すだけで終わるような話もなかなか進まない。

 

社会人博士進学のため願書の提出が1月末締め切りで、課長と研究所長の許可は11月末の時点で得ていました。

しかし、願書締め切り前日まで許可の連絡が届きません。

 

何度も研究所長へリマインドメールを送り、

願書の執筆も済ませ、ただひたすら許可の連絡を増しました。

やっと許可が下りたのは、なんと願書締め切り日の3時間前でした。

 

誰かが私の進学を嫌がっているのではないかとすら思っていましたが、何とか会社から進学許可をもらうことができました。

 

ただし、進学に合わせて本部長から一つ課題を与えられました。

社会人進学が会社にもたらすメリットを説明する。

本部長から与えられた課題は、

社会人博士取得により会社にもたらされるメリット

を会社に示すことでした。

 

困惑しました。

正直なところ、社会人博士への進学は自分が博士号を取得することが目的で、

自分自身のキャリア形成のためとしか考えていませんでした。

 

また、研究成果を会社事業へ活かすことも大きなメリットではありますが、

それは共同研究によって得られるものであり、

個人の博士号取得によるものではありません。

 

共同研究と個人の博士取得。

この2つを区別したうえで、個人の博士取得が会社にもたらすメリットを具体的に説明するのに、私はかなり頭を痛めました。

 

いろいろ悩んだ末に、以下のような提案をして納得してもらいました。

・博士号取得のプロセスを通して、研究遂行に必要な能力を身に着けられる。

・この能力は、会社の後輩や部下を研究者として育成する際に不可欠。

・博士号取得により海外の研究者とのコミュニケーションがとりやすくなる。

・博士号取得者が増えることで、研究開発へ力を入れているというイメージの獲得につながる。

・博士を取得できる見込みがあると、研究室のボスが推薦している。

 

実際の文書にはより細かく記載していますが、

大きくは上記の内容を書きました。

この内容を研究所長から本部長へ回してもらい、何

とか納得してもらうことができました。

 

ただ後日、本部長と直接話した際には、

先生からの推薦もらってると断れないよね…」と話しており、

先生からの推薦は効果抜群のようです。

 

社会人博士を希望される方は、

進学予定先の先生などの推薦を事前に取り付けて、

そのことを会社に伝えておく

進学許可が下りる可能性が上がるかもしれません。

 

入試の準備

会社の許可をとって大学へ願書を提出し、面接までの準備に入ります。

面接は、研究紹介と質疑応答です。

そこで、これまで共同研究で行ってきた研究の進捗を説明し、

今後の展望を含めてプレゼンをすればよいかと考えていました。

 

しかし、募集要項を見て愕然とします。

修士課程の研究内容を説明し、質疑応答を行う

この結果、

何年も前の修士課程の研究を復習し、

完璧に仕上げるというタスクが発生しました…。

 

大学院卒業以降ほとんど見たことがなかった過去の資料を引っ張り出して当時の研究データを復習するだけでなく、

私の修了以降に出版された関連論文に一通り目を通し、

自分の研究の位置づけとその後の発展内容について、頭の中に叩き込みました。

 

整理した状況をもとに自分の修士論文発表会の発表資料を作り直し、発表練習も行いました。

 

本番までの1か月間、平日の昼と土曜日は会社の仕事や大学での研究を行い

平日の夜と日曜日は面接対策に充てていました。

今思えば、あの当時は非常に苦労しました。

 

そして何とか本番の面接を無事に終え、

合格し進学を果たすことができました。

 

入試の準備は、会社の業務や研究とは別の時間で行わなくてはいけません。

当時は独身で時間を十分に確保できたため1か月で間に合いましたが、

できれば早い段階から準備を進めておくことをお勧めします。

まとめ

・社会人博士進学についての会社の説得は、どこで躓くか分からない。

・社会人博士の研究を「会社の仕事の一つ」として認めてもらうとよい。

・「社会人取得により会社にもたらすメリット」を自分の中で整理しておくとよい。

・進学先の先生からの推奨をもらっていると、許可が下りやすいかもしれない。

・入試の準備は余裕をもって。学生時代の研究内容の場合十分に復習を。

 

社内の説得や入試準備でもそれぞれ躓くことがあると思うので、

準備は時間的な余裕をもって行う方がよいでしょう。

 

次回は、進学後の研究と仕事の両立について書いていきます。

社会人博士を希望されている方の、少しでも参考になれば幸いです。

次の記事はこちら

https://researcherinacompany.com/doctor-course-5/

研究職の転職が気になる方へ

本ブログ運営者のとうやは、研究職→研究職の転職に成功しています。

概要は以下の記事を参照ください!

↓ 

研究職の私の転職活動:内定を得ました!




社会人博士体験談!会社や大学の推薦・許可を得た経緯について解説。

この記事のポイント

・大学との共同研究は、社会人博士進学のきっかけになりやすい。

・大学の研究室で自分でデータをとり、論文を書ける環境が望ましい。

・論文が書けそうなデータをもとに、研究室のボスから進学許可をもらう。

 

現在私は、食品企業の研究職として働いていますが、

入社後に行った大学との共同研究をきっかけに社会人博士課程に進学し、

博士号を取得することができました。

 

入社後に社会人博士を取得した方はそれなりにいらっしゃるようで、

実際、様々な方が社会人博士取得の経緯、苦労したこと、

メリットデメリットについて

ブログや記事などにまとめてくれています。

(勝手ながら、いくつか紹介させていただきます)↓

Akira Tanimotoさんの記事

(同じような経験者の記事へのリンクを多数貼ってくれている。)

シャープの研究員の方の記事

 

このような記事を見ると、

ひと口に社会人博士といっても一人一人状況が全く異なり、

それぞれ違ったことに悩みながら、

社会人博士課程を修了していることが分かります。

 

企業研究職で博士号取得を希望されている方は、

実際に取得した方の体験談を読んだり聞いたりすることで、

ご自身がどのように行動すれば博士を取得できるか、

イメージしやすくなるのではと思います。

 

そこで、私の社会人博士取得体験について記事することによって、

社会人博士を検討している企業研究者の方の

お役に立てるのではないかと考えました。

 

そこで、

私が社会人博士課程に進学した経緯や

どのように研究と仕事を両立しながら博士号を取得したかについて、

連載記事の形でまとめることにしました。

 

今回はその第一弾として、

社会人博士経験談パート1:食品企業入社から社会人博士進学までの経緯

という内容で記事を書いていきます。

 

私の経験上、以下のような状況が社会人進学に大きく影響しました。

・大学との共同研究は、社会人博士進学のきっかけになりやすい。

・大学の研究室で自分でデータをとり、論文を書ける環境が望ましい。

・論文が書けそうなデータをもとに、研究室のボスから進学許可をもらう。

 

少しでも参考になることがあれば幸いです。

社会人博士経験談パート1:社会人博士進学までの経緯

入社から研究所への異動まで

生命科学系学部の修士課程を修了し、

新卒採用で現在所属する食品会社へ就職しました。

 

新入社員研修後は地方の食品製造工場へ配属され、

生産管理担当として数年間働きました。

 

仕事は特に大きなトラブル等はなく過ごしましたが、

現場の人と会話内容が合わず、人間関係を作るのに疲れる

生産管理の仕事、自分はやりがいや楽しさを感じない

という漠然とした不安や不満を感じていました。

 

そんな中、自分も予期せぬタイミングで研究所への異動を命じられます。

 

もしかしたら、不安や不満が顔に出ていて、

「こいつは工場から異動させた方がいい」

と上司に思われていたのかもしれません。

 

大学との共同研究の主担当に任命される

研究所異動直後は、研究所業務の研修を受けていましたが、

数か月後に、ある大学との共同研究の主担当に任命されます。

その内容は、大学の設備を借りて自分で実験してデータをとる

というものでした。

 

久しく自分で実験をしていなかったこと、

共同研究の内容が大学院時代の研究内容と全く異なっていたこともあり、

任命直後は不安しかありませんでした。

 

しかし、いろいろ考えた末、このチャンスはめったにないと腹をくくり

大学の設備を使い倒し、意地でも結果を出す」 と心の中に誓いました。

週6日以上は研究室へ行き、実験データをとり続ける日々

実際に共同研究が開始してからは、

週6日以上は大学の研究室に出向き、実験に没頭しました。

研究室の進捗報告にも毎回出席し、

データの共有やディスカッションに参加しました。

 

当初会社からは「大学へ行くのは週3回前後で」と言われていましたが、

気づいたらそういわれていたことも忘れ、

ほぼ毎日(土日含む)大学へ行っていました。

 

めぼしいデータが出るまでの1年間もかかりましたが、

研究に没頭するほど研究が楽しくて仕方なく、あっという間に過ぎていました。

 

そして、データが出始めたころ、あることに気づきます。

この研究、うまくいったら論文書けるんじゃないか?

論文書けるなら、博士取得の道もあるんじゃないか?

会社研究所の重役は博士持ってるから、今後のことを考えても博士はあった方がいいかも

 

そして、そのためには研究室のボスの推薦をもらうのが手っ取り早いと考え

社会人博士進学に向けた行動を開始します。

研究室のボスから博士進学の推薦をもらう

社会人博士進学を実現するために、

まずは研究室のボスの許可をとることにしました。

 

アピールポイントは以下の2つです。

・論文を書けるようなデータが取れてきていること。

・研究をさらに発展すべく、会社との共同研究も継続する(=研究費を支払う)。

 

論文という形で研究室の業績に貢献し、

会社から研究費を入れてさらに研究を発展させる。

この2点をもってアピールし、進学許可をもらいました。

 

後で聞いた話ですが、普段の研究の様子や進捗報告を受ける中で

「こいつは社会人博士に進学させてもいいかも」と思っていたらしいです。

 

このような形で、研究室のボスから社会人博士への進学許可をいただきました。

ボスからの許可は、会社を説得するにあたって非常に大きな材料となります。

詳しくは次回に書きます。

 

まとめ

・大学との共同研究は、社会人博士進学のきっかけになりやすい。

・大学の研究室で自分でデータをとり、論文を書ける環境が望ましい。

・論文が書けそうなデータをもとに、研究室のボスから進学許可をもらう。

 

次は、会社の説得と入学試験について書いていきます。

興味のある方は引き続きご覧ください。

https://researcherinacompany.com/doctor-course-4/

 

研究職の転職が気になる方へ

本ブログ運営者のとうやは、研究職→研究職の転職に成功しています。

概要は以下の記事を参照ください!

↓ 

研究職の私の転職活動:内定を得ました!




【事例紹介】アカデミアから民間企業へ転職した博士研究員

現在私が所属している食品会社では、

研究職・開発職の社員のほぼすべてが、新卒で採用された社員です。

 

ほとんどが修士課程卒業の理系枠で採用された人たちで構成されており、

博士号持ちの社員は非常に少なく、

それも入社後に取得した人がほとんどです。(私もこのパターン)

 

一方で、博士取得後しばらくアカデミアで働いたのち、

研究職として民間企業へ中途入社する方もいらっしゃいます。

 

私が直接かかわった人としては、

民間企業のオファーを受けて転職したポスドクの方や

私の会社に中途入社してきた元助教の方

などがいらっしゃいました。

 

そのような方と話を聞くと、

自分の経験を何とか企業研究に落とし込んで働いているものの

アカデミア在籍時のイメージと実際の企業研究のギャップなど、

いろいろなことに悩みながら働いているようです。

 

今回は、

ポスドクの転職:アカデミアから民間企業へ転職した研究員

について、紹介します。

 

ポスドクから民間へ転職してきた研究員の事例

今回紹介する事例について

今回は、2名の方について紹介します。

詳細に書くと個人情報的に問題があるので、ある程度ぼかした情報になりますが、ご了承ください。

なお紹介する2名は、

博士取得後しばらくポスドクなどをした後に転職してきたという点、しか共通点はなく、

入社時期、研究分野、年齢等も全く異なります。

 

事例1:就職後、全然違う仕事に割り当てられたAさん

Aさん、生命科学系の基礎研究で博士号をとり、

そのまま助教として働いたのちに私の所属会社に転職してきました。

 

転職のきっかけは、

会社が、ある新規プロジェクトの分野に明るい専門家を探しており、

その方がリストアップされオファーをしたことがきっかけだったようです。

 

中途入社直後から、その方は新規プロジェクトサブリーダー的ポジションとして働き始めました。

部下も数人持ち、約1年半研究開発活動をつづけました。

 

しかし2年後、社内政治的な事情によりそのプロジェクトが終了することになりました。

その方は、終了決定後約1年でプロジェクトをクローズさせる仕事を行い、

その後、同じ研究部門内の分野が違う部署へ異動しました。

 

この異動は、特に専門性を考慮されたわけではなく、

新卒採用の社員と同じような扱いとしての異動だったそうです。

 

中途入社時にはその専門性に期待されて入社したにもかかわらず、

わずか数年後にはその話がすべてなくなってしまうという、残念な状況となりました。

 

その方は自身の専門分野で仕事をしたいという気持ちが強かったため、

プロジェクト終了が決まった直後は転職もかなり検討したそうですが、

様々な事情を考慮して異動を受け入れたそうです。

 

異動先の仕事も楽しんでやれているとは言っていますが、

「いったい自分には何が期待されているかよくわからないんだよね…」

と、不安や不満に感じていることがまだあるようです。

 

また、

・専門性で採用されたのに、結局会社事情で異動させられてしまうこと。

・こんなに短期間で結果を求められると、本質的で質の高い研究はできない。

・このような異動が行われている限り、社内で専門性の高い貴重な研究者は育たない。

 

ということを非常に懸念しているようでした。

いつか異動させられるかと思うと、今の仕事に本気になれないときがあるようで、

今もジレンマを感じながら、仕事をしていらっしゃるようです。

 

事例2:アカデミアで培ったスキルを存分に活かしているBさん

最初の方は、アカデミア時代に身に着けたスキルを比較的活かせているタイプです。

Bさんは、バイオインフォマティクス系のラボで博士をとり、

その後ラボへ移ってポスドクとして働いていました。

 

バイオインフォマティクスという分野は、

食品をはじめ様々なメーカーや企業で専門家が不足している分野です。

その方のラボは、企業の間でも比較的有名だったようで、

企業からの共同研究の申し込みが絶えないような研究室だったそうです。

 

そのため、その方も企業との研究に慣れているだけでなく、

いろいろな企業の考え方や進め方に触れることができていたようです。

こういう経験ができたのは転職活動でも役に立ったということを、

後々この方はおっしゃっていました。

 

さて、この方は、バイオインフォマティクスの専門家として転職活動を行い、

ある食品会社に転職しました。

 

面接の際に、

バイオインフォマティクスやデータサイエンスの仕事を任せる

とはっきり言われるなど、ほぼ専門職として採用されたようです。

採用後は研究部門に配属され、データサイエンスの仕事を中心に行っています。

 

この方のケースでは、

人材が不足している分野の専門家という長所を利点を存分に活かし、

専門性の高いポジションへ転職できました

 

もし、自分の専門性が企業にとって希少価値の高いものであれば、

その専門性を武器に民間企業への転職を実現できるかもしれません。

 

しかし、この方は入社後にいくつかジレンマを感じているようで、

・データサイエンスの過程に興味がなく、解析結果ではなく結論を急かしてくる人が多い。

・インフォマティシャンは何でもできると思っている人が多い。

と嘆いていました。

 

まとめ

・バイオインフォマティクスなど、企業にとって希少価値の高い分野の専門家は、

その専門性を活かした民間企業への転職が実現しやすいかもしれない。

・採用時にはその人の専門性に期待していても、その後のプロジェクト終了などによって

専門以外の仕事に割り当てられてしまうこともあり得る。

・一度企業に入ってしまうと、新卒採用の人と同じ扱いや人事異動を受けてしまうこともある。

 

アカデミアを生き抜いて身に着けてきた専門性など能力が、

民間企業のニーズと合致すれば転職においてとても有利ですが

そのニーズがずっと続くとは限りません。

 

もし企業研究員として活きていくのであれば

専門性という武器を持ちつつも、プロジェクト終了などの会社に意向に従う必要があります。

 

企業のロジックで働くことは、アカデミアのお仕事とはまた違うことが多いようです。

 

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アカリクキャリア」というサービスがあります。

興味がある方はぜひのぞいてみてください。

会員登録は無料ですので、登録しておくだけでも良いと思います。

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研究職も転職できる

著者は昨年、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、環境を変えることを検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

https://researcherinacompany.com/recruit-15/



【モノづくり以外もあるよ!】食品メーカー研究職のモノづくり以外の仕事を紹介。

食品メーカーの主な事業は、食品を製造販売することです。

会社の多くの売り上げがこの食品事業によってたたき出されますし、

食品の開発・製造・販売などに従事する従業員の割合は非常に多いです。

 

実際に新入社員の多くは、食品の開発・販売などを志望して入社してきますし、

研究職の同僚もこのマインドを持っている人が多いと思います。

 

しかし、食品開発やモノづくりに直接かかわらない社員、興味がない社員もわずかながら存在しています。

 

実は私自身も、食品メーカー勤務にもかかわらず、あまりモノづくりに興味がありません。

入社する前からあまり興味がなく、入社すれば多少なりとも面白みを感じるかなと思いましたが、

工場での生産管理や研究職として働いてきた今でも、

あまり興味が持てずにいます…

 

しかし、そんな私でもメーカー研究職としてしっかり働くことができています。

確かに、モノ作りに関連する仕事にはあまり関与していませんが、

モノづくり以外にも研究職としてできる仕事はたくさんあります。

 

興味がないことをやらない代わりに、それ以外の仕事をしっかりこなすことで、

部署や会社の役に立てればと思いながら仕事をしています。

 

そこで今回は、

モノづくりに興味がなくても大丈夫!食品メーカー研究職のモノづくり以外の働き方

というテーマで記事を書いていきます。

 

記事を通して、

モノづくり以外でも研究職の仕事はいろいろあるよ

ということをお伝えできればと思っています。

ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

 

ただし、今回はメイン業務となりうる仕事を紹介します。

特許出願や論文執筆など、研究職であれば誰でも関わりうる仕事については、外しました。

モノづくりに興味がなくてもOK、食品メーカー研究職の仕事を紹介

例示:食品メーカーでのモノづくり

商品開発

いわゆる、「世に出る商品を規格・設計する人」です。

「開発職」として採用している会社も多いようですが、

研究職の人が一部担当している会社も聞いたことがあります。

 

研究職・開発職の違いはこちらで紹介↓

研究職と開発職:両者の違いを紹介①

研究職と開発職:両者の違いを紹介②

 

処方設計

特に健康食品やサプリメントを作るとき、その配合や副資材の設計をする仕事です。

作り方と出来上がるものに責任を持つ仕事ですので、モノづくりですね。

 

化学合成・天然物からの成分抽出など

この部分を担当する人は、製造技術の確立とそれにより得られる生成物の品質担保を行います。

作り方と出来上がるものを評価するという意味で、モノづくりですね。

 

工場での製造方法を検討する仕事

実験室でできたことが、工場設備へそのまま落とし込めることはまれです。

このギャップを埋める役割は、製造を実現するためにも非常に大切な工程です。

これも、モノづくりの仕事です。

 

モノづくり仕事の共通点

モノづくりの仕事の多くは、以下のようなことが求められます。

①モノを必要としているユーザーの要望を汲み取る。

②要望が実現するような処方・設計を考え、試作や実験をして最適なものを完成させる。

③作業が多いため、安定した作業能力、器用さが必要な場合がある。

 

私は①と③に若干不安があり、

「誰かのために自分でモノを作ること」にあまり関わりたくないという気持ちがあります。

 

このような状況でしたので、

研究職に配属されてからは、モノづくりではない仕事を自発的に担当するようにして、

徐々にモノづくり仕事を減らしていきました。

 

では、どういった仕事があるでしょうか。

モノづくり以外の仕事

ここからは、モノづくり以外の仕事の一部を紹介します。一部は私も実際に行っています。

基礎研究

モノづくりは、いわゆる「応用研究」の範囲に入るものが多いですが、

モノを作る前の技術開発や、食品成分の機能性評価などは、基礎的な研究として扱われます。

これらの内容は、モノを作る事とは少し離れた位置づけの仕事になってきます。

 

品質管理業務

すでに出来上がっているものや、製造されているものの品質を管理する業務です。

物を作ることには直接関与しない業務の一つです。

 

臨床試験の計画、運営

健康食品などの場合、食品の機能性・安全性などを評価するために臨床試験を行います。

こういった試験は、すでに販売されている食品を使うなど、自分がモノを作るケースは少ないです。

 

データサイエンス、統計解析

マーケティングデータ、臨床データなど解析し、

結果をもとに何らかの結論や指針を示していく仕事です。当然、モノは作りません。

現在、食品メーカー(少なくとも私の会社)にはデータサイエンティストが足りておらず、

また転職市場でも争奪戦になっていると転職エージェントから聞いています。

モノづくり以外の仕事をしたい人にとって、狙い目の仕事かもしれませんね。

 

大切なこと!モノづくり以外の仕事でも、モノづくりや利益を意識する。

直接モノづくりにかかわるわけではありません。

そうはいっても、会社員である以上

売り上げの拡大や自社の利益になる仕事をする必要があります。

 

上で紹介したモノづくり以外の仕事は、

他部署の人が一度聞いただけでは、会社の利益になるイメージがわきません。

 

自分の仕事がどのような形で会社に貢献しているのか、常に周りに話をする、

自分のスキルを活かして他人の仕事をサポートし、仲間を増やしていく、

というような努力が必要になるかもしれません。

 

また、個人的な経験ですが、

モノづくり以外の仕事は、社内で地味で煙たい印象を持たれることが多いので、

そのことも覚悟しておくほうが良いと思います。

 

表に出てモノづくりをするのではなく、会社のために裏方として活躍する。

そのような気持ちで働ける人は、モノづくり以外の仕事でも活躍できると思います。

まとめ

・研究職でも、モノづくり以外の仕事はたくさんある。

・モノづくり以外の仕事でも、売り上げ拡大など会社のためになる仕事をするように意識する。

・今回紹介したモノづくり以外の仕事の意義は、他部署の人からすると分かりにくい。

・自分の仕事の意義を、周りの人に伝えて仲間を増やしていく必要がある。

 

研究職でモノづくり以外の仕事をする人」という立場は、

その存在意義を社内で理解してもらうにはそれなりの努力が必要です。

私も、そのことを頭に入れて行動に気を付けてながら仕事をしています。

 

自分の働き方と社内での立場をうまくコントロールできれば、

楽しく働くことができるでしょう!




【要チェック!】研究所見学で観察してほしいポイント

就活で内々定を獲得した後は、

会社から宿題が与えられたり、内々定者を集めた懇親会に招待されるなど、

様々なイベントが待ち構えています。

 

その中の一つで、特に研究職や理系総合職を対象に行われやすいイベントとして、

研究所見学があります。

 

研究所見学については、以前の記事で選考途中に組み込まれていることもあることを説明しました。

就活生向け:研究所見学はできるだけたくさん参加しよう!

https://researcherinacompany.com/recruit-2/

選考中に研究所には、できる限り参加したほうが良いと私は考えています。

見学することによって、その企業の選考を続けていくかを判断する材料を手に入れられるからです。

 

一方で、内々定獲得後に行われる研究所見学の場合、選考中とはまた違う目線でじっくり観察できると思います。

内々定を持っているので選考への影響を心配せずリラックスして参加できますし、

選考時より冷静に客観的に見学ができるかと思います。

 

その中でも特に大事なのは、

「自分がこの研究所で仕事をしてみたいか、ここで働くイメージを持つことができるか」

ということだと思います。

 

そのためにも、以下のポイントを参考に研究所を見学し、

せっかくの機会をより自分もためになるものにしてほしいと思っています。

 

今回は、「研究職内定後によく見てほしい:研究所見学で観察してほしいポイント

という内容で記事を書いていきます。

 

研究職や理系総合職を目指す学生の参考になればうれしいです。

研究職内定後によく見てほしい:研究所見学で観察してほしいポイント

研究所の建物のつくり

当然、新しく・立地もよく・安全な建物の方が理想的です。

仮に現在の建物が古くても、近い将来移転の可能性があるのであれば、それを待つという手もあります。

しかし、その場合は引っ越しにかかわる実務をご自身が担当する可能性が高いことも念頭に置くといいでしょう。

 

実験室の設備(新しい機器などが導入されているか)

研究活動は、世の中の科学の進歩についていきながら、自分たち独自の成果を出していく活動です。

基本的には、最新の機器を活用した研究開発ができる環境であるほど、

より価値が高い研究成果を得られる可能性があるでしょう。

 

また、最新の機器や設備を複数備えているということは、

その研究所がそれらの機器を導入できる予算規模で動いていることを意味しており、

他のプロジェクトにもある程度お金をかけられていることを示唆しています。

 

研究にはお金がかかります。

大事なところにしっかりお金をかけられている研究環境で働くためにも、

見学する研究所の設備状況をしっかり見ておくとよいでしょう。

 

社員の顔つき・雰囲気

おそらく、内定者への説明などに何名かの社員が登場してくると思います。

基本的に、それらの方は外部対応をしても問題ないと判断されている社員ですので、

その方々の話し方、雰囲気、顔つきに違和感を感じたら、そのことは覚えておきましょう。

 

また、見学中に廊下ですれ違う社員などがしっかり挨拶をしてくるか、

話し方、顔つき、振る舞いに違和感を感じないかも見ておきましょう。

 

ここで会う人は一緒に働く可能性がある方たちです。

「この人たちと一緒に働くこと」をイメージできるのであれば、大丈夫だと思います。

 

事務所・実験室の雰囲気

研究所見学の対応には登場しない社員たちの雰囲気も気になるところです。

これについては、事務所・実験室・作業室を見学する際にそれとなく観察してみましょう。

 

作業中の人たちは、対応している社員と比べて若干油断しており、

よくも悪くもいつも通り仕事をしてます。

いつも通りの雰囲気を知る場面としては、事務所や実験室にいる社員の表情や動きを見るのがよいでしょう。

 

明るくワイワイしている、おとなしくて落ち着いて作業しやすそうなど、

自分に向いている環境かどうかを確認するだけでも、働くイメージを持ちやすいかと思います。

社員の年齢層

社員の年齢層や年齢構成も確認しておくといいでしょう。

 

若い社員がとてもたくさんいる場合、

一緒に働く先輩が多くとても働きやすい環境と想像されます。

しかし、15~20年後の出世のライバルにもなる人が多いことを意味しており、

会社に残る場合の社内での生き方はいろいろ考える必要があるかもしれません。

 

一方で、若い人が少なくベテランの方々が多い場合、

入社後の実務部分を教えてくれる身近な人が少ない可能性があり、

自分自身でいろいろ試行錯誤していく場面が増える可能性があります。

 

社内で味方を見つけるのに苦労するかもしれませんが、

その分自分一人でできることが増え、成長できやすいかもしれません。

作業着・作業服

作業着・作業服がカッコいいorダサいというのも、

モチベーションに大きく関わってきます。

 

多くの研究所では、会社指定の作業服などが支給され、研究所内ではそれを着て活動します。

来客対応なども作業着のまま行うことも多いです。

 

ダサい服でもずっと来ていると慣れてしまいますが、

そんなに入りたくない会社でどうしても来たくない服をわざわざ切る必要もないです。

あなた自身が、ここで働き、研究したいと思うか

そして何より大事なのが、あなたがこの研究所で働きたいと思うかどうかです。

 

「ここでは働きたくない」と感じている場合は、その感情は大切にしましょう。

特に、研究職採用の方はこの研究所で働く可能性が高いため、なおのことこの感情は大切です。

 

確かに、新卒採用後の配属先は会社が決めるため、あなたがこの研究所で働くかどうかはまだ分かりません。

そのような状況ですので、研究所の雰囲気が合わないという理由だけで内定を辞退するという選択は時期早々です。

働き始めてれば感じるものは変わるかもしれないという考え方も、当然あるでしょう。

 

一方で、最初の印象は時間がたってもなかなかぬぐえないものです。

どのような大企業、どれだけ新しい研究所や設備であっても、

自分のフィーリングと合わないことは十分あり得ますし、

働き続けても何となくしっくりこないと感じるかもしれません。

 

自分に合わない環境でずっと働く必要はありません。

時間とともに精神的につらくなってくる場合があります。

まとめ

・選考中も内々定後も、研究所見学にはできるだけ参加してほしい。

・研究所見学では、自分がここで働くイメージができるかを、意識して見学してほしい。

・建物、設備、雰囲気、作業着など、見学でしか見れない情報も多いので、貴重な機会になる。

・第一印象が自分のフィーリングに合わない場合は、その気持ちは大切にしてほしい。(だからといって、すぐに内々定辞退などをする必要はない。)

 

自分がこれから働くかもしれない職場を見学できる貴重な機会ですので、

しっかりと自分の目に焼き付け、

自分がここで働くイメージができるか、自分に問うてみるといいでしょう。

 




研究職が企業で論文を書く:投稿までに乗り越えなくてはいけない壁とは?

企業で論文を書くとき、アカデミアとは違った苦労があります。

 

企業においても、研究職が論文を書いて投稿することはたまにあります。

このブログの執筆者である私も、

昨年末より、業務の一環として学術論文を投稿する機会があり、先日無事に受理されました。

 

大学・アカデミアでは、学術論文を出すことそのものが一つの目的となっており、

学生や研究員が論文を書くことに対して、基本的に支障は少ないです。

一方で、企業で論文を出すときには、アカデミアとはまた違った部分で超えるべきハードルがあります。

企業と共同研究を経験された方は、論文投稿前にさまざまな調整業務が発生することを身をもって体感したかもしれませんね。

 

今回私が論文を出すと決めるときにも、

論文を書くことと並行して、いくつかのハードルを越えるための手続きを進めていました。

その中にはなかなか骨の折れるものもあり、企業で論文を出すことの難しさを感じました。

 

今回は、

研究職が企業で論文を書く:投稿までに乗り越えなくてはいけない壁とは?

という内容で書いていきます。

 

現在企業で研究をされている方は、私と同じような状況を経験する可能性もありますし、

将来企業で研究したい学生の方は、初めて聞く内容が多いかもしれません。

1人の研究職の経験ですが、ぜひ参考にしてみてください。

研究職が企業で論文を書く:投稿までに乗り越えなくてはいけない壁

論文を出すことで会社が得られるメリットは何か、説明できるようにしておく。

そもそも、会社の業務の一環として論文を出す場合は、労働時間の一部を論文投稿準備に充てるという扱いになります。

 

業務として行う以上、

その論文が会社にとってどういったメリットがあるのか、会社側に説明できなくてはいけません。

上司や会社が、この論文投稿が会社にとって良いものである・重要であると判断した場合に、

初めて論文の準備を進めることができます。

 

今回の私のケースをざっくりと説明すると、

ある食品を使った臨床試験の結果が良好で、この内容を論文するというものでした。

論文受理により、この食品に関する機能性表示食品届出資料に使うことができ、

届け出受理によりこの食品の付加価値化につながり、商品が売れるなど会社に貢献できる

ということを、会社にとってのメリットとして伝えました。

 

このように、論文を一つ書くだけでも、

会社へのメリットを説明できるようにしておく必要があります。

知的財産の出願は終えているか、これ以上出願できる内容は残っていないかを確認する。

企業では、研究成果の公開のまえに、

特許などの知的財産が優先されます。

そのため、一定の成果が出た段階でまずは特許の準備を最初に行い

論文などの外部公開はそのあとに取り組みます。

 

基本的に企業の研究者は、研究立案段階から取得できる知的財産を想定しており、

その知的財産が会社のどういった優位性につながるかも、事前に検討しています。

 

知的財産に関する取り組みが一通り決着した段階で、論文化などの外部公開を検討します。

 

ところが、研究結果が当初の想定と異なっていることも頻繁にあるため、

知財戦略もその都度見直しをしていきます。

十分検討したつもりでも、まだ知財化できる余地が残っていることもあるからです。

 

そのため、論文などで外部公開をする前に、出願余地がないか徹底的に調べ、

問題ないだろうと判断した後に初めて、外部公開に向けた準備に取り掛かかることができます。

論文に掲載されるデータは、外部に公開して問題ないか、関係各所に確認する。

基本的に、研究成果から得られた知見は、以下のような扱いをすることが多いです。

 

①自社が独占的に使えるように、知財等の権利化を進める。

②ライバル企業などに情報が漏れないよう、ビジネスが完成するまで外部には出さない。

③成果を外部へ発表することで、会社のPR・販促・ブランド力アップなどにつなげる。

④ビジネスをするうえで必要不可欠という理由で、外部へ公開する。

 

企業での研究成果は①や②の扱いをされることが多い一方で、かなりインパクトのある結果やビジネスに直結する内容の場合、③のようになることもあります。

また、トクホ・機能性表示食品など、査読付き論文が必須な場合は、④のような扱いをすることもあります。

 

上記の中で、論文を執筆できる可能性があるのは③と④の場合です。

ただしどちらも、最初に示した「会社にメリットがある」という前提が必要です。

 

やっと論文を準備できますが、

この時、論文に載せるデータは外部公開してよいか、関係各所へ確認しておく方が賢明です。

書いている本人にとってはとても重要なデータでも、

会社の他部署の人にとっては都合が悪い(公開されると困る)という状況が、生じうるからです。

社内の思わぬところからクレームをつけられると、とても大変です…

 

大変面倒くさいですが、関係者には論文投稿の旨と内容を事前に共有しておくほうが良いでしょう。

英文校正・投稿・出版にかかる費用を、予算として確保する。

ご存じの通り、論文の投稿から公開までには様々な費用が掛かります。

この費用がしっかり捻出できるよう、事前に予算を確保しておきます。

 

私もアカデミアにいた経験がありますので、

投稿先によって投稿料や規定が違い、どのくらいの費用が掛かるかは流動的であることは理解しています。

しかし、企業の中で(特に予算を管理しているような人たちに)このことを理解してもらうのはほぼ不可能です。

「論文投稿に必要になったからお金出して」というお願いは、聞いてもらえないこともあるようです。

(私の先輩が、投稿料が準備できないという理由で、アクセプトから公開まで半年かかったことがあります。)

 

論文を投稿する可能性が少しでもある状況であれば、

可能な範囲で事前に必要な予算を確保しておくほうがよいでしょう。

共著者を選定する。

正直、私の会社ではこの点はあまり問題はありませんでしたが、

twitterなどを見ていると、ここで揉めている話をよく目にします。

 

基本的に、研究への貢献についてはアカデミアと同じように考えればよいはずですが、

一方で社内政治を考慮しなくてはいけないこともあるようです。

この辺りは、うまくやるしかないですね…

上記を踏まえて、上長の承諾を得る。(どの役職まで承諾が必要かは、状況による)

これらの準備ができてきたら、必要に応じて上司や上長の承認をとっていきます。

別途文書や説明が求められることもありますが、ここは面倒くさがらずにがんばりましょう。

どの部分に対してどの役職まで承認が必要であるかは、会社によってルールは違うでしょう。

 

私の会社の場合、

投稿することそのものについては、共著者、私の直属の上司、研究所長までの承認が必要で、

それにかかわる予算の執行については、研究所長と常務クラスの承認が必要でした。

 

論文を出すための最後のプロセスですので、頑張ってやり切りましょう。

まとめ

・研究職が論文を書くとき、論文を出すことで会社が得られるメリットは何か、説明できるようにしておく。

・知財について十分検討してから、論文を投稿する。

・データを外部に公開してよいか、関係各所に確認する。

・予算を確保する。

・投稿に関して、必要な承諾を得る。

 

大学の研究室であれば、学生本人・指導教官・ラボのボスあたりの許可が取れれば、

あとは論文を書くことに集中できると思います。

 

一方企業では、論文を書くことと並行していろいろな準備をしていく必要があります。

会社によって違う点も多いと思いますが、ご参考になればと思います。

 

関連記事は、こちら

企業で論文を書く目的:企業では論文を書くことがゴールではなく、その先の目標も大切。

https://researcherinacompany.com/research-paper/



研究職の転勤・人事異動:研究所から異動した人の職種と、研究し続けたい人がすべきこと。

研究所から異動したくない!転勤したくない!

そのように考えている方、結構いらっしゃるのではないでしょうか?

 

日本の多くの企業では、

4月に合わせて組織改革や人事異動を実施しています。

私が所属する会社でも、今回の人事異動が少しずつ明らかになってきています。

 

誰が出ていき誰が来るのか、どこへ行ったのか、

自分の上司は変わるのか、その上司はどんな人か、

人事ネタは社員間でも一番盛り上がるネタといっても過言ではありません。

 

私と一緒に働いている研究職からも、

今回のタイミングで数人が異動となります。

研究所の同じ部署で一緒に働いていた上司・先輩・後輩ですが、

転勤先、異動先の職種はそれぞれ違います。

 

一度研究に従事した社員がどういった先へ異動していくのか、

研究職を志望する学生の方は、

研究職のキャリア形成を考えたときに気になるでしょうし、

研究職で働いている方は他社の事情について興味があるかと思います。

 

そこで今回は、主に私が所属している会社の事例を中心に

研究所で働いた人の転勤・異動先について書いていきます。

 

当社のケースが他社と比べて特殊なのか、一般的なのかは分かりませんが、

皆さんの参考になれば幸いです。

前回記事を見ていない方は、こちらをご覧ください。

研究職の人事異動:研究職の異動先や、研究所へ異動してくる人の所属元をまとめました。

https://researcherinacompany.com/research-9/

研究所から転勤・異動した人の職種・業務

研究内容が活かせる職種:商品開発、工場、技術営業、知的財産

研究内容が会社に基幹事業にかかわっている場合、

社内には関連部署が数多く存在しています。

 

研究対象のものを使用した商品開発部門、

製品を作る工場、

製品の技術サポートを担当する営業、

研究成果や製品にかかわる知的財産を管理する部門

などでしょうか。

 

このような部署であれば、

研究で身に着けたスキルや知識が活かして

異動先でも頑張ってほしいという、

前向きな異動が含まれることも多いでしょう。

これまでの研究内容と関係がない職種:生産管理、営業、など

一方で、

研究内容とは全く関係ない部署へ異動する人もいらっしゃいます。

研究所所属が短い若手は、

「研究以外で頑張ってほしい」というニュアンスで異動していくことがあります。

単純に他の部門で人手が足りていない場合、

その補充を目的に若手が異動させられるシーンも見てきました。

この時、

若手であってもすでに実績があったり将来性や抜群な場合、異動対象になりにくい傾向がある気がします。

 

また、研究所所属がとても長い方が異動する場合もあります。

この場合、前向きな異動はあまり多くない印象です。

 

出世争いから脱落し、関連部署や関連会社へ出向となったり、

研究はもう若手に譲り、管理職が少ない部署のサポートに入ってほしかったりなど、

研究からの離脱をほのめかされている異動が散見される印象です。

 

このように、研究所からの異動といっても、

その時の立場や異動先などによって、

そのメッセージはかなり違ってきます。

所属部署が閉鎖される場合、無関係な部署へ異動する人が多発する。

私が所属する会社では、数年前に研究所の組織改革を行った際に、

研究と無関係な部署へ異動する人が多発しました。

 

研究部署の閉鎖は、

その部署の研究は今後会社に必要ないということを意味します。

そして、その分野でキャリアを積んできた研究職の社員は、その仕事に従事する権利を取り上げられてしまいます。

残された道は、

社内の別部署へ異動して活躍することか、

転職することの大きく2つに絞られます。

 

日本の会社は簡単に社員を解雇できませんので、

閉鎖する部署に所属していた社員の多くは、別部署への異動を言い渡されます。

研究所内の他部署も異動先の候補となりますが、

受け入れられる人数には限界があります。

その結果、その受け入れ人数からはみ出てしまった人は、、研究とは関係ない社内の別部署への異動となります。

当然、研究してきた内容が活かされにくい部署の可能性が高いです。

 

研究業績や会社への貢献が十分で今後も研究分野での活躍が見込める人や、

社内の付き合いがうまく無下な扱いを受けにくい人などは、

引き続き研究所へ残れる可能性が高いです。

 

一方、上記に当てはまらない人は、研究所以外への異動の可能性が高く、

その異動先はこれまでの経験が活きないような部署になるでしょう。

 

研究部署の閉鎖は、会社の事情で事前通告なしに決まることも多く、

かなり注意深くアンテナを張っていないと

一般社員ではなかなか気づけないです。

 

研究に関わり続けたい人にできること

このような外的要因にも対応できるよう、

危機感を感じた人は日頃から以下の取り組みを考えてみてください。

・仕事でしっかり結果を出し続ける。

・仕事をしつつ、業務以外のことも勉強して研究者としての研鑽を怠らない。

(私は、プログラミング、統計解析、本ブログ運営などに取り組んでいます。)

・転職エージェント、転職サイトなどに登録し、外に出られる準備をしておく。

(私は、JACリクルートメントに登録しています。)

また、また、大学院卒の就活・転職に特化した

アカリクキャリアというサービスもあります。

 

他の会社の状況が気になった人は、

一度転職エージェントへ相談することをお勧めします。

私が使用した転職エージェントは主に以下の2つです、

転職を考えている方は、

以下のリンクをクリックしてブックマークへ登録し、

できるだけ早く転職エージェントとの面談を設定してみましょう。

話を聞くだけでも、新しい発見があるはずです!

 

JACリクルートメント 

高年収のハイクラス転職を目指したい方

アカリクキャリア

大学院卒の強みを生かした転職に特化)

まとめ

・研究所から異動した人は、研究してきた内容に関係する業務に就ける人もいるが、全く関係ない部署へ異動させられることもよくある

・所属する研究部署が閉鎖される場合、無関係な部署へ異動する人が多発する。

・研究関係の仕事を続けたい人は、結果を出し続けることに加えて、自己研鑽や転職情報収集など、万が一に備えた対策も大切。

 

私もいつ異動させられるかわからず、常にドキドキしています。

このドキドキを緩和させ、

いざというときに自分の意思で決められる選択肢を増やすために、

仕事で結果を出すこと、自己研鑽、情報収集を進めています。

 

自分の人生を不本意な異動で狂わされないよう、準備しておくといいでしょう。

 

研究職も転職できる

著者は昨年、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、環境を変えることを検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

https://researcherinacompany.com/recruit-15/



研究職の就活:OBOG訪問前にお願いしたいことパート2

毎年1月から5月くらいにかけて、

出身学部・大学院の後輩からOB,OG訪問したいという連絡をもらいます。

 

以前は、直接会うには距離が遠い方が多く、実施回数は少なかったですが、

コロナ後はwebでの実施が普及し、実施回数が増えてきています。

 

出身学部が生命科学系の学部ということもあり、

連絡してくれる学生の多くが、食品・製薬などの研究職や理系総合職を希望しています。

 

さて、これまでに20回近くOBOG訪問を実施してきましたが、

お会いする学生の態度・準備状況次第で、内容の質が大きく変わってきます。

 

せっかく機会を設けた以上、学生側も社員も満足できるような内容にしていきたいですよね?

 

そこで、前回の記事では、OBOG訪問前に就活生の方にお願いしたいことを3点書きました。

研究職の就活:OBOG訪問前にお願いしたいことパート1

今回は、OBOG訪問前にお願いしたいことパート2として、前回の続きを書いていきます。

OBOG訪問を検討している方は、

この記事を参考にして、OBOG訪問を充実したものにしてください。

研究職の就活:理想のOBOG訪問パート2

第一志望ではない会社であっても、OBOG訪問してもらって構わない。

私自身、「OBOG訪問をする=その会社が第一志望でなくてはいけない」とは思っていません。

仮に就活生本人の第一志望は他の企業であっても、

その企業と同じ業界の人から話を伺うことができれば、

その情報を第一志望企業の対策に活かすことができます。

 

また、話を聞くことでその会社に対してポジティブなイメージを持つことができれば、

志望企業の数が増えて納得できる内定を得られる可能性が上がりますし、

もしネガティブイメージを持った場合は、その企業へエントリーする手間と時間を省くことができます。

 

訪問することによって得られるものは非常に大きいので、OBOG訪問の会社の志望度にかかわらずぜひアポイントを取ることをお勧めします。

社員に向かってわざわざ「第一志望ではない」と言う必要はありませんが、

社員側もその可能性は分かったうえでOBOG訪問を受けているケースがほとんどです。心配は不要です。

ぜひご自身の就活を有意義に進めるうえでも、機会があればOBOG訪問をしてみてください。

 

ただし、以下のケースでは少し状況が変わります。

 

①訪問するOBOGが会社の重役などの場合

②OBOGがリクルーターとして面談する場合

 

上記の場合、OBOG訪問そのものが面接に近い位置づけになってしまう可能性があるため、

発言には慎重になった方がよいでしょう。

 

直接採用にかかわっていないOBOGであれば、ある程度フランクに話をしても問題ないと思います。

第一志望でない会社であっても積極的にアポイントを取り、

自分の就活に役立つ情報が得られるよう、いろいろ質問してみてください。

 

就活生自身のことを話してもらえると、働くイメージ踏まえたアドバイスができる。

こちらも積極的に情報を開示することもあり、

就活生側にもある程度自身のことを話してもらうようにお願いしています。

 

私がOBOG訪問を受けるときは、聞かれたことは基本的にすべて答えます。

お話しできない内容の場合は、その旨をしっかり学生に説明しています。

また就活生側にも、就活生自身の就活における軸や考え方を、一通り話してもらうようにお願いしています。

その理由は、就活生の考え方を知っておいた方が、働き方のイメージを伝えながらアドバイスできるからです。

 

各会社がどのような基準で学生を見て採用しているか、

学生だけでなく若手社員もはっきりとは分からないところがあります。

 

一方で、その会社の社員であれば、

「この学生、この部門なら活躍できるかも」という感じで、漠然としたイメージを持つことはできます。

そのイメージを学生にお話しできれば、

聞いた側の学生もその企業で働くイメージを少しでも持つことができるでしょう。

 

社員側がそのイメージ膨らませるためにも、学生自身の就活における軸や考え方を教えてほしいと思っています。

 

就活生にとっては、内定を取ることも大切ですが、内定後にその会社でどのように働くかも同じくらい大切なはずです。

ぜひ、就活における自身の軸や考え方を社員に伝え、その会社で自分が働くイメージをその社員から教えてもらいましょう。!

現在の研究内容についても簡単に教えてほしい。

特に、研究職を志望する学生の方には、現在の研究内容について簡単に紹介してもらっています。

理由としては、以下のようなものがあります。

・学生時代の研究に近い仕事を志望している場合、その実現可能性についてコメントできる。

・学生時代に学んできた内容が活かされそうな職種・場面が会社の仕事にあれば、例示できる。

 

特に研究職を志望する修士課程や博士課程の学生の場合、企業の求めるニーズとのマッチングがある程度大切になってきます。

ご自身の研究テーマ、スキル、考え方などを伺うことで

会社で活躍できる場面を想定しながらお話しするように意識しています。

 

研究職を中心に就活を目指している学生の方は、理系学生の就活に特化しているアカリクも参考にしてみてください。

私も、就活情報を得る一つの窓口として、リクナビ・マイナビと併用して使っていました。



まとめ

・第一志望ではない会社であっても、OBOG訪問してもらって構わない。

・就活生自身のことを話してもらえると、具体的なアドバイスがしやすい。

・現在の研究内容についても簡単に教えてほしい。

 

(少なくとも私は、)OBOG訪問をしてくる学生には、できるだけ正直に誠実に対応しようと心がけています。

話せないこともありますが、できるだけ学生側が期待する情報を提供するように心がけています。

多くのOBOGは、こういったスタンスで面談を引き受けてくれているはずです。(と信じています。)

 

そのようなOBOG側のスタンスも頭に入れて、

就活生側もできるだけ事前準備を行ったうえで、訪問に臨んでください。

訪問の際は、あまり緊張せずにお話しできると、

場の雰囲気も良くなり、結果としてほしかった情報が手に入りやすくなると思います。

 

就活生の皆さん、大変なことは多いと思いますが、頑張ってくださいね!

 

研究職の就活に関する記事はこちら

研究職希望者向け:就活・内定に向けてに役立つ記事まとめ




【年収とエリアはよく考えて!】研究職の転職活動での転職エージェントからアドバイス

2022年1月より、

食品会社研究員の私の市場価値を知り、案件次第では転職を視野に入れることも考え、

転職エージェントに登録して話を聞くという活動を始めています。

 

会社内のフィードバックだけでは自分の価値が分からず、客観的な評価を聞きたい。

自分はどういったことを身に着けていけば市場価値を高められるのか。

 

この2つについて意見を聞き、必要なところは自分に取り入れることで、

研究者として生き延びることを目指しています。

 

最近JACリクルートメントの担当者と電話面談を行い、

求人が出ている企業の地域と年収に関してアドバイスをもらう機会がありました。

 

これまで、研究職の年収について企業の地域との関係を考えたことがなく、

新しい考え方を知ることができたので今回まとめることにしました。

 

今回の記事では、

研究職の転職活動:年収と地域について転職エージェントからアドバイス

というタイトルで記事を書いて聞きます。

 

今回面談したJACリクルートメントについては、こちらをご覧ください。

JACリクルートメント 

高年収のハイクラス転職を目指したい方

研究職求人の、地域と年収

ここからは、面談した転職エージェント個人の意見が多く含まれますので、ご了承ください。

年収に関する地域と年収の傾向は、通常の求人と同じで、

首都圏では年収が高く、地方へ行くほど年収が下がる傾向があるそうです。

首都圏 → 関西・中京圏 → その他地方 といった順番で

年収はどうしても下がってしまうそうです。

 

転職エージェントに、以下の条件でおよその目安を紹介してもらいました。

(条件)

・研究開発職、30代

・管理職手前での採用、マネジメント経験をあまり問わない求人

・業界は問わない(製薬、化学、食品、化粧品など、あらゆる業界を含む)

 

上記の条件でおよその目安を聞いてみると、以下のような感じとのことでした。

(下記はエージェント個人の意見です、詳細は各求人情報をご確認ください。)

〇首都圏:年収500-1000万円程度

〇関西・中京圏:年収450-850万円程度

〇その他地方(主に福岡、札幌、仙台):年収400-750万円程度

 

研究職においても、首都圏に行くほど年収が高く、地方に行くほど下がっていく傾向があるようです。

 

年収の決まり方は、企業ごとにいろいろな事例がある。

ただし、上記は全体の傾向を示しているにすぎず、

企業を個別にみていくと様々なパターンが見受けられます。

 

例えば、以下のようなケースもあります。

①本社が東京、研究所が地方、研究員は総合職採用

他の総合職と給与体系が同じで、年収が高水準。

 

②本社は地方だが、研究所が神奈川・千葉・埼玉などの首都圏

本社の拠点の年収水準に加えて、首都圏勤務者には地域手当で対応する。

 

このように、企業ごとに給与体系は様々であり、

全体の傾向と一致しない企業も数多く存在すると思われます。

 

また、企業の給与にかかわる内容は実際に入社しないとわからないことがほとんどです。

このような細かい点は、事前にエージェントや内部の方にヒヤリングすることでしか情報を得られないのかもしれません。

 

まとめ

・研究職においても、年収と地域ではある程度相関がありそう。

・首都圏ほど年収が高く、地域に行くほど下がっていく傾向がある。

・企業個別にみていくと、様々な事例がある。ただ、入社しないとわからないことがほとんど。

 

研究職として年収の高い企業で働きたいのであば、

勤務地域にこだわらないのであれば、首都圏勤務を狙うのが良いかと思います。

 

ただし、企業の個別事情は入社しないとわからないということは、

再度ご説明しておきます。

研究職も転職できる

著者はこの記事を投稿した約1年後

研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、環境を変えることを検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

https://researcherinacompany.com/recruit-15/

 




研究職の就活:OBOG訪問前にお願いしたいことパート1

毎年1月から5月くらいにかけて、

出身学部・大学院の後輩からOB,OG訪問したいという連絡をもらいます。

 

以前は、直接会うには距離が遠い方が多く、実施回数は少なかったですが、

コロナ後はwebでの実施が普及し、実施回数が増えてきています。

 

出身学部が生命科学系の学部ということもあり、

連絡してくれる学生の多くが、食品・製薬などの研究職や理系総合職を希望しています。

 

さて、これまでに20回近くOBOG訪問を実施してきましたが、

お会いする学生の態度・準備状況次第で、内容の質が大きく変わってきます。

 

せっかく機会を設けた以上、学生側も社員も満足できるような内容にしていきたいですよね?

そこで、今回は、

研究職の就活:理想のOBOG訪問パート1

というタイトルで、私が思う理想のOBOG訪問について書いていきます。

(パート2は、そう遠くないうちに準備します。)

 

OBOG訪問を検討している方は、

この記事を参考にして、OBOG訪問を充実したものにしてください。

研究職の就活:理想のOBOG訪問パート1

学生側が礼儀正しい。しかし、ある程度リラックスできている。

出身学部や研究室が同じだとしても、基本的には初めて会う間柄です。

初対面である以上、ある程度の礼儀正しさをもって面談に臨んでほしいものです。

ただ、礼儀正しさについては、特に大学院生の方はしっかりできていると感じています。

 

一方で、初めて会う人ということで過度に緊張してしまい

リラックスして話せないもいらっしゃると思います。

 

緊張した状態では、話したいことも話せず、相手の話も頭に入ってこず

その結果、せっかくの機会を収穫が少ないまま終わってしまう可能性があります。

 

確かに、もともと人見知りだったり初対面の方には緊張してしまうという気持ちも分かります。

また、この性格もその人の個性の一つですので、それ自体を否定するつもりはありません。

 

そんな方に向けてのアドバイスとしては、

OBOG訪問であれば、社員を友達だと思って話してくれて全然かまいませんよ」とお伝えします。

 

初対面の人に対して緊張しすぎてしまうような方は、ほぼ全員が非常に礼儀正しく

失礼な態度を感じたことは一度もありません。

 

OBOGに対して失礼なことをしてしまったらどうしよう、選考にかかわるかもといった心配は、

このような方においては問題ないか思います。

 

むしろ、友達に話すような感覚でコミュニケーションをとれる方が、

あなたも聞きたいことが聞けるし、OBOGが話す内容をしっかり吸収できるようになるはずです。

 

緊張しすぎることに悩んでいる方は、ぜひOBOGに対しても友達のように話してみてください。

 

以上のように、礼儀正しくとある程度リラックスできた状態で臨んでいただけると、

良いコミュニケーションが取れるだろうなと感じています。

 

聞きたいことを事前に準備してきている。

数は少なくてもかまいませんので、

最低限聞きたいことは事前に準備してきてほしいです。

 

なぜなら、学生の方が気になっていることを社員側が把握できれば、

その内容を軸に話を進めることができ、関連情報もたくさん話せるからです。

 

社員側も、学生からアポイントがあった段階で、ある程度話す内容を準備します。

そして、学生からの質問に対して答えられるように整理してから、お話しするようにしています。

 

すなわち、学生から質問が来る前提で準備をしていることが多く、

事前質問がないと、話をうまく展開できなくなる可能性があります。

 

学生側に向けたアドバイスとしては、

数は少なくて構わないので、聞きたいことを事前に整理しておきましょう。

訪問前に社員へ伝えておくと、より親切かもしれません。

 

社員が話した内容について、理解できるまで質問してほしい。

事前に質問事項を整理し、礼儀正しくリラックスして臨めているようであれば、

OBOG訪問はある程度収穫のあるものになると思います。

 

追加でぜひお願いしたいのは、

社員が話す内容について、分からないことは遠慮せず質問してほしいということです。

ぜひ、話の内容が分からないまま終わらせないでください。

 

社員側も丁寧に説明しているつもりですが、

うっかり専門用語を使ったり、あいまいな表現を使ってしまったりなど、

学生には理解しづらい話し方をしてしまうことがあります。

(これは、社員側も気を付けなければですが…)

 

このような時にも、分からないままに終わらせず、

遠慮なく質問したり、自分なりにまとめて話してみたりして、

理解できるところまで話すように努めてください。

 

社員側も、学生側に誤解して伝わったり、学生が不満な状態で面談を終えたりしないよう

気を付けていますが、学生にとって分かりにくいことはたくさん出てきます。

 

社員が話した内容について、理解できるまで遠慮なく質問してきてください。

(ただし、時間オーバーだけは気を付けてくださいね。)

まとめ

・学生側が礼儀正しい。しかし、ある程度リラックスできている。

・聞きたいことを事前に準備してきている。

・社員が話した内容について、理解できるまで質問してほしい。

 

個人的には、上2つができていればある程度充実した面談ができると思います。

そして、遠慮なく質問してください。 

 

OBOGが望んでいるのは、自分の話したことが学生の就活に役立つことです。

学生側も、OBOG訪問を自分の就活にうまく生かせるように、

準備・工夫をして臨んでくれればと思います。

 

研究職を中心に就活を目指している学生の方は、理系学生の就活に特化しているアカリクも参考にしてみてください。

私も、就活情報を得る一つの窓口として、リクナビ・マイナビと併用して使っていました。



 

パート2は、こちら

研究職の就活:OBOG訪問前にお願いしたいことパート2

研究職の就活に関する記事はこちら

研究職希望者向け:就活・内定に向けてに役立つ記事まとめ




【研究職がビズリーチで転職活動】スカウトは来るのか?

2022年1月より、

食品会社研究員の私の市場価値を知り、案件次第では転職を視野に入れることも考え、

転職エージェントに登録して話を聞くという活動を始めています。

 

会社内のフィードバックだけでは自分の価値が分からず、客観的な評価を聞きたい。

自分はどういったことを身に着けていけば市場価値を高められるのか。

 

この2つについて意見を聞き、必要なところは自分に取り入れることで、

研究者として生き延びることを目指しています。

今回の記事では、

最近実施した、ビズリーチのスカウト機能を利用した取り組みについて、

記事を書いて聞きます。

 

ビズリーチは、

登録するだけでスカウトが届く、すごいハイクラスな案件が届く

と宣伝されていますが、

実際それは本当なのか、研究者の場合でも同じようなことが言えるのか、

今回の取り組みを通して分かったことについてまとめていきます。

 

以前の記事をご覧になっていない方は、ぜひこちらをご覧ください。

研究員の転職活動:JACリクルートメントと面談、求人公開時期に傾向がある?(2022年2月)

食品会社研究員として、転職エージェントに登録してみた。(2022年1月)

研究職の転職活動:ビズリーチスカウト機能の活用例

今回の面談:ビズリーチを介した問い合わせから

今回の面談は、ビズリーチを介して届いた企業と行いました。

まず、ビズリーチについて、簡単に紹介します。

 

ビズリーチは、いわゆる「ハイクラス向けの転職サイト」です。

サイトに基本情報や自分の経歴・経験・スキルを記載・登録するだけで、

その希望にマッチするスカウト案件が届く仕組みで運営されています。

ホームページを見ると、

8割近くの方がこのスカウト機能を使って転職を実現しているそうです。

 

また、求人の多くはハイクラス・高年収であり、

求人の質の高さをうかがわせます。

また、ハイクラスを売りにしているといいつつも、

業界特化型ではなく様々な業界の求人が掲載されています。

登録して求人一覧を見るだけでも楽しめるのではと感じています。

 

食品会社研究員として登録して、スカウト案件は来るのか?

さて、

食品会社の研究員としてビズリーチに実際に登録するとスカウト案件は実際に来るのでしょうか。

 

これまで転職活動を続けてきた中で、

研究職そのものの求人は少なく、その質も玉石混交であるという話を聞いており、

研究者が登録するだけでそんなにいいスカウトが来るのかと心配していました。

しかし、いざ登録してみると、

翌日までに10件以上のスカウトが様々な業界から届きました。

その後も、毎日数件ずつ(重複含む)スカウトが増えていっています。

 

求人内容については、確かにすべてが自分の希望や経験と合致しているわけではありません。

しかし、意外な業界から自分の経験に興味を持ったスカウトが届くこともあり、

自分の経験が他業界でも活かせる可能性に気付けるなど、

視野を広げるきっかけを得ることができました。

 

ビズリーチのスカウト機能は、いろいろな会社を知る機会を与えてくれる。

今回は、ビズリーチを介して私に直接スカウトが届き、

ある有名企業の人事担当者と面談しました。

 

社名を聞いたとき、その会社は食品事業を持っておらず、

事業領域的に食品研究者の私は合わないのでは?と感じました。

 

しかし、転職希望条件に合っていなくてもかまわないとのことだったので、

1時間程度のweb面談をセットしてもらいました。

このように、求職者の条件と合致していなくても、面談を設定してもらえる可能性があります。

相手からの連絡をきっかけにいろんな会社や案件を知ることができるのは

スカウト制度があるビズリーチの強みかなと感じています。

 

実際に面談:話を聞いてみないと知らないことは多い。

実際に面談を行い、なぜ私に連絡がきたかを伺ったところ、

その会社の新事業立ち上げにおいて、食品や健康に触れてきた研究者が必要

というのが主な理由でした。

 

会社そのものは誰もが知る有名企業ですが、

食品・健康にかかわる事業についてはホームページに載っておらず、

まだ、立ち上げ段階の新しい事業に関する人材を募集しているそうです。

 

話を聞いていく中で、

同社の業界では食品・健康に関わる会社が後を絶たないという背景があり

同業界では食品・健康に専門性がある研究者の引き抜きが始まる可能性があると、

教えていただきました。

 

普段自分の仕事に手いっぱいで、他業界の動きなどにアンテナを張れていないことが多いですが、

この業界の動向を引き続き追うことで、

自分の専門性と合致する企業がこの業界から現れる可能性があることを

知ることができました。

 

このように、

相手からのアプローチをきっかけに自分の知らない情報を得られるだけでも、

転職サイトエージェントに登録するメリットがあると感じています。

 

残念ながら、諸々の条件が合わず今回応募は見送らせていただくことになりましたが、

自分のキャリア形成のヒントになる情報を得られる

有意義な時間になりました。

 

もし転職希望が現在ない方でも、

他業界の動きやそれに伴う求人の実情を知るという目的だけでも、

転職サイトやエージェントに登録することをお勧めします。

ビズリーチはこちら

 

まとめ

・ビズリーチは、登録するだけでスカウトが多数届く。

・届いたスカウトを基に転職エージェントや企業の人事担当者と面談を設定することが可能。

・スカウトをきっかけに、新しい情報に触れることができ、転職活動やキャリア形成に役立つ。

 

今回、実際に面談することで新しい情報に触れることができ、

自分の視野を広げるきっかけを得ることができました。

 

様々な会社と面談して自分のキャリア形成に活かすという意味でも、

ビズリーチへ登録しておくことをお勧めします。

ビズリーチはこちら

転職サイト・転職エージェントの登録状況

自分の市場価値を知りたいという目的のため、

あまり多くのエージェントには登録していません。

現在は3つの転職エージェントと1つの転職サイトに登録し、それぞれ面談を行ったのち定期的に求人を紹介してもらっています。

登録先は、

JACリクルートメント

リクルートエージェント

ビズリーチ、です。

また、大学院卒の強みを生かした転職に特化した

アカリクキャリアというサービスもあります。

 

登録者情報は(概略のみになりますが)以下の通りです。

 

・30代半ば、食品企業の研究職。

・大学の研究員を兼務している。

・博士号を持っている。

・その他(経験してきた業務、保有スキル、英語能力、など)

 

転職エージェント情報はこちら

JACリクルートメント 

高年収のハイクラス転職を目指したい方

アカリクキャリア

大学院卒の強みを生かした転職に特化)




新社会人向け:入社前にぜひ読んでほしいお役立ち情報まとめ

研究職や理系総合職として今春就職予定の新社会人の皆様、

入社は決まっているけど、実際に会社でどのように働くのか、

分からないことや不安な点も多いと思います。

そういう方にとって、企業の研究所などで働いている社員から得られる情報は大変貴重だと思います。

 

実際、様々な業界の研究職の方が、twitterやブログなどで有益な情報を提供してくれています。

 

紹介が遅れましたが、

私、現役の食品会社研究員のとうやと申します。

 

このブログでは、研究職の働き方や、就活生や新社会人に向けたアドバイスについて、

様々な視点で記事を書いて紹介しています。

 

この記事では、

研究職や理系総合職などで就職予定の皆様向けて、これまでに書いた記事の内容をまとめました。

今回まとめた記事の中に、皆さんの疑問解決や不安解消につながる記事があると嬉しいです。

 

理系新社会人向け:お役立ち情報まとめ

できるだけ早く準備してほしいこと

家計簿管理ツール:マネーフォワードME

 

マネーフォワードMEはこちら

 

社会人になる前に準備しておけばよかったな…

と思うことでまず最初に思い浮かぶのが、

お金を管理するツールを使えるようにしておくこと」があげられますね。

 

しかし、自分で家計簿をつけるのは非常に面倒ですしミスも多くなりがちです。

その点を回避するためにも、

お金の管理を自動化できるツールを導入しておくと、管理が非常に楽になります。

 

私は社会人になってから、

家計簿と資産の管理を「マネーフォワードME」というソフトを使っています。

クレジットカードや銀行口座と自動で連携されるため、非常に便利です。

スマホの方は、ダウンロードするだけですぐに無料版を使うことができます。

マネーフォワードMEはこちら

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 

証券口座

社会人になる前に準備しておけばよかったな…

と思うもう一つのことが、

証券口座を開設して資産運用を始める」ことです。

 

社会人になると学生時代よりも非常に大きい金額を扱うようになり、

貯金は増えていくと思います。

そこで、できるだけ若いうちから、貯金を増やすことと並行して

少額でもいいので資産形成を始めることをお勧めします。

 

学生時代は研究に没頭していて、自分の資産やお金にあまり関心がなかった人も、 

月に数千円といった小さい金額でも構いませんので、

証券口座を開設して資産形成を始めていくことをお勧めします。

 

証券会社は無数にありますが、

私は、SBI証券楽天証券を使用しています。

SBI証券をメイン楽天証券をサブの位置づけで使っています。

以下のリンクから詳細を確認してみてください。資料請求、口座開設は無料です。

 

SBI証券はこちらから

SBI証券の開設はネクシィーズトレードへ

楽天証券はこちらから

楽天証券

 

資産形成やお金に関する情報を知りたい方は、

リベラルアーツ大学の記事をチェックするといいでしょう。

 

論文管理ツール、特許関係ツール

学生時代に頑張った研究成果は、あなたの大きな財産です。

その研究過程で、たくさんの論文を読んだと思います。

 

そこで、これまで読んだ論文を論文管理ツールでしっかり管理しておきましょう。

 

無料で使えるツールをいくつか紹介しているので、 

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

研究職・理系総合職は要チェック!新社会人が準備・チェックしてほしいツール2選(研究編)

 

こちらの記事では、

今後理系の職種では避けて通れない「特許」についても簡単に触れています。

気になる方は一度ご覧ください。

 

新入社員配属に関する記事

新入社員の方がまず気になるのが、

自分がどの部署でどういった仕事をするのかということだと思います。

いわゆる「新入社員配属」ですね。

 

しかし、特に大企業に就職する方は

最初の配属は正直「運、巡り合わせ」の側面が強いです。

この点を理解しておくと、自分の中である程度割り切りができ精神的にも楽になれるかと思います。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

研究職への新入社員配属:コントロールできない要素が多いが、自分にできることもある。

 

研究職、開発職の働き方についてまとめ記事

研究職・開発職が、実際にどのようなスケジュールで働いているか

そのイメージができると入社に対するモチベーションも上がると思います。

 

私が所属する食品会社での働き方やそのスケジュールについて、

以下の記事にまとめたので参考にしてみてください。

企業研究職の働き方:現役食品会社研究職の一日のスケジュール

研究職のリモートワーク:在宅勤務時の一日のスケジュール例を紹介

研究職と開発職:仕事の目線に違いがある。

研究職と開発職:両方の視点を持っている人は強い

技術スタッフ:企業の研究職にとって、いなくては困る存在

 

企業で研究職として働く方に向けた、アドバイス記事

特に企業で研究職として働きたい方は、

企業特有の考え方や仕事の進め方を知っておくといいでしょう。

 

それを踏まえて自分は今後どういった働き方をしていきたいか、

キャリア形成のイメージなどにつなげていけるといいと思います。

 

以下の記事を参考に、今後の働き方をイメージしてもらえるといいと思います。

食品会社での研究職の立場

企業の研究テーマ:新規性だけでは不十分

研究職の専門性は、自分の価値を高めてくれる

企業で論文を書く目的

企業研究職と博士号:メリットはある?

企業研究職が、大学や研究機関の研究員に登録するメリットデメリット

企業研究職の特徴:実名で専門性や業績をアピールできる

 

自分が研究職に向いているのか、不安がある方に向けた記事

一応研究職をに内定しているけれども、

実際に研究職としてやっていけるのか、不安に感じる方はいらっしゃると思います。

そのような方には、

企業に入れば自分の適正に合った仕事が見つかる可能性も十分にある。

とお伝えしたいです。

 

詳しくは、以下の記事をみて少しでも安心して就職活動をしてほしいと思います。

研究がうまくできない人は仕事もできない?その心配はない理由

食品会社の研究職に向いている人(著者の私見)

研究職に向いている人:就職後も勉強しつづける人はいい仕事ができるはず。

研究職はつぶしがきかない?長く生き延びるためにできることは?




研究職の転勤・人事異動:研究職の異動先や、研究所へ異動してくる人の所属元をまとめました。

日本の多くの企業では、

4月に合わせて組織改革や人事異動を実施しています。

私が所属する会社でも、今回の人事異動が少しずつ明らかになってきています。

 

誰が出ていき誰が来るのか、どこへ行ったのか、

自分の上司は変わるのか、その上司はどんな人か、

人事ネタは社員間でも一番盛り上がるネタといっても過言ではありません。

 

私と一緒に働いている研究職からも、

今回のタイミングで数人が異動となります。

一方で、4月から新たに研究所に入ってくる人もいるようです。

 

どういった先へ異動していくのか、どこから異動してくるのか。

研究職を志望する学生の方は、異動の頻度や内容について気になるでしょうし、

研究職で働いている方は他社の事情について興味があるかと思います。

 

そこで今回は、

主に当社の事例を中心に「研究職の転勤・異動」について書いていきます。

 

当社のケースが他社と比べて特殊なのか、一般的なのかは分かりませんが、

皆さんの参考になれば幸いです。

 

研究職の転勤・人事異動:異動先・異動してくる人の所属元

研究職の転勤・異動は、総合職よりは少なめ。

研究職における転勤・異動頻度や人数は、

文系・理系の総合職と比較すると少ない傾向があります。

総合職採用で研究部署に配属されている人も、

異動が少ない傾向があります。

また、若い人ほど異動の可能性が高く、

年齢を重ねると役職者以外は異動が少なくなる傾向があります。

 

これは以前、当社の役員が個人的に言っていたことですが、

研究職の異動については、以下のようなイメージを持っているようです。

・仕事の専門性が高く、数年での異動は早すぎる。

・ある程度戦力になってくると、全く関係ない他部署へ異動させにくい

・研究所のゆったりした仕事に慣れてしまう傾向がある。

・異動先の仕事スピードについていけない人がいる。

 

研究で結果を出している人も、あまり結果が出ていない人も、

それぞれ理由があってあまり異動させにくいそうです。

 

確かに、研究所の働き方は他の部署と比べると仕事がゆったり流れており、

開発・製造・営業などの他部署のスピード感に触れるといつも驚きます。

以前、関連記事を書いていますので詳しくはこちらをご覧ください。

食品企業研究所の時間の流れ

 

研究職からの出入り先:全く関係ない部署への異動は少ない傾向。

研究職の出入り先ですが、当社では以下の傾向があるように感じます。

出ていく人は、研究内容と関連している部署(研究対象物の製造部門、販売部門など)が中心。

・入ってくる人は、理系採用という以外は共通点が少ない(当社は総合職として異動するため)。

・20代、独身の人は、上記の傾向と関係なくいろんなところへ異動していく。

 

研究職の社員の多くは、すでに数年以上所属していることが多く、

ある程度研究分野に関する専門性を身に着けています。

そのため、

その専門性や知識がある程度活かされる部署に異動していく傾向があります。

例:化合物Aの製造法を検討していた人 → 実際の製造工場へ異動

例:自社のメイン製品の品質管理をしていた人 → 品質保証部門へ異動

 

ただし、若手は上記の傾向に当てはまらないことが多く、

1,2年研究所にいたのちに全く関係ない部署へ異動していくケースをよく見ます。

ジョブローテーションといえば聞こえはいいですが、

当社の場合は、

若手の異動は会社都合のしわ寄せのケースが多いように見受けられます。

 

一方、研究所へ異動してくる人は、

理系という共通点以外はほとんど傾向がありません。

どういう理由でこの人が入ってきたのか、私たちにはわからないことが多いですね。

 

研究職の中でも、仕事内容次第で転勤・異動頻度が違う。

異動頻度については、総合職と比べると頻度は少ないですが、

同じ研究職でも従事する業務によって傾向が違います。

 

特に、研究内容に関連する社内部署が多い人ほど、異動頻度が増える傾向があります。

単純に、異動候補先が多いからだと思われます。

 

例えば、チョコレートがメイン事業の会社であれば、

チョコレート関連の研究内容・研究者も多く、

チョコレートに関連する研究以外の部署もたくさん存在します。

 

会社ごとに考え方の違いはあると思いますが、

同じ社内の場合は、ミスマッチのリスクも低く、

前職での経験が活かされやすいという理由から、

関連部署間でのほう異動させやすいようです。

 

上記の理由から、

研究内容と関連する社内部署が多い人ほど、転勤・異動の対象になりやすい傾向

があります。

 

逆に、自社の中でもマイナーな部署にいる人ほど異動候補先が少なく、

異動頻度は下がる傾向があります。

一方で、マイナー部署は部署閉鎖のリスクも少し高く、

部署閉鎖の際は全く関係ない部署へ異動させられる可能性がしばしばです。

 

このような状況になっても対応できるよう、

他社でも活かせるスキルやノウハウを身に着けるなど、

自己研鑽も続けておく必要があるかもしれません。

以前も書きましたが、やはり研究者は専門性と勉強が不可欠です。

研究職に向いている人:就職後も勉強しつづける人はいい仕事ができるはず

まとめ

・研究職の異動は、総合職よりは少なめ。

・研究職からの出入り先としては、全く関係ない部署への異動は少ない傾向。

・研究職の中でも、関連部署が多い人ほど異動が多い傾向。

・研究を続けるために、いろいろな取り組みをしている人もいる。

 

人事異動については、特に自分がかかわるといろいろ思うことがあると思いますが、

自社で研究を続けるためにも、他社に出て行っても問題ないようにするためにも、

研究職は普段から自己研鑽が必要だなと感じています。

 

研究職も転職できる

研究を続けるために、転職した人も

研究職は異動は比較的少ない傾向があります。

それでも、研究を続けたい人が本人の意に反して異動させられるケースも

たびたび見てきました。

中には、別の会社の研究職へ転職した方もいらっしゃいました。

 

最近の終身雇用崩壊の傾向も考えると、

研究者も転職できるような事前準備が必要なのかもしれません。

私も、以下の転職エージェントなどを活用しながら、

2023年に研究職→研究職の転職を実現しました。

他の会社の状況が気になった人は、

一度転職エージェントへ相談することをお勧めします。

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研究ができない人は仕事もできない?その心配はない理由

現在、研究がうまくいかないなと悩んでいる方。

不安な気持ちがを感じたことや、

研究がうまくいっていないのに、仕事もうまくできるのだろうか?

と考えたことはないでしょうか。

 

特に、現役研究職の方、これから研究職へ就く方は、

今研究がうまくいっていないことが

今後に対する不安を増幅させているかもしれません。 

 

しかし、私は、

今研究がうまくいっていなくても、あまり心配しなくていい

と思っています。

 

理由としては、

研究がうまくいくかどうかは、

すべて本人に起因しているわけではないからです

研究活動を通して自分で研究を組み立てる経験があれば、

ほとんどの方は研究職として活躍できる場はある

私は考えています。

 

今回は、

研究ができない人は仕事もできない?その心配はない理由

について書いていきます。

 

就職後の研究活動に不安を感じている方の参考になれば幸いです。

研究ができない人は仕事もできない?その心配はない理由

研究内容、研究環境が変われば、あなたの能力が発揮されるかもしれない。

ひとつ目は、

あなたの能力は、研究内容・研究環境が変われば発揮されるかもしれない。

という理由です。

 

もしあなたが現在、研究がうまく進まないことに悩んでいるとして、

その理由が、

研究テーマとの相性」や

研究室メンバーと相性が悪いなどの環境要因」の場合、

別の研究環境に移れば一気に解決する可能性があります。

 

教授、上司、同期やラボメンバーなど、

自分がコントロールできない要素が、

あなたの能力発揮を妨げ、研究進捗を妨げている可能性があるからです。

 

言い換えれば、

環境を変えたりテーマを変えてしまえば、

楽しく充実した研究生活を送れる可能性は十分にあります。

そして、転職や就職がその大きなきっかけになるかもしれません。

 

研究や仕事が進まない理由は、必ずしもあなただけにあるわけではありません。

次の職場でに与えられた研究内容や研究環境が

あなたに合っていれば、

研究に楽しんで没頭でき、どんどん成果を出せるようになるかもしれません。

 

同じ研究職でも、いろいろな仕事・役割がある。

二つ目は、

企業の研究職にはいろいろな仕事があり、あなたの能力が活かされる仕事がある可能性が高い

という理由です。

 

以前の記事にも書きましたが、

企業の研究職は、担う仕事や役割は人によって大きく違い、

一人一人求められる能力が全く異なります。

関連記事:企業の研究職に向いている人

 

大学院と同じように基礎研究を担う人もいれば、

工場での製造方法を検討する人もいたり、

技術サポートを担当する人もいたりします。

 

みんな同じ研究職採用ですが、与えられている仕事は全く異なり、

求められる能力・適正はかなり異なってきます。

 

例えば、生物系の研究でタンパク質の実験をする際には、

手先の器用さや再現性の高い作業が求められます。

自分の不器用さに幻滅して挫折した人も多いと思います。

 

一方で、例えば工場での製造方法を検討する際には

まず実験室レベルの小さなスケールで実験しますが、

この時点で何十リットルといった単位で作業をするため、

手先の器用さはそこまで求められませんし、

むしろ力仕事が得意な人の方が向いているかもしれません。

 

上記は一例ですが、

研究職といっても、仕事によって必要な能力やスキルは異なります。

大学院や最初の会社での研究に苦戦した人でも、

それとは違う仕事に巡り合うことができれば、

活躍できる可能性は十分にあると思います。

 

あなたに合った仕事環境・内容が見つかる可能性は十分にある。

今現在研究がうまくいかなくて悩んでいる人も、

別の環境で別のテーマに取り組めばうまく進められる可能性は十分にあります。

 

そして、働く環境の変化によって、

今までよりも自分に合った仕事が見つけられる可能性は十分にあります。

 

今、研究がうまく進んでいないとしても、

次の職場では大活躍できる可能性は十分にあります。

そのため、

「今研究ができないと仕事ができないのでは?」という心配は、

あまり必要ないと私は思います。

 

まとめ

・今現在研究が進まなくて悩んでいる人も、仕事ができないと思う必要はない。

・研究環境や研究内容が変われば、あなたも活躍できる可能性は十分にある。

・同じ研究職という役職でも、担う仕事や役割は人によって大きく違う。

・あなたに合った仕事に出会える可能性は十分にある。

 

転職や就職などによる環境変化を通して、

あなたに合った研究テーマや仕事に出会うことができれば、

活躍できる可能性は十分にあります。

 

そのため、今研究がうまくいかないからと言って

仕事もできないんじゃないかと心配する必要はないと私は思います。

研究活動を通して自分で研究を組み立てる経験があれば、

ほとんどの方は研究職として活躍できると私は考えています。

 

研究職も転職できる

著者は昨年、研究職→研究職の転職を実現しました。

 

今回の記事を読んで、環境を変えることを検討してもよいなと感じた方は、

私の転職体験談と、以下の記事をぜひ読んでみてください。

https://researcherinacompany.com/recruit-15/



研究職はつぶしがきかない?長く生き延びるためにできることは?

研究職はつぶしが効かない」というコメントをネットなどで見かけます。

 

おそらく、営業職などと比べて研究職を設置している会社が多くないこと、

研究は専門性が高くその能力が他の会社などで活かせない可能性があること

などが理由かと推測されます。

 

確かに、自分の周囲を見ていると

つぶしが効きにくいタイプの人」は一定数いるように感じます。

 

一方で、

この人は研究職として長く生きられそうだな、他社でも活躍しそうだな

という人も確かにいます。

 

この2つのタイプの違いを自分なりに考え、

「活躍できる幅が広い研究者」を目指すことの大切さを感じるようになりました。

 

今回は、

研究職はつぶしがきかない?長く生き延びるためにできることは?

について書いていきます。

 

研究職につきたいがその汎用性を心配している人は、ぜひ読んでみてください。

研究職はつぶしがきかない?長く生き延びるためにできることは?

危機感がない人ほど、つぶしが効かない立場になりやすい。

研究職はつぶしがきかないのか?という質問へは、

危機感を持たずに過ごし続けると、つぶしが効かない立場になりやすい。

とお答えします。

 

営業職や開発職などと違い、

研究職は、基本的に専門性の高い業務にあたることが多いです。

 

会社や部署の方針に合わせてテーマ・分野ごとに人員が割り当てられ、

特定の専門分野を極めて仕事をこなすように期待されます。

 

企業の研究職は、会社や部署から割り当てられた業務を遂行することを通して、

関連する分野の専門性を高めていきます。

 

研究所にはそのような仕事をする社員が多く所属しており、

特定の領域について専門性の高い人材が育ちやすい土壌になっています。

 

専門性に汎用性がないと、活躍の分野が限られてしまうかも。

上記の通り、

企業の研究職は会社で与えられた業務をこなしていれば、

自然とその分野の専門性を高めることができます。

 

しかし、

その専門性は他部署や社外でも通じる汎用性の高いものとは限りません。

 

会社は、イチ社員に対して

「与えたテーマについて専門性を高め、しっかりこなしてほしい。」と思っていますが、

10年先のことを考えてその仕事を与えているわけではありません。

 

与えられた仕事を極めることが今後その社員のキャリアの保証につながるかは、

仕事の内容に大きく依存することになり、「運」に近い側面があります。

 

ある日突然その分野の受注がなくなり、仕事がなくなってしまったら…

10年近く同じ研究をしてきた人が、

ある日突然別の研究で即戦力として活躍できるか…

「自信がないな…」と思う人は、

つぶしが効かない立場になりかけているかもしれません。

 

長く生き延びるための方法案

では、幅広く長く活躍できる研究者になるためには、どうすればいいのか。

日々私も考えながら仕事に取り組んでいます。

 

まだまだ十分な努力はできていませんが、

私が日々心掛けていることについて紹介します。

自分の専門性について、他社・他分野でも活かせるレベルまで極める。

専門性といいつつも、

自社の中など小さい世界でしか使えないものは、価値が大きく下がります。

科学技術は日々進歩しており、

それについていくことも専門を極めるには不可欠です。

 

特許、論文、その他最新情報に常に触れ続け、

場合によっては自分の専門に関連する技術の取得を怠らないことが求められます。

 

この努力は、

専門性を極めるだけでなく、

他部署や社外でも使えるものにアップグレードすることにもつながります。

 

極める分野が決まっている人は、

それに関連する最新情報に常にアンテナを張り、

日々ブラッシュアップしておくことが求められます。

 

得意とする分野を増やし、社内・社外での自分の価値を高める。

もう一つは、得意分野を増やしていくというものです。

100人に1人がもつスキルが2つあれば、100×100 = 10000人に1人の価値になる

という先人の言葉にあたります。

 

会社の業務を通して得られる専門性に加えて、

親和性がありそうな分野を自ら勉強・開拓することで、

10000人中の1人になることを目指します。

 

これにより、自分の得意分野が広がりつぶしが効きやすくなるだけでなく、

2つの領域が重なる領域では自分の能力を存分に発揮でき

自分にしかできない仕事を行い質の高い結果に結び付けることができます。

 

例えば、私の同僚では以下のような取り組みをしている人がいます。

①食品のおいしさにかかわる栄養成分の分析が主な業務だったが、

預かるサンプルを実際に食べて、

その評価と分析結果の整合性を常にまとめていた。

このまとめレポートがある日おいしさ評価部署の目に留まり、

試食と分析を両方できる社員として重宝されている。

 

②CRO出身で、入社後も食品関連の臨床試験を担当していたが、

自分でバイオインフォマティクスを履修したことで、

「臨床試験とバイオインフォマティクスの両方ができ、かつ食品会社の目線を持った研究員」

という立場を確立した。

 

私もこのことは常に意識し、

自分にしかできない仕事ができるような人材を目指しています。

 

研究職は入社後も勉強が必要です。詳しくは以下で解説しています。

関連記事:研究職の専門性は、自分の価値を高めてくれる

まとめ

・研究職は、会社の業務をこなしているだけでは、つぶしが効きにくくなる可能性がある。

・研究職の業務は専門性が高いことが多い。専門性に汎用性がないと、活躍の分野が限られる可能性がある。

・専門性の質を極める、応用範囲を広げる、他の分野を新たに学んで守備範囲拡大と重複領域で自分にしかできない仕事を見つけるなど、自分の価値を高める努力をすることで、長く生き延びられる研究者になれる。

 

研究職は小さい世界にとどまっていると活躍の場が限られる可能性があります。

専門性を極めるにしろ、他領域とのシナジーを目指すにせよ、その世界を見て自分を高め続けることが求められるのが、研究職というものなのでしょう。

 

自分のキャリアが、ほかの環境でも通用するつぶしが効くキャリアなのか、

理系・研究職のキャリア支援を得意とする専門家に聞いてみるのも一つの手だと思います。

 

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研究職の働き方、心がけに関する記事はこちら

関連記事:研究職の専門性は、自分の価値を高めてくれる

関連記事:企業研究職の特徴:実名で専門性や業績をアピールできる

 




食品会社研究開発職の出身は?大学は?学部は?理系ばかり?

食品会社研究開発職への就職・転職を希望されている皆様、

どの出身学部の社員が多いか、気になりませんか?

 

食品会社は人気が高いこともあり、

いろいろな学部の方が多数応募してきます。

 

理系の採用についても人気が高く、

特に食品業界は人気が高く、

内定を取るのはかなり狭き門といわれています。

 

その狭き門をくぐった食品会社内定者は、

どの学部の出身者が多いのでしょうか。

 

今回は、食品会社研究職の出身学部について、

友人や私が所属する会社の情報をもとに書いていきます。

 

ただし、

様々な会社のデータなどに基づいた情報ではないので、その点ご了承ください。

 

また、

研究職として働くうえで出身学部よりも大切なことについて、

最後に述べていきます。

この記事の情報が、

皆様の就職活動のお役に立てればうれしいです。

 

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食品会社研究開発職の出身は?大学は?学部は?理系ばかり?

生命科学系の学部出身者が最も多い。

理学部の生物系、農学部、薬学部、水産学部、工学部のバイオ系など

生命科学系の出身者の割合が最も多いです。

おそらく理由としては、

学部・大学院で身に着ける知識やスキルが、食品会社の研究と相性がいいから

だと思われます。

 

会社によって細かい点は異なりますが、

食品会社では、

栄養、生化学、健康機能性、

食用植物の栽培や食用動物の飼育、

などの研究が展開されていることが多いです。

 

このような研究では、

生物、食品、育種などの知識が活かされることが多く、

これらの分野について大学で慣れている人の方が、

会社の研究にスッとなじめる可能性が高いです。

 

会社側から見たときでも

これらの学部出身の社員は関連する基礎知識やスキルがあると予想でき、

ある程度即戦力として期待できることから、

研究職へ配属するという傾向があるようです。

 

化学、機械、情報系学部の出身者も多い。

生命科学系の学部出身者が多い一方で、

有機化学専攻の化学系出身者や、

機械系や情報系の工学部出身者

食品会社に入社してきます。

 

食品会社の研究は、食品そのものに関するものだけなく、

食品製造の技術研究包材関連の研究開発

流通システムの開発分析技術の開発

などもあります。

 

この分野の研究開発においては、

生命科学系の学生よりも

化学系や情報系に強い学生の方が適任です。

 

しかしこれらの分野の学生は、

化学メーカーやIT企業などを志望することが多く、

食品会社に目を向けてくれない傾向があるようです。

 

化学・機械・情報系の学生は食品会社から需要があるケースも多いので、

応募してみるのもアリだと思います。

出身大学・学部よりも、入社後の勉強・スキルアップの方が大事。

食品会社の研究職は、生命科学系の学部を中心に、

その他の理系学部の出身者も所属しています。

 

採用する学生が持っている身に着けた知識やスキルが会社の仕事とマッチすれば、

即戦力として活躍してもらうことも可能でしょう。

 

しかし現実として、

学生時代の経験をそのまま活かせるような仕事に就ける人はごくわずかです。

 

ほとんどの人は、会社都合で配属先が決められ

その配属先で必要な知識やスキルを教わりながら、

自分の能力を高めて活躍の場を見つけていきます。

(関連記事:研究職への新入社員配属について

 

確かに採用学生の出身学部は入社時に偏りがあるかもしれませんが、

それよりも

入社後に自分をレベルアップさせて活躍できる分野を広げることの方が、

研究職で働くうえで大切になってきます。

(関連記事:研究職が勉強することの重要性について

 

食品会社の研究職を希望する学生は、

自分の出身学部のことは一旦気にせず入社したい企業には積極的に応募し、

入社できた後も勉強とスキルアップを続けることで、活躍の場を広げていくことを意識してみてください。

 

まとめ

・食品会社の研究開発職は、生命科学系の学部出身者の割合が高い。

・化学、機械、情報分野の学生の需要もあり、活躍できる仕事がある。

・研究職は、入社後も日々勉強してレベルアップをすることが大切。

 

繰り返しになりますが、

研究職は入社後も日々勉強が必要です。

毎日勉強し続けることができる自信のある方は、

企業の研究職に向いているでしょう。ぜひ応募してみてください!

 

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研究補助業務としての派遣登録はどこから?

研究領域に強い派遣社員に登録したい方は、以下のワールドインテックRAさんなどのサイトをぜひご覧ください。

 「理系出身者歓迎!研究職ならワールドインテックRA」

食品業界の年収に関して

現役食品会社研究職の著者の視点で、

食品業界の年収について状況をまとめ考察しました。

https://researcherinacompany.com/income/



大学の学部卒でも研究職になれる?食品メーカー研究員の目線で回答します

学部卒で企業の研究職を目指したい方

いらっしゃいますか。

 

現在、理系学部の学生は多くが修士課程に進学した後に就職活動をしており、

多くの修士卒生が企業の研究職に応募しています。

しかし、学部卒で研究職に就くことについては、

あまり情報がないのではないでしょうか。

 

今回は、

学部卒の学生は研究職に就けるのか

について書いていきます。

 

学部卒で研究職の内定を得ることはできるのか

また、内定を得るためにどういったことに力を入れればいいのか

学部卒で研究職を希望している方の参考になれば幸いです。

 

理系学生の就職活動には、

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学部卒の学生が研究職になれる?

修士卒・博士卒と比べると、研究職に就ける可能性は低い。

現実として、修士卒・博士卒の人と比べると、

学部卒の人が研究職に就ける可能性はどうしても低くなってしまいます。

正直、かなり狭き門だと思います。

実際、先日ツイッターアンケートを取ったところ、

最終学歴が学士(学部卒)で研究職をしている方は

あまり多くないことも分かりました。

 

大きな理由は以下の2つです。

・学部卒では、研究経験が短すぎる。

・採用する会社も、学部卒は研究歴が短いことを理解している。

 

理系学部に進学しても、研究室に所属して研究活動を開始できるのは、

通常は学部4年、早くても学部3年です。

 

学部卒で就職する場合、研究できるのは長くても1~2年程度です。

この短期間では、研究の表面的なことを学ぶことしかできず、

研究の進め方や考え方を身に着けるのは、なかなか難しいでしょう。

 

修士・博士と比べると研究に携わった期間が短く、

研究を任せるには経験が足りないと思われてしまうのが現実です。

 

採用する企業側もこのことを十分に理解しており、

修士・博士卒の方を優先して研究分野へ配属します。

 

学部卒では、研究の経験が乏しく、

また会社からもそのように理解されている以上、

学部卒の方が研究分野へ配属される可能性は

どうしても低くなってしまいます。

 

学部卒で研究職に就きたい人がすべきこと。

可能性を高める方法として、以下の3つがあると考えています。

 

・学部卒で研究職に配属させている会社を探し、そこの内定を目指す。

・研究室配属の前から、研究を経験して実績を得ておく。

・総合職などで入社後に、実績を出しつつ異動希望を出し続ける。

 

学部卒で研究職に配属させている会社を探し、そこの内定を目指す。

先述の通り、研究職は修士卒・博士卒の方が主に配属されます。

一方で、理系学部卒の新入社員を研究職に配属させる会社も存在しています。

 

就職四季報などを見ればわかる通り、

大手でなければそのような会社はたくさんあります。

 

そのような方針の会社に入社できれば、

学部卒であっても可能性が出てくるでしょう。

 

新入社員配属は会社の方針が大きく関わってきます。

どうしても学部卒で研究職に就きたい方は、

そのような配属を行っている会社を徹底的に調べ、

その会社への内定に全力を注ぐようにしましょう。

 

研究職の新入社員配属について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:研究職への新入社員配属

研究室配属の前から、研究を経験して実績を得ておく。

どうしても学部卒で研究職に就職したいのであれば、

修士卒などと比べて足りない「研究経験」を補う必要があります。

研究経験を早い段階からできるように、自分から積極的に動くことが大切です。

 

意外と知られていませんが、

学部1,2年生の段階で研究室に入り

研究を経験できるプログラムを設定している大学もあります。

 

また、このようなプログラムがない場合でも、

個人で研究室の門をたたき、研究に励んでいる学生も世の中には存在しています。

 

これらの制度を活用できる人であれば、

経験を補い自分の可能性を高めることもできるでしょう。

 

総合職などで入社後に、実績を出しつつ異動希望を出し続ける。

入社後に研究職を狙っていくというパターンもないわけではありません。

ただし、その人に相当な情熱がないと難しいだけでなく、

会社の方針とうまく合致しないと希望がかなわないかなり厳しいでしょう。

 

一方で、私の先輩は、学部卒で営業職を経て研究職異動をかなえました。

最後に、その事例について簡単に紹介します。

 

私の先輩の事例:学部卒で就職→研究職へ異動→社会人博士取得

少し変わった事例ですが、私の先輩の事例を紹介します。

 

その先輩は、理系学部卒業後そのままある食品会社へ就職、営業職として約8年勤務しました。

 

しかしその先輩は、「いつか研究をしたい」という思いをずっと持っており、

その間一貫して研究職への異動希望を出し続けていました。

ただ希望を出すだけでなく本業にも全力で取り組み、

本人曰く「営業成績はかなり上の方」だったそうです。

 

努力の甲斐あって、8年後にようやく研究所への異動が実現します。

強い希望を出すだけでなく、営業で成果を出して文句を言わせなかった。

これが希望をかなえた秘訣だったと、本人は回想していました。

 

その先輩のアグレッシブさは、研究所へ異動するだけにとどまりません。

異動直後に与えられた仕事ですぐに実績を上げただけでなく、

「研究所を起点に事業を立ち上げる」という計画をぶち上げます。

 

そして、

事業をけん引する上で私には博士号が必要だ

ビジネスに強いA教授の下で修業をさせてくれ

と志願します。

 

この熱意のおかげか会社からの進学許可がおり、

会社で働きつつ修士・博士を取得してしまいました。

 

このような事例はあまり多くありませんが、

理系の学部卒で就職してから数年かけて研究職へ異動し、博士まで取ってしまった人を

少なくとも私はこの目で見てきました。

 

学部卒で入社しても、本人の熱意と会社の意向がうまく合致すれば、

研究職として活躍できる可能性が開けてくるかもしれません。

 

この先輩について、後日改めて紹介記事を書ければと考えています。

研究職を志望する学生にお勧めするサイト

研究職を中心に就活を目指している学生の方は、

理系学生の就活に特化しているアカリクも参考にしてみてください。

最近は、「アカリクイベント」というオンライン就活イベントも行われているそうです。

私も、就活情報を得る一つの窓口として、使っていました。

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まとめ

学部卒の人が研究職に就くことについては、

以下のような現実があります。

 

・学部卒では研究経験が少なく、修士卒などと比べると研究職への配属は難しい

・研究歴を補う、採用実績がある会社を狙うなど、可能性を高める努力が必要。

 

かなり厳しいですが、全く可能性がないわけではありません。

また、上記の現実は本人の努力である程度補うことができます。

 

どうしても学部卒で研究職に就きたいのであれば、

これら最低限の努力をして可能性を少しでも高めたうえで、

就職活動に臨むことが必須になるでしょう。

 

就職活動に関する関連記事はこちら

関連記事:研究職志望者の就活:現役食品会社研究職からのアドバイス

関連記事:研究職への新入社員配属




研究職のテレワーク:在宅勤務時の一日のスケジュール例を紹介

研究職がテレワーク?そんなことできるの?

不思議に思われる方はいませんか?

結論としては、

研究職も、結構テレワークは利用しています。

 

新型コロナウィルス以降、様々な会社でリモートワークの制度が導入されています。

しかし、研究職の方の多くは実験業務がメインであり、試薬や装置などがある研究所に行かないと仕事にならないような印象があります。

果たしてリモートワークは研究職の方でも実施することはあるのでしょうか。

今回は、

企業研究職の私がリモートワークをする際の仕事内容と、

そのスケジュールの一例を紹介します。

 

研究職もリモートワークはできる

研究職がリモートワークを選択する状況

新型コロナ以降急速に広まった在宅勤務やリモートワーク。

私が所属する会社も新型コロナを機にこの制度を導入し、

状況によってはリモートワークを選択できるようになりました。

そして研究職もその対象になり、一定の条件を満たす場合は積極的に活用するようにとお達しが出ました。その条件は、主に以下の内容です。

コロナの感染が拡大している。

単純に、コロナの感染防止の観点から、可能な限り出社はしないようにというお達しが出ることがあります。

この時は出社の必要がない限りは基本的に在宅勤務になります。

いわゆる「実験」を急いで行う必要がない。

実験を行う必要がある場合は出社の必要がありますが、逆に実験をする必要がない日は出社をする必要がない場合もあります。

このような場合にも、リモートワークを選択することがあります。

会社のパソコンを使えば、自宅から会社のネットワークにアクセスできる通信環境である。

自分の所属する会社は、会社のパソコンを自宅のWifiにつなぎ、この回線から会社のネットワークにアクセスる仕組みが整っています。

自宅でWifiが通っており、会社のネットワークを使った事務作業ができる環境であれば、リモートワークでも十分に働くことができます。

研究職がリモートワークで実施する仕事内容

以上のように、コロナの関係もあり実質在宅勤務という形で、リモートワークを実施するケースが増え、私も積極的に利用するようになってきました。

そこで、食品会社研究職の私は、どのような業務をリモートワークで行っているか、以下のまとめていきます。

調べもの系(特許、論文、など)

特許調査、論文検索などは自宅からでも問題なくできますので、リモートワーク時に行うことが多いです。

執筆活動(特許、論文、雑誌寄稿文など)

執筆活動も自宅でできます。むしろ、邪魔されることが少なく集中して進められる印象です。

書類の作成、校正作業

会社の書類づくりなどもリモートワークで行うことがあります。

データ解析系の作業

RやPythonなどを使った統計解析など、データをいじって考える仕事もリモートワークに向いています。集中してできるので個人的には好きです。

WEB会議

WEB会議もリモートワークで行うことが多いです。家族の理解が必要ですが、それは参加者同士お互い様なので、お互いにあまり気にせず実施できている気がします。

難点は、同僚が隣にいないのでコソコソ話ができない点でしょうか。

研究職のリモートワークスケジュール例

では、在宅勤務で上記の仕事を行った際の一日のスケジュールをお伝えします。

この日は、論文のリバイス対応を中心に、WEB会議にも一つ参加しています。

 

・8時半前:パソコン立ち上げ、上長に勤務開始の連絡を入れる。

・8時半~10時:自社商品の営業資料に載っている、研究関連の文章と図表を校正。

・10時~12時:論文のリバイス対応

・12時~13時:昼食(10分近くコンビニへ外出)

・13時~14時:論文対応続き

・14時~15時半:共同研究先とWEB会議

・15時半~17時:報告書作成、急ぎ依頼された特許調査に対応。

・17時過ぎ:フレックス制度を使い退社、業務終了を上長へ報告。

 

私の場合は、事務作業とWEB会議をリモートワークで行うようにしています。

これにより、会社へ出社したときには多くの時間を実験作業に充てることができ、仕事の効率がとても上がっています。

最近は、コロナ拡大による会社からの指令もあり、週に2回程度はリモートワークを実施するようにしています。

週2回をほぼすべて事務作業に充てられることで、最近会社ではほとんど実験しかしていません。

今後ずっとこの働き方が続くか分かりませんが、使えるうちに駆使してどんどん成果に結び付けていきたいと思っています。

まとめ

・コロナの状況や自宅の通信環境次第では、研究職もリモートワークはできる。

・事務、執筆、調査、WEB会議などを主に実施している。

・週2回ほどのリモートワークにより、出社時はほぼ実験ができるなど、業務効率が良くなった気がする。

 

研究職のリモートワークについては、多くの方で有効活用できると思っています。

実験など出社して行う仕事を同じ日に集中させ、

一方でWEB会議や事務作業をリモートワークの日にまとめることができれば、

非常に効率の良い働き方ができるのではと思っています。

また、リモートワークの場合通勤時間なく、この時間をプライベートな用事に充てることが可能です。

さらに、ここにフレックス制度を組み合わせて退社時間を早めることで、通院、買い物、子供の迎えなど、家事作業を手伝うことも可能でしょう。

リモートワークの有効活用は、仕事だけでなくプライベートの充実にも貢献するはずです

 

研究職という職業であっても、業務の調整をうまくすることができれば、リモートワークを駆使したより効率の良い働き方が実現できるだろうと考えています。

 

企業研究職の働き方に関する関連記事はこちら

関連記事:現役食品会社研究職の一日のスケジュール

関連記事:企業研究職の働き方:時間管理とモチベーション




企業研究職の働き方:現役食品会社研究職の一日のスケジュール

大学などで研究をしている学生の皆様や、研究以外の業務をなさっている社会人の方からすると

企業研究職の皆様が普段どのように働いているか、あまりイメージがつかないと思います。

一方、私個人の意見としてですが、

研究職が普段どのような働き方をしているか多くの方に知ってもらい、

就職する前のイメージづくりや、研究職に仕事を依頼するときの参考にほしいな思っています。

そこで今回の記事では、食品会社研究職の一日の過ごし方について、私の事例をいくつか紹介します。

食品会社で研究をしたい就活生や、研究職の働き方を知りたい他業種の皆様は、

この記事を読むことで、企業で研究職として働くイメージを持つことができると思います。

研究職の一日の過ごし方:実験中心の日と事務作業中心の日を紹介

現在の主な業務内容

現在私は、主に以下の業務を担当しています。

①基礎研究:培養細胞を使った機能性成分の有効性評価、機能性成分を産生する微生物の探索

②製造方法検討:ある天然物から機能性成分を収率良く抽出する方法を検討する。

③製品の品質管理:毎週製造される製品に、機能性成分が適切に含まれているか分析する。

④特許関連:出願用資料の作成や拒絶査定への対応を行う。

⑤後輩の進捗管理、技術スタッフのスケジュール管理。

これ以外にも、研究所や部署の運営にかかわる事務作業(書類管理、予算管理など)や会議参加などがあります。

 

実験作業が多い①~③については、技術スタッフさんに適宜仕事をお願いしながら進めています。

技術スタッフの方などにうまく仕事を頼むことも、研究職の非常に大切な仕事です。

関連記事:技術スタッフ:企業の研究職にとって、いなくては困る存在。

 

実験中心の日

まずは、ほぼ一日中実験にかかりきりになる日のスケジュールをお見せします。

この日は、「③製品の品質管理」を行う日で、サンプル受領からHPLC分析までを、技術スタッフの方と一緒に行いました。

 

8時半:出社、メールチェック。

9時:技術スタッフと打ち合わせをして、作業準備とHPLC立ち上げを開始。

9時半:分析用サンプルの宅急便が到着。受け取り後、すぐにサンプル前処理1バッチ目開始。

(この間、待ち時間を利用してメールの返信と電話への対応)

11時半:1バッチ目の前処理が終了し、HPLCへセット、分析開始。

12時~13時:昼休み(この間もメールを確認し、返信しておく。)

13時:前処理2バッチ目開始

(この間、待ち時間を利用してメールの返信と電話への対応)

15時:1バッチ目の前処理が終了し、HPLCへセット、分析開始。

15時半:メールチェック、予算関係書類、研究レポート作成。技術スタッフは後片付け。

17時半:HPLCの分析が終了、洗浄プロトコルをオーバーナイトでセット。

18時:解析結果を確認し、測定結果の報告書を作成。上長へメールで送付しておく。

18時半:退社。

 

実験が多い日は、以下の点に気を付けています。

・実験作業そのものは、遅くても勤務時間内で終わるように計画する。

・技術スタッフに任せられるものは、どんどん任せる。

・隙間時間で簡単なメールはさばいておく。

・作業に集中すると判断を誤ることが多いため、事務関係の重要な仕事は後日に回すことが多い。

 

企業では勤務時間の管理が厳しく、実験に使える時間は限られています。

限られた時間を有効に使って成果を残す能力が、企業の研究職には求められます。

このような環境下でうまく働くうえで、注意すべき点がいくつかあります。

詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

関連記事1:企業研究職の働き方:勤務時間管理とモチベーション。

関連記事2:企業研究職の働き方:お金と時間単価。

事務作業中心の日

続いて、事務作業や会議が中心の日の予定を書いていきます。

この予定は月初に多いです。

 

8時半:出社、メールチェック

9時:部署全体の週礼、実験室や事務室の掃除。

9時半:技術スタッフとの打ち合わせ、今日の会議にかかわる資料の準備。

10時~12時:チームミーティング、各自の進捗報告とそれに対するディスカッションを行う。

12時~13時:昼休み(この間もメールを確認し、返信しておく。)

13時:勤務記録表の入力と提出、領収書や請求書の処理、メール対応。

14時~15時:共同研究先Aとウェブ会議。毎月の進捗管理。

15時~16時:会議の報告書作成、次回に向けた資料作り。

16時~17時:共同研究先Bの月例ウェブセミナー参加。(アカデミアとの議論)

17時~:技術スタッフと情報共有、翌日に行う実験の準備、メール対応。

18時半:退社

 

私の場合、できる限り会議や打ち合わせを同じ日に集めるようにしています。

これにより、会議がない日に十分な時間を確保でき、実験や集中力がいる作業をする時間に充てられるからです。

私たちの本業は研究活動であり、その本業にできるだけ多くの時間をかけたいと思っています。

確かに事務作業や会議も仕事を進めるうえでは大切です。

しかし、事務仕事に重心がかかりすぎないように気を付け、自分の本業に集中できるような環境づくりを意識することも大切だと思っています。

事前に予定を組んでおくだけでも、仕事はだいぶ進めやすくなる。

以上、研究職の一日の過ごし方について、私の事例を紹介しました。

2つ事例を紹介しましたが、出張がある日やフレックスタイムを利用する日など、ほかにも様々なパターンがあります。このような事例も、後日改めてご紹介できればと思います。

 

研究職として働くで意識しているのは、

「事前にしっかり予定を組んで仕事を進めること」です。

仕事の中には、事前に準備をしておかないと対応できないものも多くあります。

技術スタッフ・先輩後輩・上司などあらゆる人のスケジュールを把握・管理し、

自分の仕事が滞りなく進むように計画を立ててそれに近い流れで仕事が進められると、

自然と良い結果につながってくるのではないかと感じています。

 

企業研究職の働き方に関する関連記事はこちら

関連記事1:研究職のリモートワーク:在宅勤務時のスケジュール例を紹介

関連記事2:企業研究職の働き方:勤務時間管理とモチベーション。

関連記事3:企業研究職の働き方:お金と時間単価。




研究職志望者の就活:現役食品会社研究職からのアドバイス

就活生の皆様、就職活動のシーズンに差し掛かりました。

分からないこと・不安なことも多い時期かと思います。

いろいろな資料やウェブサイトを調べて、いろいろな情報を探している方も多いでしょう。

 

このブログのコンセプトの一つに、

就活生や大学院生にむけて、食品企業研究職の働き方やお金事情などをお伝えしていく

というものがあります。

私も理系の大学院生として就職活動を行い、理系の総合職として食品会社に入社して現在研究員として働いています

私の経験をお伝えすることで、皆様の就職活動などに少しでもお役に立てればと思いながら記事を書いています。

就活生向けの記事はこちらにまとめていますので、気になる方は後ほど見てみてください。

 

今回は、著者自身の就活を振り返り、良かった点・参考にしてほしい点と、反省点を書いていきます。

私の経験が、少しでも役に立てればと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。

現役食品会社研究職の視点:就活生に向けたアドバイス

良かった点、参考にしてほしい点。

良かった点としては、以下の点が挙げられます。

・就活を通して、しっかりと自分と向き合えた。

・大学・学部の先輩が就職している業界を志望した。

・食品業界の中でも、事業や領域をある程度絞った。

 

就活を通して自己分析を行い、しっかりと自分と向き合えた。

就活は、自分を見つめなおすいい機会だということをお伝えしたいです。

就活をすると、エントリーシート・面接などの対策をするために、

過去の自分や今後なりたい自分について考えるようになります。

おそらく私も、就活がなければ自分について深く考えることはなかったでしょう。

就活を全力で取り組むためには自己分析は必須ですが、

もし推薦枠などを使っていたらおそらく自己分析をすることなく就活を終えていたでしょう。

この自己分析を通して、自分の潜在的なポジティブ思考に気づくことができたなど、得られたものも多かったなと感じています。

 

大学・学部の先輩が就職している業界を志望した。

採用実績がある企業の方が内定を得やすいことは間違いありません。

そのため、自分の志望と大きくズレていないのであれば、

学部の先輩方が就職している企業を中心に攻めることをお勧めします。

 

新卒採用では依然として学歴を一つの指標にしている側面があります。

過去に多くの先輩が就職しているという事実は、

その会社では学歴で落とされる可能性が低いことを示しています

そのような会社に応募して書類選考を通過することができれば、

面接の機会(練習も含めて)を得られ、場数を踏めるという利点も出てきます。

もしかしたら、内定をもらえるかもしれません。

志望業界と若干ずれていたとしても、大学・学部で実績のある企業へも応募することをお勧めします。

 

採用実績がある企業側から見た目線でも、就活生と会社のミスマッチが減るというメリットがあります。

たとえESや面接を通して採用を決めたとしても、

入社後にミスマッチが起こることは頻繁にあります。

そのリスクを減らす観点でも、実績のある大学・学部から採用することで、

その人の特徴(専門分野、考え方、など)をある程度予測することができ、

企業側もある程度安心できるというメリットがあります。

 

私は生命科学系の大学院に所属していましたが、

先輩方の就職先の中で食品会社研究職の割合は高かったです。

自分が食品会社の研究職に向いているか分からない方は、

以下の記事を参考にしてみてくください。

関連記事:食品会社の研究職に向いている人(著者の私見)

 

食品業界の中でも、業種や領域をある程度絞った。

食品の中でも業種や領域を絞ることで、対策が進めやすくなりました。

そもそも食品業界は人気が高く、すごい人数が応募してきます。

学部卒が対象の文系総合職ではその傾向が顕著ですが、

理系総合職や研究職においてもその傾向があるようです。

そのため、食品業界の人気企業にむやみに応募すると、通過数が増えたときに各社ごとに十分な対策が取れず、

選考に行ける会社が少なくなってしまうのではと、当時の私は考えました。

 

そこで、食品の中でも業種を絞りました。

(私は、食品原料系を中心に扱っている会社に絞り、応募は30社前後にとどめました。)

 

これにより、以下のメリットが生まれました。

・競合他社も含めて応募することが増え、各社を比較した企業分析ができ、理解が深まる。

・少ない業種について調べるため企業研究の時間が短くなり、ほかの対策に時間を回せる。

・その業種に詳しくなり、本当に行きたくなってくる気がする。

 

当時の私は、研究もしつつ就活をしなくてはいけないという事情もあり、時間があまりありませんでした。

そのため、業種を選び応募数を絞るしかありませんでした。

結果として対策が進めやすく効率よく就活ができ、その点についてはとても満足しています。

反省点

反省点については、以下の内容があります。

・もっとたくさんの企業に応募すればよかった。

選考を通過し、いろいろな企業の研究所を見学したかった。

 

もっとたくさんの企業に応募すればよかった。

私の場合、研究と就活の両立が一つのカギとなっていたため、

業種や応募先を減らして就活を進めました。

同じようなケースの方には、この方法をお勧めします。

しかし、もし時間がたっぷりあるのであれば

たくさんの企業に応募してほしいと私は考えています。

理由は、「いろんな会社を覗けるのは就活生の時しかなく、この経験はぜひしてほしいから」です。

詳しくはに書いていますが、このメリットは就活生に存分に活かしてほしいです。

関連記事:就活生向け:研究所見学にはできるだけたくさん参加しよう

 

選考を通過し、いろいろな企業の研究所を見学したかった。

研究職の選考では、選考途中に企業の研究所の一部を見せてくれることがあります。

このような機会は社会人になるとなかなか得られません。

研究所見学については以下に書いているので、参考にしてみてください。

関連記事:就活生向け:研究所見学にはできるだけたくさん参加しよう

 

近年は新型コロナの関係で見学できる会社も少ないようですが、

まだ就職活動が数年先の学部生の皆様は、自分の頃には見学が復活しているかもしれません。

研究職を志望する学生にお勧めするサイト

研究職を中心に就活を目指している学生の方は、

理系学生の就活に特化しているアカリクも参考にしてみてください。

私も、就活情報を得る一つの窓口として、使っていました。

最近は、「アカリクイベント」というオンライン就活イベントも行われているそうです。

アカリクは、以下のリンクから。

アカリクイベントは、こちら

まとめ

・就活は、しっかりと自己分析をできるいい機会。

・大学・学部の先輩が就職している業界・企業は、選考通過や内定の可能性が高い。

・多くの企業に応募できると、いろいろな会社を知ることができる。

・理系総合職や研究職の場合、選考中に企業の研究所を見せてもらえる可能性がある。今後めったにない機会なので、ぜひ多くの企業に応募してほしい。

 

私の経験をもとにいろいろ書きましたが、この経験が皆様の就活に役立つと嬉しいです。

他にも、就活に関する記事はこちらにまとめていますので、ぜひ見ていってください。

 

企業研究職の働き方について知りたい方への関連記事

関連記事:研究職への新入社員配属

関連記事:企業研究職の働き方:現役食品会社研究職の一日のスケジュール

関連記事:ESや研究概要資料は、読み手の立場を想定して理解しやすいものに仕上げよう




企業研究職の働き方:勤務時間管理のデメリット、時間のぶつ切りとモチベーション低下。

実験や作業の中には、かなり長い時間を必要とするものがあります。

また、事前準備に時間がかかる作業の場合、

一回の準備でたくさん実験できるように、

まとまった時間を確保することもあると思います。

大学や研究機関で時間を気にする必要がないポジションの人は、このような仕事の進め方も可能です。

大学時代、HPLCを使った分取作業をインジェクトからフラクションまですべて手動で行っていましたが、これは大学だからこそできたことかもしれません。

 

しかし、企業ではこれができません。

その理由は、勤務時間のルールが決まっているからです。

 

企業は従業員の勤務時間管理をする必要があり、不必要に残業をさせることは本来できません。

しかし一方で、このルールが研究職に厳密に適用されると、

研究という業務の特性上マイナスとなる側面も多いなと私は感じています。

 

今回は、企業の研究者がよく直面する、

「勤務時間管理のデメリット、時間のぶつ切りとそれに伴うモチベーション低下。」

について書いていきます。

 

この記事は、特に現役の企業研究者には納得いただけるのではないかと思いますし、

学生の方も企業の働き方の一部を知れるのではと思っています。

勤務時間管理による作業時間のぶつ切りは、モチベーションにも影響する。

企業研究職は会社員。働ける時間に上限がある。

働き方改革などが進んできている企業では、

勤務時間(開始~終了、残業時間など)が厳密に管理されるようになり、

以前ほど自由に残業ができなくなっています。

 

研究を仕事としている社員も同様で、働ける時間に上限があるため、

大学のように好きな時間に好きなだけ研究をすることは難しくなってきました。

 

企業の研究職も会社員です。

与えられた時間の中で効率よく仕事をこなして成果を上げることが求められます。

そのため、時間当たりの成果を最大化できるように、必要な労力や予算を割り当てて仕事を進めます。(以前の記事:企業研究職の働き方:お金と時間単価

 

*いわゆるブラック企業はそうではありませんが、そういう企業は尋常ではない量の仕事を残業代なしでこなしていることも多いので、いったん話から外しました。

実験・仕事が勤務時間ごとにぶつ切りにされ、効率が悪くなる側面もある。

上記の理由もあり、勤務時間単位でいったん仕事を中断しなくてはならず

一気に進めたい仕事を数日に分ける必要があるなど、

効率が悪くなるケースがよく出てきます。

 

調製した試薬は半日しか使えない実験や、連続9時間必要な実験などは、

日数も時間もかかり効率が悪いです。

 

イントロで述べたHPLC分取の場合、

HPLCの立ち上げ作業やカラムの平衡化を毎日やり直す必要が出てきます。

経験者はこの非効率さを理解いただけるのではないでしょうか。

 

どうしても連続した時間が欲しい場合は、残業をすることになります。

しかし企業によっては事前申請が必要です。

残業は、建前上は会社からの指示で行うことなっているので、

事前に必要性を説明する必要があるなど、結構めんどくさいことも多いです。

 

結果として、「申請もめんどくさいし、連続して長時間働くのは難しいな」と感じ、

効率が悪いとは思いつつも勤務時間のルールに従って仕事をしている方が多いと思います。

私見:実験・作業のぶつ切りは、研究へのモチベーションを削っていく。

実験系の仕事をされている方には同意いただけると思いますが、

集中して実験しているときが一番充実感があり、良い結果が出やすいです。

自分が集中して働ける環境は、多くの研究者が求める労働環境ではないかと思います。

 

それに対し、時間のぶつ切りは「研究者が長時間集中して実験・作業できる環境」の一部を奪ってしまっています。

そしてこの点は、仕事の効率だけでなく研究者のモチベーションを奪う側面もあるのではと感じています。

 

勤務時間管理はとても大切なことで社員のQOLに大きく関わります。

しかし、研究者の立場から見ると、

時間のぶつ切りが発生することで仕事の効率が下がりモチベーションも奪われる

といったマイナス面があるのは事実です。

 

研究職の中には自分の好きなことをしている人も多く、

このような方ほど大きな成果をどんどん出して会社に貢献してくれます。

勤務時間管理による時間のぶつ切りは、

このような方から自由に集中して働ける環境を奪い、

モチベーションを下げてしまう可能性もあると思います。

 

この点を解消できる方法として、

残業申請の事後報告を許可する(本人が管理できている前提で)、

フレックスタイム制などで勤務時間の柔軟性を高める、勤務中の中抜けをOKとする

といったものがあると思います。

 

大企業では上記の制度が少しずつ導入されているようです。

今後このような働き方が多くの会社の研究所で実施されることで、

多くの企業の研究開発効率が変わってくるのではないかと思っています。

まとめ

・企業研究職は会社員。働ける時間に上限がある。

・実験・仕事が勤務時間ごとにぶつ切りにされ、効率が悪くなる側面もある。

・時間のぶつ切りは、研究へのモチベーションを削っていく。

勤怠管理がしっかりしている会社では

「効率よく働け、残業するな」

という掛け声が飛び交いますが、

研究職目線では

「管理されることで逆に効率下がることもあるんよな~」

と思うことも多いです。

 

このデメリットを踏まえつつも、

仕事や時間の管理ができ、かつ成果をどんどん出せる研究職が、「優秀な企業研究者」なのかもしれません。




企業研究職の学会発表:査読なしで研究成果をアピールできる場所

学会に行くと、

企業研究職の方が一般演題発表をしている場面をよく見かけます。

内容は多種多様ですが、

たいていはその企業の商品やサービスに関するポジティブな研究成果を

発表していることが多いと思います。

 

研究成果を報告する手段は、

学会発表だけでなく、論文、特許(この場合年数を要するが)、

商品化などさまざまなものがあります。

そのなかでも

学会発表という方法は、企業にとっていくつかメリットがあります

 

今回は、

企業が学会発表を選択する理由と、それに対する私見を書いていきます。

企業の研究者がなぜ学会で発表するのか。

まだ就職していない学生の方にとっては新しい視点になるかもしれません。

企業は、学会で研究成果を発表することで自社のアピールをしている。

学会発表であれば、企業が主張したいことをそのまま発表できる。

企業が学会発表を行うときの利点は、以下の2つです。

・主張したいことを査読なしでそのまま発表できる。

・要旨以外の資料が残りにくい。

主張したい成果を査読なしでそのまま発表できる。

企業が研究成果を対外的に発表する大きな目的は、

成果を公開して注目してもらい、

自社のモノやサービスの拡販につなげることです。

そのため企業は、自分たちの成果をスムーズに公表できる点を重要視します。

 

ご存じの通り、学会での発表内容は査読などの事前評価を受けません。

そのため、自分たちの主張したいことが発表でき

企業が研究成果を発表する上で都合がいいのです。

 

同業者に客観的な評価をもらうという目的もないわけではありませんが、

重要視していないことが多いです。

 

科学的な見地で議論することよりも、

成果を公開すること自体が重要というわけです。

要旨以外の資料が残りにくい。

また企業は、研究成果の都合のいいところは公開しつつも、

その研究に関連するノウハウや特許が絡む知見の公開にはとても慎重です。

 

学術論文の場合、研究手法のところに詳細を書く必要があり、

レビュワーの指摘によっては

本当は書きたくない内容まで書かされてしまう可能性がでてきます。

(科学の普遍性という点で議論はいろいろありますが、)

不必要に情報を公開しないということに、企業はとてもセンシティブです。

 

一方学会発表では、

要旨こそ公開されますがそこまで詳細に書かないケースも多く、

また発表資料についても配布されることはないため、

情報が一般に広く公開されるリスクは論文よりも下がります。

 

しかし新型コロナウィルス拡大以降、学会もオンライン開催が増えました。

学会の視聴ルールに

「スクリーンショットや録画は控えるように」と書かれていますが、

おそらくこの点は性善説と推測され、

スライドを撮影されている可能性は十分に考えられます。

 

企業側がこのリスクを配慮しすぎて、

スライドに載せる情報の選択も慎重になったり、

場合によっては学会発表を敬遠したりするようになるのでは?

と私は気になっています。

 

商品やサービスをPRするための発表も混在してしまう。

企業は基本的に営利団体のため、

企業での研究は自社のモノやサービスを売るために行われます。

そのため、一定の研究成果が得られ、

その成果を公表することで自社にメリットが得られると判断されたときに、

初めて対外的な発表が検討されます。

 

発表する以上、ある程度注目を集めることが重要です。

企業によっては学会発表前に

A学会で発表します」というプレスリリースを流しておくケースもあります。

発表を通して自社に注目を集め、

ゆくゆくは自社商品やサービスの認知度拡大や販売促進につなげることが、

意図として見え隠れしています。

 

しかし学会という場である以上、

発表内容は科学的な背景や手順を踏んだものであるべきで、

企業側もその点をしっかり準備して発表するのが礼儀です。

 

ただ残念なことに、その会社の商品の優位性を際立たせることを優先し、

科学的側面での新しさや面白さ(場合によっては内容そのもの)が

ほとんどない発表が混ざっています。

 

「これは営業か?」という発表も稀に見かけます。

プレゼン時間の大半を自社商品の紹介や背景紹介に割き、

研究成果をほとんど話さない発表も見かけます。

 

企業の方針なのか発表者の不手際や暴走なのか分かりませんが、

「学会」という場であることをしっかりと理解し、

聞き手に何かしらの知見を与えられるような発表を準備してほしい

と私は思っています。

企業の発表でも、科学的な面白さや新しさをアピールしてほしい。

以上のように、

企業の学会発表は自社の認知度アップや販売促進を意識したものが多いです。

ただ個人的には、その中にも

科学的な面白さ、新しさ、研究に対するその人の情熱といったものを

発表の中にしっかりと盛り込んでほしいと思っています。

 

自社商品のメリットをアピールするという姿勢や

ポジションそのものを完全には否定しません。

しかし、学会は一般消費者向けに向けたアピールの場ではなく、

科学的知見を議論する場所です。

 

企業の研究者であっても、

研究の新規性や今後の道筋などを研究者たちと共有し、

さらなる発展につなげることを念頭において発表してほしいと思っています。

まとめ

・学会発表であれば、企業が主張したいことをそのまま発表できる。

・注目を集められる一方、商品やサービスをPRするための発表も混在してしまう。

・個人的には、 企業の発表でも、科学的な面白さや新しさをアピールしてほしい。

 

学会では学生も多く発表しています。

緊張しつつも自分の研究の新しさや面白さを伝えようと

一生懸命にプレゼンをしている学生の姿を見ると、

自分の研究を広く多くの人に知ってもらいたいという気持ちを

思い出させてくれます。

対外発表をする時は、この気持ちを思い出して臨むようにしたいと思います。

 

研究職の仕事はこちら




技術スタッフ:企業の研究職にとって、いなくては困る存在

研究所には所属の社員だけではなく、

実験やその関連業務を担当してくれる技術スタッフがいます。

技術スタッフは主に実験作業やそれに関連するルーチンワークに従事しており、

研究所の成果に大きく貢献してくれる存在です。

 

私もパートタイマーの技術スタッフと一緒に仕事をしており、

このスタッフの予定(毎日の実験・作業日程)を毎週作成しています。

そのため、このスタッフにどのように働いてもらうかが、自分や会社の成果に大きく影響してきます。

 

仕事の成果は、仕事の内容、従事する人の個性や得意不得意、人間関係といった様々な要素が影響します。

私はこのことを念頭に置いて、

スタッフ本人が楽しく気持ちよく働けるような関係性を作り、本人が作業しやすいように仕事を割り振る

ようにしています。

 

今回は、協力スタッフと仕事をするうえで気を付けていることを書いていきます。

若手の頃はほぼすべてを自分一人で行う実験も、

年齢を重ねるとチームで取り組む機会が増えてきます。

誰かに指示を出して動いてもらうことが増えたときなどに、

今回お話しする内容が少しでも役に立つと嬉しいです。

いろんな人と上手に働くと、より多くの成果が生み出せます。

スタッフ本人のことをある程度知っておく

個人的には、他人のプライベートに土足で入っていくのはあまり好きではありません。

ただし、一緒に働くパートさんの生活パターンについては、ある程度知るようにしています。

(家族構成、お子さんの迎えの時間、通勤ルート、年休の予定)や仕事に関連する得意不得意(細かい作業が好き、力がないから重いものは持ちたくない、英語は苦手、など)

じっくり話すというよりも、一緒に働きながら聞いていく感じです。

 

一緒に働くスタッフの方が働きやすいペースで、

できるだけ得意なことを中心に任せたいなと思っています。

そのためにも、スタッフさんの事情はある程度知っておいた方がいいはずです。

面倒に感じることもあるかもしれませんが、

結果的に三方良し(スタッフさん良し、自分良し、成果も上がるから会社も良し)になるかなと思っています。

いきなりすべてを任せない

意外とやりがちです。(時々見かけます)

極端な事例で言えば、

「この論文の実験、試薬を自分で調べて準備しておいて」

とか、

「この実験、うまくいってないみたいだけど、理由と対策を調べておいて」

といった感じです。

 

技術スタッフは会社の後輩などと異なり、

「与えられた仕事をきっちりこなす」という意識で仕事をされていることが多い印象です。

こういった立場の人からすると「社員が何も教えてくれない」というのは恐怖です。

私は、以下のことを意識し、任せっきりにならないような工夫をしています。

・最初の実験系づくりは自分でやる。

・仕事をお願いするときも、最初はすべて一緒にやる。

・可能な範囲で、プロトコルを紙に起こす。

・結果の責任は依頼した自分にあると伝える。

 

スタッフさんの判断に委ねるのは、

ある程度信頼関係ができている段階で、現場レベルで判断してよいものについてです。

長期視点で考え、「効率」よりも「効果」で考える。

この内容は、ベストセラー本「7つの習慣」の「最優先事項を優先する」に書かれている内容をもとに、自分なりに考えを整理したものです。

主に新しい仕事をお願いするときに大切にしている考え方です。

 

他人に物事をお願いすることが苦手な人の思考の一つに、

「自分でやった方が早い」

というものがあるそうです。

 

「7つの習慣」には、

自分の時間を使うときは効率性を考え、人に任せるときは効果性を考える

と書かれています。

 

私の中では、

「今の時点の効率を考えるなら確かに自分でやった方が早い。でも、この仕事をスタッフさんができるようになれば、私は他の仕事に取り組めることで、もっと大きい効果が得られる。

と解釈しています。

一般的に、スタッフさんにはルーチンワークをお願いすることが多いです。

経験を積んで作業時間が短くなってきたときに、

別のお仕事もできるようにお願いしていくという感じです。

 

仕事をほかの人にお願いしない人が良く言っているのは、「教えるのが面倒」という理由です。

確かに教えるのは時間もかかりますし、

スタッフさんがすぐに身に着けてくれるとは限りません。

しかし、後々になって効果を最大化できる可能性があることを考えれば、

ここは時間をかけてでもスタッフに仕事を教えていった方がいいでしょう。

 

責任の範囲を考慮できているのであれば、

スタッフさんにいろいろを伝授していくことで、

結果的に自分が得られる成果も大きくなっていきます。

スタッフさんのキャパシティ内で、いろいろお願いしてしまいましょう。

まとめ

・スタッフさん本人のことを知り、働き方や指示の出し方に反映させる。

・いきなりスタッフに仕事を丸投げしないように気を付ける。

・ 長期視点での「効率」よりも「効果」を優先し、いろんな仕事をスタッフに教えていく。

 

会社で立場が上がれば上がるほど、

「スタッフ、部下、他部署にうまく仕事を割り振って、難しいこと、本当に重要なことに自分の力を注ぐべし」

とよく言われますが、最近これは本当にその通りだなと思います。

 

現在自分には部下に相当する人はいませんが、

この技術スタッフへの作業の割り振りや後輩への仕事の依頼を通して、

本当に大事なことに集中するするために、他人にうまく仕事を割り振る、お願いする」能力を身に着けたいと思います。